本記事は、YouTube動画「堅調『J-REIT』 金利上昇で先行きは?【NIKKEI NEWS NEXT】」の内容を基に構成しています。
日本の不動産投資信託であるJ-REITが、ここ数年で目立った回復を見せています。
世界的に金利が上昇する中、多くの国のREIT指数が伸び悩む一方、日本のJ-REITは約4年ぶりに大きな上昇を記録しました。
しかし、足元では再び金利が上昇し始めており、この好調が今後も続くのかどうかに注目が集まっています。本記事では、J-REITの仕組みから、過去の下落と回復の背景、金利との関係、そして今後の見通しまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
J-REITとは何か 基本的な仕組みをおさらい
まずはJ-REITの基本的な仕組みから確認します。
J-REITとは、不動産投資信託の一種で、投資家から集めた資金をもとに、オフィスビル、物流施設、住宅、ホテルなどの不動産を購入・運営し、そこから得られる賃料収入や売却益を分配金として投資家に還元する金融商品です。
通常の不動産投資では、数千万円から数億円といった多額の資金が必要になりますが、J-REITは上場商品であるため、株式と同じように比較的少額から投資できる点が大きな特徴です。
このため、個人投資家でも不動産投資に参加しやすい仕組みとなっています。
J-REITの利回りと新NISAとの関係
J-REITの魅力の一つが分配金利回りの高さです。
動画内で紹介されているデータによると、現在のJ-REITの分配金利回りは、加重平均でおよそ4.5%程度となっています。個別に見ると、3%台から6%程度まで幅広く分布しており、安定したインカムゲインを期待できる投資先として注目されています。
また、上場しているJ-REITは基本的に新NISAの投資対象となっています。
ただし、毎月分配型の非上場投資信託で、J-REITに投資するタイプの商品は新NISAの対象外となるため、この点は注意が必要です。
2021年以降のJ-REIT下落と回復の背景
J-REITは2021年の中頃から長期的な下落局面に入っていました。この背景には、アメリカの金融政策が大きく影響しています。2021年以降、FRBによる利上げが続き、米国の長期金利が上昇しました。
J-REIT市場では、売買代金の約50%から60%を外国人投資家が占めています。
REITは分配金利回りが重視される商品であるため、外国人投資家から見ると、米国債の利回りが高い局面では、わざわざ日本のREITを買う必要がなくなります。その結果、売りが先行し、価格が下落していきました。
さらに、外国人投資家の売りが続くと、国内投資家も様子見姿勢となり、売りが売りを呼ぶ形で下落が長期化しました。
米国金利低下でJ-REITが反発した理由
しかし、2023年後半から状況は変わります。米国の10年国債利回りが低下し始めたことで、相対的に高い利回りを持つJ-REITの魅力が再評価されました。
米国がリセッション局面に入るとの見方が強まる中、安定したインカムゲインを求める資金がJ-REITに流入しました。
これにより、国内の機関投資家も市場に参加し、J-REIT指数は大きく上昇することになります。その結果、日本のREIT指数は約24%上昇し、主要国の中でも突出したパフォーマンスを示しました。
足元で再び下落するJ-REITと金利上昇の影響
一方で、直近の動きを見ると、J-REITは再びやや下落基調となっています。
その要因として挙げられるのが、日本の長期金利、特に10年国債利回りの上昇です。一時的に2.285%程度まで上昇したことが、市場心理に影響を与えました。
ただし、動画内では、この下落は金利上昇そのものよりも、これまでの上昇を受けた利益確定売りの影響が大きいと説明されています。実際、2023年も長期金利が上昇する局面がありましたが、その中でもJ-REITは上昇を続けていました。
イールドスプレッドから見るJ-REITの上昇余地
J-REITを評価する上で重要なのが、イールドスプレッドです。これは、J-REITの分配金利回りと長期国債利回りの差を指します。
過去の例として2007年を振り返ると、当時J-REIT指数が2000ポイントを超えていた時期のJ-REIT利回りは約3.0%、10年国債利回りは約1.7%でした。このときのイールドスプレッドは約1.2%です。
一方、現在はJ-REITの利回りが約4.5%、10年国債利回りが約2.28%であり、イールドスプレッドは約2.29%と、過去と比べてかなり広い水準にあります。この差は、J-REIT価格がさらに上昇する余地があることを示唆しています。
仮に長期金利が2.5%まで上昇し、イールドスプレッドが1.5%まで縮小したとしても、J-REITの利回りは4.0%程度となります。その場合、J-REIT指数は約2250ポイントまで上昇する可能性があり、10%以上の上昇余地があると考えられています。
金利上昇でも不動産市場は本当に悪化するのか
金利が上がると、不動産市場に悪影響が出るのではないかという懸念もあります。この点については、2つの視点から考える必要があります。
まず、賃料の動向です。東京都心5区のオフィス賃料は、2年前と比べて約8.4%上昇しています。これは、仮にテナントが退去した場合でも、次のテナントはより高い賃料で入居する可能性が高いことを意味します。
賃料の上昇が続けば、金利上昇によるコスト増を十分に吸収できる可能性があります。
次に、不動産価格そのものの動きです。現在のJ-REIT市場では、TOBの動きも見られます。
例えば、特定のREIT銘柄に対して、保有不動産の評価額よりも8%以上高い価格でTOBが実施されているケースがあります。これは、買い手が今後さらに不動産価値が上がると見込んでいることを示しています。
不動産価格と利回りの関係
高い価格で不動産を取得しても、利回りが確保できるのかという疑問もあります。
しかし、TOBを実施している投資家は、利回りの高い物件を多く保有しており、非上場化後にさらに賃料を引き上げる戦略を描いています。このため、現在の水準でも十分な収益性が確保できると考えられています。
まとめ
J-REITは、米国金利の動向に大きく影響を受けながらも、足元では高い利回りとイールドスプレッドの広さを背景に、依然として投資妙味のある資産といえます。
短期的には金利上昇や利益確定売りによる調整が起こる可能性はありますが、賃料の上昇や不動産価格への強気な評価を見る限り、中長期的な上昇余地は十分に残されています。今後は金利動向とともに、賃料や不動産取引の実態を注視しながら、J-REIT市場を見ていくことが重要と言えるでしょう。


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