本記事は、YouTube動画『【超朗報】脱中国!日本のレアアース供給がとんでもないことに!【オーストラリア】【マレーシア】』の内容を基に構成しています。
導入 レアアースを巡る世界の勢力図が大きく動き始めた
レアアースを巡る世界の勢力図が、今まさに大きく塗り替えられようとしています。
これまで中国はレアアースの世界供給の大部分を握り、時にはそれを外交カードとして使うことで各国を揺さぶってきました。しかし、こうした一国依存の危うさが明確になったことで、各国は一斉に脱中国を掲げ、新たな供給網の構築を急速に進めています。
その最前線に立っているのが、オーストラリアの資源大手であるライナス社です。
同社はオーストラリアで採掘した鉱石をマレーシアへ輸送し、そこで精錬と分離を行うことで、中国に依存しないレアアース供給体制を構築しています。さらに日本政府との連携により、これまで中国が独占してきた重希土類の分野にも参入しつつあります。
背景説明 なぜ世界は中国に依存する構造になったのか
アメリカが主導していた時代から中国の独占へ
1970年代から1990年代にかけて、レアアースの最大生産国はアメリカでした。
カリフォルニア州のマウンテンパス鉱山は、当時世界最大の供給源であり、先進国の産業を支えていました。しかし1990年代から2000年代にかけて、アメリカを含む先進国の鉱山は次々と閉鎖されていきます。
その結果、現在では中国が世界最大のレアアース生産国となり、事実上の独占状態を築きました。その最大の理由は、中国の圧倒的なコスト競争力です。
中国の低価格を支えた見えないコスト
中国産レアアースの低価格を支えてきたのは、人件費の安さだけではありません。
もう1つの重要な要素が環境コストです。レアアースの精錬工程では、鉱石を強酸で溶かし、わずかな有用成分を取り出すために、大量の有害物質やウラン、トリウムといった放射性物質を含む廃棄物が発生します。
先進国では厳しい環境基準を守るために多額のコストをかけますが、中国はこうした環境負荷を事実上無視することで価格を極限まで引き下げてきました。
その結果、他国の鉱山は競争に敗れて閉鎖され、世界は中国の供給に依存する危険な状態に陥ったのです。
中国依存のリスクが現実になった瞬間
この危険性がはっきりと現れたのが、2010年の尖閣諸島沖での漁船衝突事件でした。
中国は事実上の対日レアアース輸出規制を実施し、日本のハイテク産業は深刻な危機に直面しました。
モーター用の材料が届かなければ、ハイブリッド車もエアコンも作れないという状況に陥り、レアアース価格は数倍から数十倍に跳ね上がりました。
この出来事をきっかけに、日本は中国一極依存の危険性を痛感し、代替供給源の確保に本格的に乗り出します。
ライナス社が切り開いた新しい道
中国の独占を打破する最大の希望として現れたのが、オーストラリアのライナス社です。同社は西オーストラリア州に位置するマウントウェルド鉱山を保有しており、世界有数の埋蔵量と品位を誇ります。
しかし、レアアースビジネスの難しさは掘ることではなく、精錬と分離にあります。17種類の希土類元素を用途別に分離し、高純度に精製する技術がなければ、ハイテク製品には使えません。
そこでライナス社は、採掘した鉱石をオーストラリア国内で処理するのではなく、マレーシアに精錬工場を建設するという戦略的な決断を下しました。
なぜマレーシアなのか
マレーシアには広大な土地、比較的安価なコスト、政府による積極的な誘致があり、オーストラリアからの輸送にも適した地理的条件がそろっていました。
ライナス社はここに重希土類分離施設を新設し、総投資額約182億円、年間処理能力5000トンという大規模なプロジェクトを進めています。
これは、中国が独占してきた重希土類分野に、西側諸国が初めて本格的に切り込む一手となりました。
日本の資源戦略と国家的支援
ライナス社がこのプロジェクトを実現できた背景には、日本の支援があります。
日本の政府系機関であるJOGMECと双日が巨額の資金支援を決断し、国家安全保障の観点からレアアース供給網の構築を後押ししました。
これは単なるビジネスではなく、日本の産業と国防を守るための戦略的投資でした。この支援により、ライナス社は商業生産を開始し、日本のハイテク産業は中国以外からの安定供給を手に入れることになったのです。
日米豪韓による新しい供給枠組み
2025年12月には、アメリカ、日本、オーストラリア、韓国などが、中国の経済的圧力に対抗する新しい供給枠組みを立ち上げました。この枠組みの特徴は、単に中国以外から調達するだけでなく、ESG基準を軸に中国を市場から切り離そうとしている点にあります。
脱中国がもたらす最大のメリット
中国は世界のレアアース生産の約7割を握っており、これを外交カードとして利用してきました。しかし、中国以外の供給ルートが確立されれば、日本の自動車メーカーや家電メーカーは輸出規制に怯える必要がなくなります。
外交の場でも、資源を人質に取られずに国益を主張できるようになります。資源を武器にさせないということが、脱中国の最大の政治的、精神的メリットです。
経済安全保障と防衛産業への影響
レアアースは戦闘機、ミサイル誘導システム、潜水艦のモーターなど、防衛装備に不可欠です。
中国依存が続けば、有事の際に武器の製造が止まるリスクがあります。脱中国によって、防衛産業のサプライチェーンが守られ、戦略技術も西側諸国に留めることができます。
さらに、電気自動車や風力発電に不可欠なネオジム磁石の原料供給も安定し、企業は調達不安から解放されて研究開発や設備投資に集中できるようになります。
コストと環境負荷という現実
脱中国ルートには課題もあります。
中国は長年にわたり環境対策コストを抑えた大量生産体制を構築してきたため、価格競争力では依然として優位です。新たな採掘や精錬拠点には巨額の初期投資が必要で、短期的にはコストが高くなります。
また、レアアース精錬では有害物質や放射性廃棄物が発生します。
脱中国を進めるということは、これまで中国に押し付けてきた環境負荷を、自ら引き受けることを意味します。地域住民の安全を守り、長期的な環境リスクに対応する覚悟が求められます。
未来展望 分散型レアアース市場へ
脱中国が進めば、電気自動車や風力発電のコストは長期的に安定し、企業はより高性能で安価な製品開発に集中できます。また、日本や欧米ではレアアースを使わない代替技術も急速に進化しています。
さらに、日本は南鳥島沖のレアアース泥の商業化という国内資源の開発も進めています。海外の脱中国ルートと国内資源開発の両輪がそろえば、日本は真の意味で供給安定を手に入れることになります。
世界ではベトナム、ブラジル、アフリカ諸国などでも新たな鉱山開発が進みつつあり、レアアース市場は特定の国が支配する独裁的な構造から、多国間ネットワークによる分散型の時代へ移行しようとしています。
まとめ
レアアースを巡る世界の構造は、中国による独占から、日米豪韓を中心とした分散型供給網へと大きく動き始めています。オーストラリアのライナス社とマレーシアの精錬拠点、日本政府の戦略的支援によって、日本は中国依存から脱却する現実的な道を手にしました。
コストや環境負荷といった課題は残りますが、資源を武器にされない世界を実現するための投資として、この動きは長期的に見て日本と世界経済に大きな恩恵をもたらします。今後のレアアース供給網の変化は、日本の産業と安全保障の行方を左右する重要なテーマであり、引き続き注目していく必要があります。


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