米国株レンジ相場が崩れる分岐点はどこか。S&P500の上昇余地と下落シナリオをテクニカル×マクロでデータ検証

本記事は、YouTube動画『【米国株市場解説】レンジ崩壊は近い?テクニカル×マクロで検証する上昇余地と下落シナリオの分岐点をデータ解説』の内容を基に構成しています。

米国株が高値更新に手間取り、相場の空気が急に変わってきたと感じている方は多いかもしれません。

動画では、S&P500が約10%幅のレンジを約5カ月続けており、あと1日から2日続けて下げるとレンジ下限を割り込む可能性がある、という危機感が語られていました。

レンジが長く続いた後は相場が大きく動きやすい一方、どちらに抜けるかで投資家の行動が一気に変わります。ここから先は、テクニカルだけでなく金利や雇用、住宅、クレジットなどのマクロ指標も絡めて、上昇余地と下落シナリオの分岐点を整理していきます。

目次

レンジ崩壊が近いと言われる理由

動画の出発点はシンプルです。S&P500は高値を更新できず、上にも下にも抜けない状態が続いています。こうしたレンジが約5カ月続き、値幅が約10%程度に収まっている状況は、裏を返すとエネルギーが溜まっている状態でもあります。

そして今、その均衡が下方向に傾き始めていると話されていました。

もし1日から2日、連続で下落してレンジ下限を明確に割り込むと、短期的な下落トレンドに入る可能性がある、という見立てです。

さらに、いったん下に走ると、下落が2週間から3週間続きやすいという経験則にも触れられており、ここ数日間の値動きが重要だと強調されていました。

また、今年は大統領就任2年目というサイクル要因にも言及がありました。

2年目の2月後半は上がりやすいという見方がある一方で、統計を広く取ると2月後半は下がりやすいというデータもあるため、どちらの季節性を信じるかではなく、目の前の需給変化と分岐点を見極めるべきだ、という流れです。

いま市場で起きている資金移動とテーマの変化

動画では、相場が弱くなる時に起きやすい資金移動が具体例とともに語られていました。象徴的なのが、ディフェンシブとグロースの対比です。

ディフェンシブに資金が逃げているサイン

ディフェンシブ寄りの指数や銘柄が相対的に堅調であることが取り上げられていました。

ダウのような守りの色が強い動きが小幅ながら続き、対してハイテク比率が高いETFは弱い。投資家がリスクを取りに行くのではなく、資金の逃げ先を探して動いている、という解釈です。

個別株でも、2月12日に下落が目立った日でも上昇している銘柄は注目した方がよいと述べられていました。

例としてコストコやジョンソン・エンド・ジョンソンのようなディフェンシブ銘柄が挙げられ、セオリー通りに資金が動いていることが示唆されました。逆に、そうした守りの銘柄まで含めて全面的に崩れるようなら、相場はより厳しい局面に入る可能性がある、という視点も提示されています。

AI投資の影で、ソフトウェアやアプリが売られやすい

もう1つの大きなテーマがAIです。AIや設備投資に資金が集中することで、アプリケーションやソフトウェアなどの領域が相対的に売られている、という説明がありました。

決算で1日で株価が12%下がるケースが出ていることや、Appleが1日で5%下落したことに触れ、個別の材料だけでなく市場心理が変化していることが示されています。

また、Microsoftが直近で16%下落、Amazonが13%下落といった数字が並びました。

大型株の下落は指数全体の上値を抑えやすく、指数が「意外と耐えている」ように見えるのは、まだ全面安になり切っていないからだ、というニュアンスも読み取れます。

この文脈で興味深いのは、セールスフォースのような企業が「AIに取って代わられる」というストーリーで標的になっている一方、現実には企業システムの置き換えは簡単ではなく、マーケットが先に先に織り込みすぎている可能性がある、という指摘です。

株価は将来を先回りする性質があるにしても、行き過ぎた売りが生まれれば、買いが入った瞬間に劇的に戻る局面もあり得る。ここで、リスクを限定した形としてオプション活用の話にも触れられていました。

テクニカルで見る分岐点と警戒ライン

ここからは動画の中心であるテクニカルの話を、初心者にも分かるように整理します。

10%幅のレンジが約5カ月続いた後は動きやすい

レンジ相場とは、高値と安値の範囲内で株価が行ったり来たりし、方向感が出ない状態です。今回のポイントは、値幅が約10%程度で、期間が約5カ月と比較的長いことです。

期間が長いほど、投資家のポジションが溜まりやすく、どちらかに抜けた時に損切りや追随買いが重なって値動きが大きくなることがあります。

動画では、あと1日から2日、連続で下げるとレンジの下限を下抜けする可能性があると述べられていました。

この「連続で」という部分が重要で、単発でヒゲのように下に出るだけではなく、終値ベースで弱さが続くと、短期勢の売りが売りを呼びやすくなります。

半導体が一緒に崩れるかが全体相場の重要チェックポイント

動画では、半導体セクターは相対的に強い部類だが、直近ではハイテクが全般的に売られているため、半導体まで売りが波及するなら雰囲気が全体的に悪化しているサインだ、という説明がありました。

初心者向けに言い換えると、これまで相場を支えてきたエンジンが止まりかけているかどうかを見る、ということです。AI関連やデータセンター投資の文脈では半導体は中心に位置します。

ここが崩れると、強いテーマにまで売りが広がる形になり、指数の下落圧力が強まりやすい、という考え方です。

上がる銘柄が見つけにくい局面はリスク管理が重要

動画では「上がっている銘柄を見つけるのが難しくなっている」とも語られていました。

これは相場の地合いが悪化している局面でよく出る特徴です。一方で、INTCのように上昇している銘柄、シェブロンのようにテーマ通りに強い銘柄があることも示され、セクター分散や視点の置き方次第で「どうしようもない」状態にはならないというメッセージもありました。

マクロで見る相場の土台。金利・雇用・住宅・クレジットの見方

動画の後半は、テクニカルだけでなくマクロの見方が重要だという話に進みます。特に強調されていたのが「金利を見て、通貨を見て、株を見る。コモディティを見る」という順番です。なぜなら、金利が動く理由によって株の意味合いが変わるからです。

金利低下が株にとって良いとは限らない

一般に「金利が下がると株が上がりやすい」と聞いたことがあるかもしれません。しかし動画では、いまの金利低下は「株が調整したから債券が買われ、利回りが下がっている」というリスクオフの色が濃いと説明されていました。

理想の形として語られていたのは、景気が良くインフレ気味で株が上がり、金利も上がるというパターンです。債券に資金が逃げるのではなく、株に資金が向かう状態が強い相場の土台になる、という考え方です。逆に、株が下がり債券が買われる形の金利低下は、あまり良いパターンではないと強調されていました。

国債入札が好調で、今の利回りに満足する投資家がいる

もう1つのポイントとして、米国債の入札が好調で、今の利回りでも買いたい投資家が一定数いることが述べられていました。これは、金利が下がりやすい背景にもなります。ただし、金利低下の理由が「景気不安で株を売って債券を買う」なのか、「利回りが魅力的で債券需要が強い」なのかで、相場の読みが変わるため、表面の金利の上下だけで判断しない方がよい、という含みがあります。

利下げ期待の後退と、関税負担の実態

雇用統計については「内容は強かったが、劇的に強いというほどでもない」という評価がありました。失業率の低下も0.1ポイント程度で、過去の増加と比べて雇用者数の増加が突出して大きいわけではない、という見方です。それでも市場は利下げ確率が大きく低下し、3月のFOMCでの利下げがほぼない状況に近づいた、という説明がありました。

さらに関税の話では、政府側が「輸出国が負担する」と主張する一方、ニューヨーク連銀の報告として「関税の約90%を支払っているのは米国の消費者と米国企業だ」という趣旨が語られました。初心者向けに噛み砕くと、関税は最終的に価格やコストとして国内側に転嫁されやすく、インフレや企業利益に影響し得るということです。発言そのものより、負担構造の実態を見るべきだ、という姿勢が示されています。

コモディティはリスク管理の要。特にゴールドと原油

コモディティでは、ドル高の影響を受けやすい貴金属の動き、そして原油の重要性が語られていました。2月12日に貴金属が下げた局面でも、ゴールドは今年まだ上昇しており、他が下がった時に上昇率を保ちやすいという安定感が強調されています。リスクオフや安全資産としての役割を考えると、ポートフォリオの抑えとしてゴールドが機能しやすいという説明です。

原油については、地政学リスクが顕在化すると一気に跳ね上がり、インフレに直結し得るため、どんな投資をしている人でもチェックするのがセオリーだ、という話でした。株や債券だけを見ていると、インフレ再燃の芽を見落とすことがあるためです。

また、テレビで見る消費者価格と、先物市場で動く原料価格にはタイムラグがある点にも触れられていました。例えばココア価格が大きく動いても、チョコレートなどの最終価格に反映されるまで時間がかかる。投資判断では、テレビで取り上げられる「今の値上げ」よりも、市場で先に動いている原料価格を見た方が意味がある、という文脈です。

労働市場と住宅市場のにじみ。クレジット延滞率の警戒

雇用関連では新規失業保険申請件数に触れ、継続受給者数が増えている点が示されました。労働市場が本当に安定しているのか分かりづらい局面だという認識です。

住宅関連では中古住宅販売戸数が大きく減少し、直近の低水準に近づいていること、そして仮契約指数が販売戸数に連動しやすいことが説明されました。米国の住宅取引の約7割が中古住宅という前提も語られ、中古住宅が弱いことは住宅全体の弱さにつながりやすい、という見立てです。

さらに、建設労働者がデータセンターなどにシフトしているという構造変化にも触れられました。ここは景気の強弱だけでなく、投資テーマがどこに集中しているかを示す材料にもなります。

個人の家計面では、延滞率が上がってきていることが取り上げられました。クレジットカード、学生ローン、オートローン、モーゲージといった領域で支払いが90日以上遅れる人が増えているという話で、個人消費の足腰が弱くなりつつある可能性が示唆されています。クレジットカードの延滞については、過去の山としてリーマンショック後の水準が連想されるというやり取りもあり、怖さを感じる視聴者目線がそのまま表現されていました。

マグニフィセント7抜きの収益性が弱いと指数は上がりにくい

動画では、S&P500からテックやマグニフィセント7を除いた収益マージンにも触れられていました。要するに、超大型ハイテクを除くと企業収益の厚みが弱く、指数が上がるには結局大型株が再び買われる必要がある、という視点です。

ここは初心者がつまずきやすいポイントですが、S&P500は分散されているようでいて、時期によっては一部の大型株が指数全体を強く左右します。大型株が沈むと指数が伸びづらい。逆に大型株が戻れば指数が見栄え良く上がる。だからこそ、いまの相場は「大型株に資金が戻るかどうか」が分岐点になる、という整理です。

データ検証:6セクターが買われすぎでも、1年後は上がりやすいという統計

動画の中で、もう1つ重要なデータ検証がありました。S&P500のセクターは10個程度に分かれますが、その中で買われすぎ状態のセクターが何%あるかを調べたところ、今は6セクターが買われすぎになっている、という説明です。例としてエネルギー、素材、工業、生活必需品などが挙げられていました。

こうした状態が出た後、S&P500がどうなったかを過去データで確認すると、1年後の平均リターンは12.8%程度で、全体平均の10%より高い。さらに1990年以降のデータでは、1年後に上昇している確率が91%という趣旨が語られました。つまり、足元の2極化やセクターの偏りが目立っていても、それだけでS&P500を過度に悲観するのは良くない、という結論につながります。

ただし同時に、目先の上げ下げとは別に、投資家の行動が変わってきているサインでもあるため、短期の値動きに振り回されるのではなく、資金の行き先を観察すべきだとも述べられていました。

資金の逃げ先:米国以外、とくに新興国やアジア株の強さ

動画では、資金の一部がアジア株や新興国に向かっている可能性にも触れられていました。今年に入ってからのパフォーマンスが米国と全然違う、という表現で、米国一辺倒の投資に対して分散の重要性が改めて強調されています。

この話は「米国株が終わる」という極端な主張ではありません。米国株は依然としてラージキャップやグロースとして重要だが、それだけに偏ると、米国のレンジ崩れやテーマ転換の影響をまともに受けてしまう。だから地域分散を取り入れる意味がある、という現実的な提案として語られていました。

2020年代の実績から考える分散先:ゴールド、ラージキャップ、バリュー、コモディティ

動画では、2020年代に入ってからの年間リターンの中で、ゴールドが最も高いという趣旨が語られていました。そして次にラージキャップ、グロースが続く一方で、バリューも入れた方がよい。さらに後ろにはカッパーなどのコモディティが続く、という整理です。

ここで強調されていたのは、ゴールドだけに集中するのは分散投資ではない、という点です。たまたま当たっただけの運用は再現性が低い。運用理論としても分散の考え方から外れるため、長期で資産を守り増やすには、複数の資産に分けて持つべきだ、という姿勢です。

また、債券については2020年に入ってからリターンが伸びていないという趣旨の発言があり、インフレ環境では債券中心の発想は厳しくなりやすいという見立てが語られていました。ここも、金利が下がっているから債券が正解、という単純化ではなく、インフレと資産価格の関係を踏まえた上で、どこにどう分散するかを考える必要がある、という流れです。

まとめ:分岐点はレンジ下限と金利の意味。慌てず、しかし備える

動画の結論は、恐怖を煽ることではなく、分岐点を理解して備えることにありました。

テクニカル面では、S&P500が約10%幅のレンジを約5カ月続けており、あと1日から2日連続で下げるとレンジ下限を割り込む可能性があるという警戒が示されました。ここを明確に割るなら短期的な下落トレンド入りのリスクが高まり、下落が2週間から3週間続く可能性もあるため、直近数日が重要です。特に半導体のような相場の中核テーマまで一緒に崩れるかは、地合い悪化のチェックポイントになります。

マクロ面では、金利低下がリスクオフ由来で起きているなら良い形ではなく、株に資金が戻る状態が必要だという整理がありました。雇用は強いが突出して強いわけではなく、住宅やクレジット延滞などには弱さの芽が見える。コモディティ、とくにゴールドや原油はリスク管理の観点から継続して観察すべきだ、という提案もありました。

一方で、セクターの買われすぎが目立つ局面でも、過去統計では1年後に上昇しやすいというデータが示され、過度な悲観は避けるべきだとも語られています。だからこそ、結論は「慌てるな」です。ただし何に分散するかが重要で、米国株だけに偏らず、ゴールド、ラージキャップ、グロース、バリュー、コモディティ、そして地域分散も含めて、ショックが起きても問題ない形に近づけることが大切だ、というメッセージで締めくくられていました。

相場は常に不確実ですが、分岐点の場所と、資金の流れを観察する順番を押さえるだけで、判断の精度は上がります。レンジ下限の攻防と金利の意味を見失わず、短期の値動きに飲まれない運用設計を意識していきたいところです。

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