本記事は、YouTube動画「【転換】金と銀が歴史的大暴落マグセブンに異変」の内容を基に構成しています。
金と銀が記録的な急落を見せた衝撃の一日
足元の金融市場では、金と銀が歴史的とも言える大暴落を記録しました。
金のスポット価格は一時12.6%安の4698ドル台まで急落し、銀に至っては28.4%安の77ドル台まで下落しました。1日の下落率としては1980年以来、実に46年ぶりという異例の水準です。
この急落は、多くの投資家にとって想定外だったと言えます。
なぜなら、直前まで金と銀は指数関数的とも言える上昇を続け、明らかにバブル的な様相を呈していたからです。金はドル価値の下落に備える「リベースメント」の象徴として買われ、銀は個人投資家による投機的マネーが大量に流入していました。
しかし、今回の急落によってレバレッジをかけて金や銀を保有していた投資家の中には、強制決済や追証によって致命的な打撃を受けた人も少なくありません。その結果、金と銀は当面、力強い回復が難しい局面に入ったと考えられます。
トランプ氏の人事が引き金となった市場の転換
今回の暴落の直接的なきっかけは、トランプ大統領が次期FRB議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事を指名すると発表したことにあります。
ケビン・ウォーシュ氏はモルガン・スタンレー出身で、2006年には史上最年少となる35歳でFRB理事に就任しました。2008年の金融危機時には、当時のバーナンキFRB議長が進めた量的緩和政策に対して慎重、あるいは否定的な姿勢を示していたことで知られています。
さらに2025年11月には、金融危機やコロナ危機を通じて膨張したFRBのバランスシートを、もっと圧縮すべきだと主張していました。
大量の国債購入によって拡大したバランスシートが、インフレ圧力の一因になっているとの考え方です。
FRBバランスシートと金価格の関係
2008年の金融危機以降、FRBはバランスシートを大きく膨張させ、大量のドルを市場に供給してきました。その結果、ドルの価値は相対的に低下し、株式、不動産、金、ビットコインといったリスク資産の価格が大きく上昇しました。
もしウォーシュ氏の主張通り、FRBがバランスシートの圧縮に本格的に動けば、マネーは引き締まり、ドルの価値下落は抑えられる可能性があります。
その場合、無国籍通貨である金や銀は、相対的な魅力を失い売られやすくなります。
今回、次期FRB議長にウォーシュ氏が指名されたというニュースを受け、これまで過熱していた金と銀が一斉に売られた背景には、こうした金融政策の転換への思惑があります。
実際に引き締めは行われるのかという疑問
もっとも、FRBが本当にバランスシートの圧縮に踏み切るかどうかは不透明です。なぜなら、圧縮とは国債の再投資を止めることを意味し、債券市場で需給不足が生じ、長期金利が上昇する可能性が高まるからです。
長期金利の上昇は住宅ローン金利の高止まりにつながり、住宅市場の悪化を招く恐れがあります。結果として景気後退を引き起こすリスクもあるため、ウォーシュ氏が理論通りに政策を実行できるかどうかは慎重に見極める必要があります。
テクニカル面から見た金と銀の先行き
仮にFRBがすぐに引き締めに動かないとしても、金や銀が短期間で回復する可能性は低いと考えられます。その理由の1つが、今回の急落によって主要な買い手であった個人投資家が大きな損失を被った点です。
加えて、金の月足チャートでは高値圏で上影の長いローソク足が出現しています。
一般的に、これは上昇トレンドの一服、あるいは下落への転換を示唆する形状とされます。この点からも、金と銀はしばらく調整局面が続く可能性が高いと考えられます。
金安局面で揺らぐビットコインの立ち位置
金が下落する局面では、競合関係にあるビットコインの投資妙味が増すことがあります。しかし、ビットコインの週足チャートを見ると、50週移動平均線がレジスタンスとして機能し、上値が抑えられています。
さらに重要なのは、現在が半減期を起点とした4年サイクルの中で、最も価格が下落しやすい「半減期の翌々年」にあたる点です。過去を振り返ると、2014年、2018年、2022年のいずれのケースでも、ビットコインは直近高値から約80%下落しました。
今回も同様のサイクルが繰り返されるなら、まずは200日移動平均線付近の約58000ドル、その後は高値から80%安となる約25000ドルまで下落する可能性も否定できません。底打ちは9月から年末にかけて形成されると予想されます。
NVIDIAとOpenAIの交渉停滞が示すAI投資の変調
コモディティや暗号資産だけでなく、株式市場、とりわけAI関連銘柄にも変化が見られます。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、NVIDIAがOpenAIに最大1000億ドル、約15兆5000億円を投資する計画の交渉が停滞していると報じられています。
当初は短期間で合意に至ると見られていましたが、4か月経った現在も交渉は初期段階にとどまっています。背景には、NVIDIAのジェンスン・ファンCEOが、OpenAIの経営体制や競合企業の存在を警戒し、1社への過剰投資を避けたい意向があると考えられます。
AI投資は「期待」から「検証」のフェーズへ
このニュースを受け、市場は「期待だけで株を買うフェーズ」から、「実際にAI投資は収益に結びついているのか」を検証する段階へ移行しつつあります。
一部企業ではAIが収益向上に貢献していると報告されていますが、全体としては限定的です。実際、2025年第3四半期の労働生産性の伸びは前年同期比2.1%にとどまり、ドットコムバブル期の1999年の4.1%を大きく下回っています。
このような状況では、AI投資が今後さらに加速するよりも、むしろ失速する可能性の方が高いと見る向きもあります。
マグニフィセント7の決算に表れた明暗
マグニフィセント7の決算内容にも、ばらつきが目立っています。Microsoftは売上高とEPSが市場予想を上回ったものの、ガイダンスが予想を下回り、株価は50日移動平均線を割り込みました。
Appleは決算内容自体は良好でしたが、メモリー価格の上昇による利益率低下懸念や、AI人材の流出といった問題を抱え、株価は伸び悩んでいます。
一方で、メタ・プラットフォームズは広告事業にAIを活用し、収益を拡大している数少ない成功例として評価され、200日移動平均線を大きく上抜けました。
このように、マグニフィセント7は一枚岩ではなく、ETFも方向感を欠く展開が続いています。今後控えるアルファベットやAmazonの決算が、市場全体の方向性を左右する可能性があります。
米国株一強から国際分散投資の時代へ
動画では、米国株一強の時代が終わり、国際分散投資の時代に移行しつつあるという見方も示されています。VTIとVXUSの相対指数が50か月移動平均線を割り込んだことは、長期トレンドの転換を示唆しています。
トレンドは一度始まると数年続く傾向がありますが、永遠ではありません。判断を先送りすればするほど、新しい時代に乗り遅れるリスクが高まります。
まとめ
今回の動画では、金と銀の歴史的大暴落を起点に、金融政策、暗号資産、AI投資、そして米国株市場全体の構造変化までが一貫した流れで解説されました。
金と銀は金融政策の転換期待と投機資金の巻き戻しによって大きな調整局面に入り、ビットコインも過去のサイクルを踏まえると下落リスクが高まっています。一方、AI投資は期待先行の段階を終え、収益性や生産性が厳しく問われるフェーズに入りました。
これらを総合すると、今後は米国株一辺倒ではなく、欧州株、新興国株、コモディティ、暗号資産などを含めた国際分散投資の重要性が一段と高まる局面に入った可能性があります。市場の転換点にある今こそ、冷静な視点で資産配分を見直すことが求められていると言えるでしょう。


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