本記事は、YouTube動画「【利回り6%】NISA成長投資枠はこれだろ。SBI欧州高配当、分配金も株価も絶好調。S&P500暴落ならこの投資信託」の内容を基に構成しています。
NISA成長投資枠で欧州が急浮上している理由
2025年の終盤にかけて、NISAの成長投資枠で「米国一択では不安」「分散先が欲しい」と考える投資家が増えています。そうした空気の中で、欧州の高配当ファンドが想像以上に注目を集めています。
今回の動画が取り上げた中心は、SBI欧州高配当です。話題の理由はシンプルで、分配金が過去最高水準になっていること、そして基準価額も含めた成績がかなり良いこと、さらに円安による為替効果が追い風になっていることです。
加えて動画では、欧州関連の投資商品が続々と増えている点も重要なニュースとして整理されていました。インデックス、ETF、テーマ型、防衛、モメンタムと、欧州に投資する入口が一気に増えています。欧州の存在感が増した2025年は、分散投資の考え方を見直す材料にもなります。
この記事では、動画の流れに沿って、SBI欧州高配当の分配金と利回り、成績の背景、ファンドの中身の変化、指数との比較、そして新しく登場した欧州ファンドの特徴まで、初心者でも理解できるように丁寧にまとめます。
動画の要点を先にまとめるとどうなるか
動画の結論を一言でまとめると、こうなります。
SBI欧州高配当は、分配金利回りが約6%水準で推移し、基準価額も好調で、米国集中のリスクを下げる分散先として有力になっている。ただし、成長投資枠で狙うなら商品性の違いを理解し、インデックスや新ETF、テーマ型ファンドも含めて選択肢を比較することが重要。
この記事では、この結論に至る根拠を、数字と具体例で整理していきます。
SBI欧州高配当の分配金:170円と年間合計1,095円の意味
まず動画が強調していたのは、分配金が過去最高水準になったという点です。
2024年3月は分配金が出ていませんが、その後2024年6月から分配が始まり、回数を重ねるごとに増えたり維持されたりしながら推移し、今回の分配が170円になりました。これで分配は合計7回、累計は1,095円です。
この数字を見て初心者が混乱しやすいのが、分配金が多いと儲かっていると感じてしまうことです。
分配金は利益の分配である場合もあれば、ファンドの中の資産を取り崩して出している場合もあります。つまり分配金の額だけで勝ち負けを決めるのではなく、基準価額の推移とトータルリターンをセットで見る必要があります。
ただ今回の動画では、分配金だけが派手で基準価額が弱い、というタイプではないことがポイントとして語られていました。
分配金を出しながら基準価額の動きも良い、という説明です。これは高配当ファンドとしては確かに強い状態と言えます。
そして動画のトーンは、2026年に向けて増配、つまり分配金が増えていく期待を持ちたいというものでした。もちろん保証はありませんが、過去の推移からは増配方向の動きが見られる、という評価です。
利回り約6%:5.24%と5.96%の違いをどう理解するか
動画では、利回りについて具体的な数字が示されました。
レポート上の表現として、分配前の基準価額に対して5.24%という数字があり、さらに現地の源泉税を考慮した配当率に換算すると5.96%になる、という説明でした。
ここで初心者が押さえるべきなのは、利回りという言葉が何を基準に計算されているかで意味が変わるという点です。
分配前の基準価額に対する利回りと、税制を考慮した利回りでは表面の数字が変わります。動画はその違いを踏まえたうえで、現地課税の影響まで含めても約6%水準だという点を強調しています。
この約6%という水準は、国内の預金や国債の感覚で見ると非常に高いです。
一方、株式の配当として見れば「高配当」カテゴリの中でも上位に入りやすい水準です。だからこそ、成長投資枠でインカムを狙う選択肢として注目されている、という流れになります。
成績が良い理由:本体の運用に加えて為替が効いている
SBI欧州高配当が伸びている要因として、動画ははっきり為替の影響が大きいと述べています。
直近1年のユーロ円の推移として、年初が160円付近だったのに対し、足元では182円程度まで円安が進んでいる、という説明でした。つまり、欧州株式の値動きに加えて、円換算での評価額が押し上げられやすい環境にあったということです。
ここは重要で、為替は追い風にも逆風にもなります。
円安が続く限りは恩恵が出やすい一方、もし円高に戻れば、株が横ばいでも円換算で下がる可能性があります。動画が紹介した「為替ヘッジなし」の商品が増えている背景には、こうした為替の影響を取りにいく投資家が増えていることがあります。
ただ動画の主張は、為替だけで説明できない強さもある、という点にあります。レポート上では、分配金込みのリターンが欧州の代表指数を上回っているデータが示され、アクティブファンドとしての強みが出ている、という評価になっていました。
2025年11月の運用状況:基準価額が前月末比で431円上昇
動画では11月の成績も具体的に紹介されていました。
基準価額は前月末比でプラス431円、純資産総額は244億円という説明です。
欧州市場の環境としては、ストックスヨーロッパ600がプラス0.8%、イギリス、スペイン、スウェーデンなどの指数が市場最高値を更新するなど、欧州株全体が比較的好調だったと語られていました。
さらにファンドの期間収益率として、設定来で36.62%という数字も出ています。ここまでの話を整理すると、単なる高配当で横ばいではなく、キャピタルの部分も相応に伸びている局面があった、ということになります。
構成銘柄とセクター:金融比率が高く、不動産に配分を移す動き
ファンドの中身について、動画はざっくり次のようにまとめていました。
上位銘柄ではASMLがトップに来ており、主要銘柄は大きく変わっていない。一方、運用面では期待できる銘柄がプラス寄与し、逆にハイテック売りの影響を受ける銘柄がマイナス寄与になった。
具体例として、アイルランド銀行、KBCグループ、ロッシュなどがプラス寄与、ロールスロイス、SAP、シーメンスなどがマイナス寄与と説明されていました。
またセクターでは、資本財や銀行のウェイトを減らし、不動産関係へ資金配分を行ったという記述があったと紹介されています。欧州高配当というと金融比率が高いイメージがありますが、実際に業種としては金融が圧倒的で、資本財が約10%程度という説明でした。
国別のウェイトは、イギリスがトップで次がフランス、という構造です。初心者がここで意識すべきなのは、欧州投資といってもユーロ圏だけではなく、イギリスの比率が高いと値動きの性格が変わり得る点です。欧州という言葉は便利ですが、中身は国とセクターの組み合わせです。
設定当初からの変化:銘柄数39から93へ、国とセクターも動いている
動画の中で面白い整理として、2024年3月から2025年11月までの推移がざっくりまとめられていました。
まず採用銘柄数は、当初39銘柄だったものが、現在は93銘柄まで増えています。純資産総額が増えたことも背景にあり、分散が進んだ形です。
投資対象国のウェイトも変化があり、当初はフランスが21%でトップだったのが、フランスの比率が下がり、イタリアの比率がじわじわ上がり、現在はイギリスがトップになっている、という説明でした。
セクター面では、当初は自動車関連が多かったが、その比率がかなり減り、資本財の比率が上がっている、という話です。動画では、自動車は中国など海外要因の影響を受けやすいため、貿易環境が不安定であることの反映かもしれない、という見方が添えられていました。
ここは、アクティブファンドの面白さが出る部分です。指数は基本的に定義が固定ですが、アクティブは環境に合わせて比率を変えます。投資家側は、これをメリットと感じるか、ブレと感じるかで評価が分かれます。
ファンド特性:インカム寄りで、割安寄り、ボラは低めという位置づけ
動画では、分類平均と比較したデータも紹介されました。要点を整理すると次のような性格です。
成長性はやや割安寄りで、利回りは高め。モメンタムは普通程度。クオリティはやや低め。ボラティリティは低く、流動性はやや高い。規模は大型株中心。
さらに指標として、PERとPBRは分類平均と大差なく、PSRはやや高め、利回りは1%以上高い一方、長期の利益成長率は劣る、という説明でした。
ここから動画は結論を出しています。キャピタルかインカムかの2択で言えば、このファンドはインカムを重視する性格が強い。つまり、今時点で分配金をしっかり受け取りたい人にとってポイントになる、という整理です。
代表指数との比較:指数に勝っているのか負けているのか
投資家が一番気になるのは、結局指数と比べてどうなのか、という点です。
動画では、年初来の比較ではSBI欧州高配当が最も優秀で、次が新興国、オルカン、S&P500という並びだと語られていました。新興国が意外に強い、という驚きにも触れています。
一方で、欧州の代表指数との比較では、ファンド登場からの期間で見るとMSCIユーロやMSCI欧州に若干負けている局面もある、という説明がありました。ただ指数はコストがかからないため、コスト込みで考えればほぼ同点ではないか、という見方です。
ここで大事なのは、比較の前提です。分配金を出さずに複利で成長するインデックスと、分配金をしっかり出しながら運用するタイプでは、投資家が受け取る体感が変わります。分配金を現金で使いたい人にとっては、同じリターンでも価値が違う場合があります。
また楽天の欧州株式インデックス、日興の欧州株式500など、欧州のインデックスファンドとも短期の3か月比較が紹介され、成績はほぼ同点のような見え方だった、と語られていました。期間が伸びると特性が見えやすくなるので、2年、3年の推移が面白くなる、という話です。
日興の欧州株式500が意外に強いという話
動画の中では、欧州インデックスで日興の欧州株式500があまり話題になっていないが、登場してからの成績がFANGと同じくらいに見える、という驚きも語られていました。
この手の話は短期の切り取りで印象が変わりやすい一方、注目点としては、米国の超大型テックだけを見ていると見逃しやすい強い商品が欧州にもある、というメッセージです。分散先を探す局面では、話題性より実際の推移を確認する姿勢が重要になります。
欧州ファンドが増えている:新ETF2本とテーマ型、モメンタム型の登場
動画後半は、欧州投資の選択肢が増えたニュースをまとめています。中心は3つです。
1つ目は、12月17日上場の「NEXTファンズ 欧州株 ユーロストックス50 ヘッジなしETF」と、「NEXTファンズ ドイツ株 DAX ヘッジなしETF」です。これまでヘッジありがあったが、ヘッジなし版が登場したという紹介でした。
ここで動画は、欧州とユーロ圏の違いも説明しています。欧州はユーロ圏、イギリス、北欧、東欧などの地域の集合であり、その中でも経済規模が大きいのがユーロ圏である。ユーロ圏の名目GDPが14.7%、ドイツが4.2%を占め、世界第3位の規模という説明でした。ユーロストックス50はユーロ圏の代表銘柄50で構成され、国別ではフランス、ドイツ、オランダが上位、銘柄ではASML、SAP、シーメンス、アリアンツなどが上位に来る、という話です。
そして重要なのが、米国市場が大きく下がる局面では欧州が分散効果としてチャンスになり得た、という2025年の体験則です。米国集中から脱却したい投資家が、このETFをスポットで買う選択肢もある、という提案になっていました。為替ヘッジなしは、ヘッジありと比べて差が大きくなり得る点も改めて強調されています。
2つ目は、三菱UFJアセットマネジメントの「欧州防衛航空宇宙株式インデックスファンド」です。コストは年0.77%で、低コストのスリム系とは全く違うタイプとして説明されていました。防衛と宇宙という2テーマを組み合わせ、地政学リスクや欧州の防衛予算拡大、防衛がテクノロジー化している流れを背景に注目される、という整理です。指数はMSCIの欧州スペース&ディフェンス関連の特殊な指数に連動し、一部兵器製造などに関与する企業を除外する条件があるとも説明されていました。
3つ目は、住友系の「SMT 株式モメンタムファンド」、通称としてトレンドランキング系の欧州版です。これはサテライト運用の悩みを解決する発想として語られていました。AIが熱い、次は宇宙が熱い、とテーマがころころ変わる中で、モメンタムに基づいて勝手に中期テーマを入れ替えてくれる仕組みが面白い、という評価です。
選定方法も具体的で、欧州市場の時価総額上位500銘柄から流動性で絞り、短期6か月モメンタム上位7銘柄、中期12か月モメンタム上位7銘柄、長期36か月モメンタム上位7銘柄の合計21銘柄を選び、最終的に等金額で投資するという設計でした。短期1/3、中期1/3、長期1/3というポートフォリオのイメージです。
動画の提案は、積立投資枠は長期の核としてFANGやS&P500を置き、成長投資枠でこのモメンタムファンドを使って短期中期のテーマ変化を取りにいく、という組み合わせです。あるいは米国はFANGで、分散とリターンの両方を狙う人が欧州モメンタムを検討するのも面白い、という話でした。
S&P500暴落時に欧州が効くという視点はどう扱うべきか
動画のタイトルにある「S&P500暴落ならこの投資信託」という表現は強いですが、本文の主張はより現実的です。欧州は米国と値動きが完全に同じではないため、分散効果が期待できる局面がある、という話です。
ただし「暴落したら必ず欧州が上がる」と断言できるわけではありません。世界同時リスクオフでは全部下がることもあります。それでも投資家が欧州に注目する理由は、米国集中の弱点を和らげる候補になり得ること、そして欧州にも高配当、指数、テーマ、モメンタムといった多様な商品が揃い始めたことです。
特に2025年は、為替を含めて欧州が結果的に強く見えた時期があり、投資家の心理として「次のショックでは米国だけに寄せたくない」という動きが強まった、という背景があります。
まとめ:SBI欧州高配当はインカム重視の分散先として魅力、ただし商品選びが重要
動画の内容を整理すると、SBI欧州高配当は次の点で評価されています。
分配金は170円で過去最高水準になり、累計7回で1,095円。利回りはレポート上の換算で約5.96%水準。基準価額の推移も好調で、設定来36.62%という数字が紹介されている。伸びの背景には円安による為替効果が大きいが、運用面でも指数を上回る局面があり、アクティブとしての魅力が出ている。ファンドの性格はインカム寄りで、利回りの高さがポイントになりやすい。
一方で、欧州に投資する手段はSBI欧州高配当だけではなくなっています。ユーロストックス50やDAXの為替ヘッジなしETF、防衛航空宇宙というテーマ型、モメンタムでテーマを入れ替えるサテライト型など、目的別に選べる時代に入りました。
NISA成長投資枠での使い方としては、分配金重視ならSBI欧州高配当、欧州の広い指数でシンプルに持つなら欧州インデックスや新ETF、テーマで伸びを狙うなら防衛宇宙、テーマの入れ替わりを自動で追いたいならモメンタム、という整理がしやすいです。
最後に、動画が投げかけた問いも印象的でした。あなたはどれが好みか、そして2026年に望む増配額はどれくらいか。これは単なる雑談ではなく、自分がインカムをどれだけ必要としているか、分散をどれだけ重視するかを考えるきっかけになります。


コメント