本記事は、YouTube動画『世間のリアル金融資産はいくら?平均・中央値を年代別(20代〜70代)に【2025年12月版】』の内容を基に構成しています。
結論から言うと「平均」だけ見ると現実を見誤ります
今回のテーマは、世間の金融資産(いわゆる貯金+有価証券など)の「平均」と「中央値」を、年代別(20代〜70代)で確認し、現実の立ち位置を把握することです。
結論から言うと、平均値は一部の資産家の影響で跳ねやすく、実感に近いのは中央値です。
動画でもこの点を強く意識しており、2人以上世帯・単身世帯を分けて、さらに年代別の分布(どの層がどれくらい多いか)まで見せることで、「普通」を具体的に掴める構成になっていました。中央値の考え方自体も、調査側が「平均値だけだと実感とズレる」点を説明しています。
根拠データは「家計の金融行動に関する世論調査2025年」
動画が参照しているのは、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」です。結果の公表日は2025年12月18日です。
この調査はインターネットモニター調査で、2人以上世帯・単身世帯それぞれの結果や、要約(ポイント)資料、詳細PDFが公開されています。
まず「全体像」から押さえる(2人以上世帯と単身世帯)
2人以上世帯:平均が大きく伸び、中央値も倍近くに
動画でまず示される大枠はここです。
2人以上世帯の金融資産保有額は、2025年の平均が1940万円、中央値が720万円です。
動画では「前年からの伸びが大きい」点が強調され、特に有価証券(株など)の評価額増加が効いているのではないか、という流れで解説されていました。
この「増えた理由」も調査にあり、資産増加の理由として多いのは「株式・債券価格の上昇(評価額増加)」「配当や金利収入」「定例的な収入の増加」といった項目です。
動画でも、ここが「資産が増えた人が増えた背景」として扱われます。
単身世帯:平均は伸び悩み、中央値も低い水準
一方で単身世帯は見え方が変わります。単身世帯の金融資産保有額は、2025年の平均が919万円、中央値が130万円です。
動画でも「2人以上世帯と単身世帯で明暗が分かれた」という整理になっており、同じ“世間の数字”でも、世帯類型で景色が変わる点がポイントになっていました。
なぜ差が出るのか:投資姿勢と、そもそもの年齢構成が違う
動画の中盤では、「2人以上世帯が伸びた理由」をもう少し踏み込みます。重要なのは次の2点です。
1つ目は、リスク資産(元本割れの可能性があるがリターンが高い商品)に対する姿勢の差です。ポイント資料でも、資産の増加理由や金融商品選択の姿勢などが整理されています。
動画では、2人以上世帯のほうがリスク資産を保有・志向する比率が高いように読み取れる、という文脈で語られていました。
2つ目は、年齢構成の違いです。単身世帯は若年層が多く、2人以上世帯は高年齢寄りになりやすい、という話が入ります。これは単純に「資産形成の時間」が違うので、同じ年の調査でも平均・中央値に差が出やすい、という納得感につながります。
年代別の分布で見える「現実」
ここからが動画の肝で、「平均・中央値」だけで終わらせず、年代別に分布(資産帯の割合)を見せていきます。
2人以上世帯:中央値は20代125万→60代1400万がピーク
動画では、2人以上世帯の中央値が年代とともに上がり、60代で大きく跳ねる流れが示されます。
具体的には中央値が、20代125万円、30代300万円、40代500万円、50代700万円、60代1400万円、70代でやや低下、という読み取りです(動画内の図表解説)。
この動きは直感的にも、「働いて貯める・運用する期間が長いほど増えやすい」「退職後は取り崩しが入る可能性がある」などの背景とつながります。
また、動画では「資産ゼロ(金融資産非保有)」の層も一定数いる点が強調され、2極化のイメージを持ちやすい構成でした。
単身世帯:中央値は20代37万、30代以降もしばらく低い
単身世帯はさらに厳しめの数字が出ます。
動画では中央値が20代37万円、30代100万円、40代100万円、50代120万円、60代300万円、70代500万円という流れで解説されます。
特に若年層は「非保有+100万円未満」がボリュームゾーンになりやすく、2人以上世帯よりも資産形成が進みにくい現実が伝わってきます。
単身世帯の「50代が資産非保有が多い」仮説
動画の中で印象的なのが、単身世帯では50代の資産非保有割合が相対的に高いという話です。
ここは動画として、就職氷河期を含む時代背景と結びつけ、「環境要因で資産形成が遅れた層が出やすいのでは」という仮説が語られます。断定ではなく、データからの想像として提示するのがニュース風で丁寧な言い回しでした。
この動画が言いたいことを、もう一段わかりやすくする
平均値に振り回されないための考え方
このテーマで一番やりがちな失敗は、「平均が1940万円なら、自分は低すぎるのでは」と焦ることです。しかし調査資料でも説明される通り、平均は一部の高額資産層に引っ張られます。J-Flec+1
現実に近い比較をしたいなら、まず中央値を基準にし、その上で分布(どの価格帯が多いか)を見る。この順番が最もブレません。
「世帯」で見方が変わるのは、ずるい話ではなく構造の話
動画が面白いのは、単に数字を並べるだけでなく、「なぜ差が出るか」を構造で説明しようとしている点です。
・2人以上世帯は、収入の柱が複数になりやすい
・生活固定費を分担できる場面がある
・資産形成の意思決定が継続しやすいケースがある
・年齢構成が高めに出やすい
もちろん例外はありますが、こうした構造が数字に出る、という視点を持つと、データが“自分を責める材料”ではなく、“状況を理解する材料”になります。
老後不安のデータ:資産が多い層ほど「不安が小さい」傾向が見える
動画の終盤では、老後の生活への心配(それほど心配していない/多少心配/非常に心配)の調査結果も扱われます。全体では近年大きな変化は見えにくい一方、単身世帯は「心配が小さい層」と「非常に心配な層」に分かれやすいように見える、という読み解きが入ります。
さらに、動画投稿者が自身のチャンネルで行ったアンケートと比較し、視聴者側は金融資産が多い層が多いため、老後不安が小さい人の比率が高い、という対比で締めます。ここは「視聴者層の自己選別が起きる」ことを、納得感のある形で示していました。
まとめ:見るべきは「中央値」と「分布」、そして自分の行動を決める材料にする
今回の動画は、世間の金融資産を2025年12月公表の最新調査で確認し、平均と中央値、さらに年代別の分布まで落とし込んで「普通の輪郭」を掴ませる内容でした。
2人以上世帯では平均1940万円・中央値720万円、単身世帯では平均919万円・中央値130万円という全体像がまず示されます。J-Flec+2J-Flec+2
ただし、平均は当てになりにくいので、比較の軸は中央値に置く。さらに分布を見ることで、「どの資産帯が多いのか」「自分は上位何%くらいの位置にいそうか」という現実的な把握ができる、というのが動画のメッセージでした。
そして最後は、不安を煽って終わるのではなく、データを材料に「自分の判断力を上げる」方向へ着地します。数字を見て落ち込むのではなく、家計の現状把握、支出の最適化、投資の基本設計、老後の見通しづくりに繋げる。2025年の年末に“答え合わせ”として見る価値がある、そんな一本だったと言えます。


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