本記事は、YouTube動画「【東証改革進む】ついにスタンダード市場の改革開幕!専業投資家が今後の展開を解説!」の内容を基に構成しています。
東京証券取引所による市場改革が、いよいよスタンダード市場にまで及び始めました。
これまでプライム市場、グロース市場と段階的に進められてきた改革の流れが、2025年から2026年にかけて本格的にスタンダード市場へ波及する見通しとなっています。今回の動画では、専業投資家の視点から、なぜ今スタンダード市場が改革対象となるのか、そして投資家や上場企業にどのような影響が出てくるのかが詳しく語られています。
スタンダード市場改革が始まった背景
東証の市場改革は、2022年の市場区分再編を起点として進められてきました。当初は最上位市場であるプライム市場に対して、資本コストや株主還元、企業価値向上を強く意識した改革が行われ、その後、成長企業を対象とするグロース市場にも改革の波が広がりました。
そして次の段階として、2025年以降はいよいよスタンダード市場が本格的な改革対象となります。
動画内でも触れられている通り、2025年1月14日に開催された東証のフォローアップ会議や、年明けのトップメッセージにおいても、スタンダード市場における企業価値向上や投資家意識の重要性が明確に示されています。
これまでスタンダード市場は、プライムやグロースの上場基準を満たせなくなった企業の「受け皿」としての役割が強く、一定の維持基準さえ満たしていれば、企業価値向上への取り組みが十分でなくても存続できるという側面がありました。
その結果、市場全体としての魅力や機能が弱まっていた点が問題視されてきたのです。
銘柄数が急増するスタンダード市場の現状
スタンダード市場改革が急務とされる理由の1つが、銘柄数の増加です。
動画では、2025年末時点のデータとして、プライム市場が1599社、スタンダード市場が1569社と、両者の上場社数がほぼ同水準にまで接近していることが紹介されています。
プライム市場では上場維持基準が厳格化されたことで、基準を満たせない企業が減少し続けています。
一方で、それらの企業がスタンダード市場へ移行するケースが増えた結果、スタンダード市場は近い将来、東証で最も銘柄数の多い市場になる可能性が高いとされています。
銘柄数が最も多い市場は、日本株市場全体のインフラとして極めて重要な役割を担います。
そのため、スタンダード市場が「なんとなく維持できる市場」のままであっては、市場全体の信頼性や投資環境の健全性に悪影響を及ぼしかねません。この点が、今回の改革の大きな背景となっています。
上場維持基準と上場廃止リスクの現実
動画内では、上場維持基準に適合していない企業数についても具体的に言及されています。プライム市場では46社、スタンダード市場では82社、グロース市場では33社が、基準未達の状態にあるとされています。
特に注目すべきなのは、改善期間が2026年3月で終了する点です。改善が見られない場合、そこから約半年のプロセスを経て、上場廃止となる可能性が高まります。しかし、このリスクを十分に認識していない投資家も少なくないと動画では指摘されています。
今後、東証や情報発信者による周知が進むことで、どの銘柄が上場廃止リスクを抱えているのかが、より明確に意識されるようになると考えられます。これは投資判断において非常に重要なポイントです。
スタンダード市場と個人投資家の関係
スタンダード市場に上場している企業の多くは、機関投資家の保有比率が極めて低いという特徴があります。流動性が低く、時価総額も小さい銘柄が多いため、売買の中心は個人投資家となります。
このような市場環境では、株価を動かす存在として「大口の個人投資家」が極めて重要になります。しかし動画では、企業側のIR対応が不十分なために、大口投資家が十分な投資を行えないケースが多いと指摘されています。
例えば、問い合わせメールへの返信が1週間以上来ない、あるいは全く返ってこないといった対応では、流動性リスクを負ってまで大きな資金を投じることは難しくなります。その結果、数十万円から数百万円規模の小口投資にとどまり、株価がなかなか上がらないという悪循環が生まれてしまいます。
個人投資家向けIR強化の必要性
こうした問題を解決するために、動画では個人投資家向けIRの強化が不可欠だと強調されています。特にスタンダード市場のように機関投資家が入りにくい市場では、個人投資家とのコミュニケーションが企業価値向上の鍵を握ります。
現状では、多くの企業が機関投資家向け説明会を実施している一方で、個人投資家向けの説明や情報開示が不十分です。しかも、機関投資家向け説明会を開催しても、実際には株式を購入しないケースが多く、形だけの説明会になっている実態も語られています。
動画では、少なくとも説明会の視聴やアーカイブの公開だけでも個人投資家に開放すべきだという提案がなされています。これにより、企業と投資家の情報格差を縮め、より健全な市場形成につながる可能性があります。
IRツールの閉鎖性という課題
さらに、機関投資家向けIRツールが個人投資家にほぼ完全に閉ざされている点も問題として挙げられています。証券会社やIRサービス会社が提供する多くのツールは、登録条件が厳しく、個人投資家は利用できないのが現状です。
動画では、少なくとも閲覧だけでも可能にするなど、段階的な開放が求められています。情報へのアクセスが改善されれば、個人投資家の理解度が高まり、結果として企業への評価も適正化されることが期待されます。
IR人材不足と外部支援の重要性
スタンダード市場の企業では、IR人材が不足しているケースが多く、問い合わせ対応や情報発信が後回しになりがちです。動画内では、実際に大口投資を検討していた企業に対して連絡が取れず、投資を断念した事例も紹介されています。
このような問題は、企業側の意識だけでなく、組織体制や人材不足といった構造的な課題に起因しています。そのため、外部支援やIR支援サービスの充実が重要であり、実際に動画の発信者自身も2021年以降、100社以上の上場企業を支援してきた実績があると語られています。
今後想定される改革の方向性
スタンダード市場改革の具体的な中身としては、資本コストの開示や意識向上、時価総額基準の引き上げ、開示項目の増加などが想定されています。これにより、改革に前向きな企業は評価され、株価上昇につながる可能性があります。
一方で、改革に対応できない企業については、MBOやTOB、あるいは上場廃止といった選択肢が増える可能性も指摘されています。特に、投資家との対話を軽視する企業は、市場に残る意義そのものが問われる局面に入ると考えられます。
スタンダード市場改革は投資環境の健全化につながるのか
動画の終盤では、改革によってスタンダード市場の銘柄数が減少する可能性にも触れられています。一見ネガティブに見えるものの、株価を意識しない企業や投資家対応に消極的な企業が市場から退出することは、全体としては健全な方向だと捉えられています。
投資家にとっては、企業の姿勢がより明確になり、戦略を立てやすくなるというメリットがあります。改革が進むことで、「どの企業が本気で株主価値を高めようとしているのか」が、これまで以上に見えやすくなると考えられます。
まとめ
スタンダード市場改革は、日本株市場全体にとって避けて通れない重要な転換点です。プライム、グロースに続く改革の流れは、単なる制度変更ではなく、企業と投資家の関係性そのものを見直す動きと言えます。
特にスタンダード市場では、個人投資家向けIRの強化や情報開示の改善が、今後の企業価値を左右する重要な要素となります。改革に前向きな企業が評価され、そうでない企業が淘汰されていく流れは、長期的には市場の信頼性向上につながる可能性があります。
今後も東証改革の動向を継続的に追いながら、どのような企業が変化に適応していくのかを見極めることが、投資家にとってますます重要になるでしょう。


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