本記事は、YouTube動画「【国債】解散発表後また国債相場が急落!10年債2.380%、30年債3.875%!20年債入札は不調!モハPチャンネルの見解」の内容を基に構成しています。
解散表明後に起きた国債市場の異変
1月19日、高市総理による衆議院解散の表明を受け、日本の国債市場は大きく動きました。
解散が発表された当日も国債は下落しましたが、翌20日にはさらに下げ幅を拡大し、長期・超長期を中心に利回りが急上昇する展開となりました。
この動きを受け、「国債市場は大丈夫なのか」「日本経済に深刻な影響が出るのではないか」といった不安の声が多く寄せられています。一方で、「これはデフレ脱却や景気回復を織り込んだ前向きな金利上昇だ」という真逆の見方も存在します。
動画では、こうした両極端な見方に対し、結論として「今回の国債利回り急上昇は、景気回復ではなく財政悪化への懸念を反映したものであり、経済にとってはネガティブな側面が強い」と指摘しています。
ただし、日本経済全体に直ちに急ブレーキがかかる状況ではないとも説明されています。
金利上昇の本質を読み解く鍵はイールドカーブ
今回の金利上昇の性質を理解する上で重要なのが、イールドカーブの形状です。
イールドカーブとは、国債の償還期間ごとの利回りを結んだ曲線で、景気や金融政策、市場の不安心理を映し出す鏡のような存在です。
動画では、具体的な数値を用いて説明されています。
石破首相が辞任を表明する直前である9月5日時点では、2年債利回りが0.841%、10年債利回りが1.58%で、その差は0.739%でした。しかし、1月20日時点では、2年債が1.214%、10年債が2.34%となり、その差は1.126%まで拡大しています。
これは、イールドカーブが急勾配になる「スティープ化」が起きていることを意味します。
通常、景気回復局面では中央銀行が利上げを進めるため、短期や中期の金利が大きく上昇し、イールドカーブはフラット化していきます。しかし、現在は日銀が利上げ局面にあるにもかかわらず、カーブはフラット化せず、むしろスティープ化しています。
このことから、今回の金利上昇は「景気回復を織り込んだ動き」ではなく、「財政悪化や将来のインフレ懸念を長期ゾーンが強く織り込んだ結果」と理解するのが自然だと説明されています。
経済への影響は限定的だが無視はできない
では、この金利上昇はどの程度深刻なのでしょうか。動画では、日本経済に急激なブレーキがかかる可能性は低いとしつつも、無視できない影響があると指摘しています。
イールドカーブがスティープ化しているため、短期金利はそれほど上昇していません。
そのため、短期金利に連動する住宅ローンの変動金利などへの影響は比較的緩やかです。一方で、10年国債利回りは各種ローン金利や企業の資金調達コストに影響を与えるため、企業活動には一定のマイナス効果があります。
ただし、過去の危機と比較すると、その深刻度は限定的だとされています。
例えば、2022年のトラスショック時には、イギリスの10年国債利回りは約4%も急上昇しました。
それに対し、日本の10年国債利回りはこの1年間で約1.1%の上昇にとどまっています。海外経済が底堅く推移している状況下では、現時点で大混乱に発展する可能性は低いと見られています。
超長期ゾーンが直面する現実的なリスク
一方で、より深刻なのが超長期ゾーンです。1月20日時点で、20年国債利回りは前日比0.195%上昇して3.45%、30年国債は0.25%上昇して3.86%、40年国債は0.26%上昇して4.205%に達しました。
この水準は、超長期の国債を多く保有する主体にとって大きな負担となります。特に影響を受けやすいのが生命保険会社や一部の地域金融機関です。これらの機関は、長期国債を大量に保有しており、金利上昇による債券価格の下落で含み損を抱えています。
現時点では「売らなければ問題にならない」とされていますが、金利上昇をきっかけに保険の見直しや解約が増えれば、保険会社は顧客への支払い資金を確保するために債券を売却せざるを得なくなります。
その結果、損失が表面化するリスクがあります。また、資産と負債のバランスが崩れることで、やむを得ず保有債券を手放すケースも考えられます。
20年国債入札不調が示す市場の警戒感
こうした不安定な状況を象徴する出来事が、1月20日に行われた20年国債入札です。今回の入札は非常に弱い結果となり、応札倍率は3.19倍と、前回の4.1倍を大きく下回りました。
利回りは29年ぶりの高水準まで上昇しているにもかかわらず、買い需要が乏しいことが浮き彫りになりました。
また、平均落札価格と最低落札価格の差は25銭と大きく、投資家が慎重な姿勢で入札に臨んだことを示しています。さらに、今月は40年国債の入札も控えており、不安定な相場が続く可能性が高いと見られています。
日銀の対応と今後の注目点
現時点では、高市政権は国債利回り上昇の悪影響をそれほど深刻には見ていないと考えられています。そのため、金利上昇基調がしばらく続く可能性も否定できません。
今後の注目点としては、超長期国債を多く保有する投資家や金融機関で問題が表面化するかどうか、そして日銀が何らかの対応策を打ち出すかどうかが挙げられます。国債市場の動向は、金融システム全体の安定性にも直結するため、引き続き慎重に見守る必要があります。
まとめ
今回の国債利回り急上昇は、解散表明をきっかけに顕在化したものですが、その本質は景気回復期待ではなく、日本の財政悪化や将来のインフレに対する市場の警戒感にあります。短期的に日本経済が大混乱に陥る可能性は低いものの、超長期ゾーンを中心に金融機関や機関投資家への負担は着実に増しています。
20年国債入札の不調が示すように、市場の不安心理は依然として強く、今後の国債入札や日銀の対応次第では、相場がさらに大きく動く可能性もあります。国債市場の動きは、私たちの生活や金融環境にも影響を及ぼす重要な要素であり、引き続き冷静に注視していくことが求められます。


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