本記事は、YouTube動画『【運命】グリーンランドが握る「覇権の地図」。井川意高がトランプ大統領の直近ディールについて語る。』の内容を基に構成しています。
近年、ドナルド・トランプ前大統領の発言や行動は、日本のメディアでは「突飛」「思いつき」といった表現で語られることが少なくありません。
しかし、本動画では、そうした表層的な見方とは異なり、トランプ氏の一連の動きを地政学と安全保障の視点から捉え直しています。特に注目されるのが、デンマーク領グリーンランドをめぐる発言です。本記事では、動画の内容をできる限り削らず、背景から丁寧に解説していきます。
トランプ政権と国際機関からの離脱という文脈
動画の前半では、トランプ政権による国際機関からの相次ぐ離脱について語られています。象徴的な例が、WHO(世界保健機関)からの正式脱退です。
井川氏は、WHOをはじめとする国連関連機関について、そもそも現在の国際秩序の中で十分に機能していないと指摘します。
国連安全保障理事会の常任理事国5か国のうち、中国とロシアという国際法を守らない国が含まれている現状では、国連全体に幻想を抱くべきではないという考えです。
さらに、WHOが新型コロナウイルス対応において中国寄りの姿勢を示したことや、組織内部で不祥事が発覚している点にも触れ、国際機関が「役人のための組織」になっている現実を批判しています。
小さな政府を志向する立場からすれば、こうした国際機関から距離を取るトランプ政権の姿勢は一貫したものだと説明されています。
グリーンランド問題は思いつきではない
動画の中心テーマは、トランプ氏が過去に示した「グリーンランドを買収したい」という発言です。この発言は、日本や欧米のオールドメディアでは冗談や暴言のように扱われがちでした。
しかし井川氏は、これを単なる思いつきと見るのは誤りだと強調します。
トランプ氏はビジネスで成功してきた人物であり、その周囲には高い能力を持つスタッフが揃っています。
ハイボールを投げてから着地点を探る「ディール」の手法はあるものの、根本には合理的な戦略があるという見方です。
北極を中心に見た世界地図と安全保障
グリーンランドの重要性を理解するためには、通常の世界地図ではなく、北極を中心にした地図を見る必要があります。
北極を中心にすると、グリーンランドはロシアに対する最前線に位置します。
冷戦時代から、北極圏は米露の戦略核ミサイル防衛において極めて重要な地域でした。今後、ミサイル防衛構想が進む中で、グリーンランドはさらに重要性を増すと考えられています。
加えて、地球温暖化による北極海航路の開通も大きな要素です。氷が溶ければ、ヨーロッパとアメリカ、さらにはアジアを結ぶ新たな航路が現実のものとなります。この航路は、中国にとっても極めて魅力的なルートです。
人口5万人の巨大な戦略拠点
グリーンランドは非常に広大な土地を持ちながら、人口は約5万人しかいません。
現在、アメリカはすでに軍事基地を保有していますが、井川氏は「この重要性に対して、デンマークやNATO諸国は何もしていない」とトランプ氏が見ている点を指摘します。
ヨーロッパ側は、象徴的な対応として数十人規模の部隊を派遣したに過ぎません。
しかし、トランプ氏から見れば、それは安全保障上ほとんど意味をなさない対応です。
だからこそ、「守れないならアメリカが引き取る」「あるいは売却しろ」という強硬な発言につながったと説明されています。
NATOとヨーロッパへの強い不満
この問題の根底には、トランプ氏のNATO諸国に対する長年の不満があります。NATO加盟国は国防費をGDP比2%以上支出することを約束していますが、これを守っていない国も少なくありません。
それにもかかわらず、ヨーロッパ諸国はアメリカの安全保障の傘に依存しながら、アメリカに対して批判的な態度を取ることがあります。井川氏は、トランプ氏がこの状況を「ふざけている」と感じていると解説します。
EUが経済圏としてまとまり、アメリカと肩を並べたと錯覚している点や、ルール作りによって他国を制御しようとする姿勢も、トランプ氏の反発を招いている要因だと述べられています。
環境規制とEUの自己中心的な戦略
動画では、EUの環境政策についても言及されています。
2035年までにEVのみを販売可能とする規制は、ハイブリッド技術で優位に立つ日本企業、特にトヨタを排除する狙いがあったと指摘されています。
しかし、結果的には中国製EVが大量に流入し、EU自身が方針転換を迫られる状況に陥りました。井川氏は、こうした「制度で相手を縛る」やり方こそが、EUの調子に乗った姿勢の象徴だと述べています。
レアアースは本質ではない
グリーンランドをめぐる報道では、レアアース資源が注目されることもあります。しかし井川氏は、これを「おまけ」に過ぎないと断じます。
レアアースは決して希少な資源ではなく、日本周辺にも存在しています。
中国が優位に立っているのは、環境配慮を無視して安価に採掘・精製しているからに過ぎません。
アメリカは多くの資源を自国で賄えるため、グリーンランドの資源そのものが目的ではないというのが動画の主張です。
トランプの本当の狙いとは何か
以上を踏まえると、グリーンランド問題の核心は、安全保障とヨーロッパへの牽制にあるとまとめられます。
トランプ氏は、アメリカに依存し続けるヨーロッパに対して、現実を直視させるために強いメッセージを投げかけていると井川氏は分析します。
アメリカがNATOから離脱するとは明言しないものの、その可能性をちらつかせることで、EU諸国に再考を促しているという見方です。
まとめ
本動画では、トランプ前大統領のグリーンランド発言を、地政学と安全保障の観点から丁寧に解きほぐしています。日本のメディアで語られがちな「思いつき」や「暴言」という評価とは異なり、そこには一貫した合理性と戦略が存在することが示されました。
グリーンランドは、北極圏、対ロシア戦略、北極海航路、NATOの在り方といった複数の要素が交差する「覇権の要所」です。トランプ氏のディールは、その現実をヨーロッパに突きつけるための強烈な一手だったと言えるでしょう。
今後の国際秩序を考える上で、この視点は極めて示唆に富んでいます。


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