本記事は、YouTube動画『【アドバンテストの歴史】半導体テスタ世界シェア1位!M&Aで成長続く/ここ数年で株価急伸し日経平均寄与度上位に/主要顧客にエヌビディア/AIハイテク関連の主役に【サクッとマーケット歴史解説│松井証券】』の内容を基に構成しています。
アドバンテストはなぜ注目される企業なのか
近年、日本株市場で特に存在感を高めている企業の1つが、アドバンテストです。
半導体テスタという一見すると分かりにくい分野で、世界シェア1位を獲得し、ここ数年で株価も大きく上昇しました。日経平均株価への寄与度も上位に入り、AI関連銘柄として個人投資家からも注目を集めています。
本記事では、アドバンテストがどのような歴史を歩み、なぜ現在のポジションを築くことができたのかを、初心者にも分かるように整理して解説していきます。
半導体と「テスタ」という存在の重要性
半導体産業の発展とテスト工程
半導体は、スマートフォン、パソコン、データセンター、AIサーバーなど、現代社会を支えるあらゆる電子機器に組み込まれています。しかし、半導体は「作って終わり」ではありません。製造されたチップが設計通りに正しく動作するかどうかを検査する工程が不可欠です。
この検査を担う装置が「半導体テスタ」です。
半導体の性能が高度化すればするほど、テスタにも高い精度とスピードが求められます。そのため、テスタメーカーは半導体産業の進化とともに成長してきました。
トランジスタ誕生から日本の電子産業へ
半導体の歴史は1947年、アメリカでトランジスタが発明されたことから始まります。
1950年代には真空管に代わる電子部品として急速に普及し、日本でもトランジスタラジオが広く使われるようになりました。こうした電子産業の発展が、後のアドバンテストの事業基盤につながっていきます。
アドバンテストの歩み
1954年|竹田理工業として創業
アドバンテストの原点は1954年にさかのぼります。
当時の社名は「竹田理工業」で、電子計測器メーカーとしてスタートしました。戦後復興期の日本では、ラジオや通信機器の需要が急増しており、電圧計や電流計、周波数カウンターといった計測機器が求められていました。
この時期にヒットしたのが、マイクロ波の周波数を測定できる周波数カウンター「PR124B」です。まだ「半導体テスタ」という言葉が一般的でない時代から、測る技術を磨いていた点が特徴です。
IC登場と事業の転換
1960年代に入ると、複数のトランジスタを1つのチップにまとめたICが登場し、電子回路の集積度が急速に高まりました。これにより、単純な計測器だけでは対応できない時代が到来します。
アドバンテストは、従来の計測技術を生かし、半導体テストシステムへと事業の軸足を移していきました。半導体産業の成長を見据えたこの判断が、後の飛躍につながります。
1970年代|国産半導体テスタの開発
1970年代には、コンピューターや家電の高度化を背景に、メモリICやロジックICの大規模化が進みました。アドバンテストは国産の半導体試験装置「300/20」や「E302/30」を開発し、さらにメモリ向けに特化したLSIテストシステムを発表します。
この時期から、半導体テスタメーカーとしての技術的な地位を確立していきました。
1983年〜1985年|上場と世界シェア1位獲得
1983年、アドバンテストは東京証券取引所に上場します。1985年には東証1部に指定され、同時に社名を「アドバンテスト」へ変更しました。
同年、半導体テスタの世界シェアで初めて1位を獲得します。1990年代には、世界最高性能とされた1GHz対応のVLSIテストシステム「E6691」や、高速メモリテストシステム「E5581」を相次いで発売し、ブランドとしての評価を不動のものにしました。
2000年代|グローバル競争とテラダインの存在
2000年代に入ると、半導体市場は本格的なグローバル競争の時代に入ります。この中で強い存在感を示したのが、アメリカのテラダインです。
テラダインはロジック半導体向けテストに強みを持ち、アドバンテストはメモリ向けを中心に展開していました。両社は異なる分野を軸にシェアを伸ばしつつ、競合関係を築いていきます。
2011年|M&Aによるロジック分野強化
スマートフォンやデータセンターの普及により、ロジック半導体の重要性が急速に高まります。これに対応するため、アドバンテストは2011年に米国ベリジを買収し、ロジック分野を一気に強化しました。
この時期以降、積極的なM&Aを通じて事業規模を拡大し、世界トップクラスの総合半導体テスタメーカーへと進化していきます。
AI時代とアドバンテストの現在地
AI・5G時代の半導体需要
2020年代に入り、半導体はAI、5G、高性能計算向けへと進化しました。特にGPUやAIチップの需要が急増し、主要顧客としてエヌビディアの名前が知られるようになります。
こうした最先端ロジック半導体の量産では、現在もアドバンテストとテラダインのテスタが競合しながら採用され、事実上の世界標準を争う構図が続いています。
株価上昇と日経平均への影響
AI関連投資の拡大を背景に、アドバンテストの株価はここ数年で急伸しました。その結果、日経平均株価への寄与度も上位に入り、日本株市場全体に与える影響力が大きくなっています。
計測技術を軸にした今後の展開
足元では、従来の半導体テストに加え、システムレベルテストやデータアナリティクスなど、計測技術を生かした新たな事業領域への展開も進められています。単なる装置メーカーではなく、データと技術を融合した企業へ進化しようとしています。
まとめ|アドバンテストが強い理由とは
アドバンテストは、計測技術から出発し、半導体テストという分野でヒット商品を生み出しながら世界シェア1位を獲得してきました。2000年代以降は、テラダインという世界的競合と向き合いながら、M&Aと継続的な技術投資によって地位をさらに高めています。
AI時代の到来により、半導体テスタの重要性は今後も高まり続けると考えられます。その中心に位置するアドバンテストは、日本発のグローバル企業として、引き続き市場から注目される存在と言えるでしょう。


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