本記事は、YouTube動画『【新NISA】積立額でここまで差が出る?50代60代が知るべき投資額と期間の決め方とは?』の内容を基に構成しています。
50代や60代で新NISAの積立投資を始める場合、多くの人が最初に悩むのが「毎月いくら積み立てればいいのか」と「何年間続けるべきか」という点です。投資の世界では「無理せずコツコツ続けるのが大事」と言われる一方で、「少額をダラダラやっても意味がない。できるだけ多く、できるだけ長く運用した方が勝つ」とも言われます。
どちらも正しいように聞こえるからこそ、結局、自分はどうすればいいのか分からない。特に50代60代は、20代30代のように時間が無限にあるわけではありません。老後資金、退職のタイミング、健康、働ける年数、生活費の見通しなど、投資以外の条件も重くのしかかります。
そこで動画では、よくある2つの積立パターンを数字で比較し、さらに「増える方が正解」と単純に決めてはいけない理由まで踏み込んで解説しています。
まず結論:同じ運用期間なら、先に多く入れた方が増えやすい
動画の中心となる比較は次の2パターンです。
毎月3万円を15年間積み立てるのか。毎月10万円を5年間積み立てて、その後は追加投資を止めて運用だけ続けるのか。どちらも「合計15年間は運用している」という条件をそろえた上で比べます。
結論だけ言うと、運用期間が同じなら、先に多く入れた方が増えやすいという結果になります。
ただし、この結論には注意点があります。増える結果だけを見て「じゃあ10万円が正解だ」と決めると、50代60代では失敗しやすい。動画はここを強調していました。
シミュレーションで比較:3万円×15年と10万円×5年はどう違うのか
年利5%で計算した場合の基本比較
まず動画では年利5%という前提で、2つのパターンを計算します。
毎月3万円を15年間積み立てた場合、元本は3万円×12か月×15年で540万円になります。これを年利5%で運用すると、最終的に約790万円になります。
一方、毎月10万円を5年間積み立てた場合、元本は10万円×12か月×5年で600万円です。これを年利5%で運用すると、5年後の時点では約680万円になります。
ここだけを見ると、元本が多い10万円の方が、リターンが小さく見えます。600万円入れて680万円にしかならないのに、540万円しか入れていない3万円の方が790万円になっている。直感的には「3万円の方が得に見える」状況です。
しかし動画は、ここで「その比較はフェアではない」と指摘します。
フェアにするために「運用期間」をそろえる
3万円の方は15年間ずっと積み立てながら運用していますが、10万円の方は積み立てが5年で終わってしまっています。積み立て期間が違う以上、運用期間も揃えないと正しい比較になりません。
そこで、10万円の方も「5年間積み立てた後、追加投資はしないが運用だけは残り10年続ける」という形にして、トータル15年の運用で比較します。
この条件で年利5%で見ると、10万円×5年は15年後に約1100万円になります。一方の3万円×15年は約800万円です。
つまり同じ15年運用するなら、先に10万円を5年間入れた方が約300万円多いというのが、動画が示した結論です。
それでも不安になる点:年利5%って本当に妥当なのか
ここで多くの人が引っかかります。年利5%で増える前提は都合が良すぎるのではないか。暴落もあるのに、そんなに安定して増えるのか。もし年利3%しか出なければ差は縮むのではないか。だから5%という数字の根拠が分からないと判断できない。
動画はこの疑問に対して、過去データから「5%がどれくらい現実的か」を説明しています。
過去10年20年30年のリターンデータ
動画では、全世界株式とS&P500の過去の年率リターンを期間別に示していました。
全世界株式は、過去10年で約15.3%、20年で約10.3%、30年で約9.8%。S&P500は、過去10年で約17.4%、20年で約12.3%、30年で約11.7%という水準です。
重要なのは、これらの期間にはコロナショック、リーマンショック、ITバブル崩壊などの大きな下落局面も含まれているという点です。それでも長期で見ると年率10%前後の結果が出ている。
つまり、シミュレーションで置いた年利5%は、過去の実績と比べればかなり保守的な数字だというのが動画の主張です。
ただし動画は「過去がそうだから未来もずっと10%」という言い方はしません。むしろ、過去10%だったから未来永劫10%は暴論だと明確に否定します。ここが現実的な部分です。
年利10%で増えたとしても暴落したらどうなるのか
動画は次に「もし年利10%で増えたら」という計算を出し、さらにそこから「30%下落」「50%下落」といった暴落を加えた場合にどうなるかを示して、数字のイメージをつかませます。
3万円×15年が年利10%で増えた場合
毎月3万円を15年間積み立てると元本は540万円です。年利10%で増えた場合、15年後は約1200万円になります。
ただし、ここで30%下落すると約840万円、50%下落すると約602万円になります。
ここで動画が伝えたいのは、次の感覚です。年利10%で成長していた場合、途中で30%下落しても、年利5%で運用した場合の結果(約790万円)より上に残ることがある。さらに50%下落というかなり強い下落でも、元本540万円を割らずに602万円残る可能性がある。
暴落が来ると怖い、だから投資は危ないと感じる人は多いですが、長期で積み立てている場合は「暴落しても元本割れしにくい局面が出る」というのが、動画が示したイメージです。
10万円×5年+運用10年が年利10%で増えた場合
毎月10万円を5年間積み立てると元本は600万円です。これをその後10年運用し続けて年利10%で増えた場合、15年後は約2000万円になります。
ここから30%下落すると約1400万円、50%下落すると約1000万円になります。
年利5%で運用した場合の最終値は約1100万円だったので、30%下落しても年利5%運用よりかなり上。50%下落すると年利5%運用よりやや下になるが、それでも元本600万円から見れば大きく増えている。
動画はここで「上昇の部分は控えめに見ているのに、下落だけ最大級を仮定している」という言い方をしていました。つまり、上振れを大きく見積もらず、下振れを大きく想定しても、それでも長期の積立は成立しやすいという説明です。
50%下落は現実に起きるのか:過去100年の下落データ
動画ではさらに、S&P500や全世界株式が「1年単位で50%以上下落した年が過去100年間にあったか」を調べた結果も紹介していました。
結論として、過去100年間で年間ベースで50%以上下落した年は1回もないという説明です。
最大の下落は1931年の約47%、次いで2008年のリーマンショックで約40%とされています。
ここで注意が必要なのは、年の途中の高値から安値までの最大下落(いわゆる瞬間風速的な下落率)では50%超が全く無いとは言い切れない点です。動画も「高い瞬間と低い瞬間を拾えば50%以上はごく稀にある」と触れていました。ただし「1年間の始まりと終わりを比べる」という年次の下落率では50%超がなかった、という整理です。
この説明があることで、先ほどの「50%暴落を仮定したシミュレーション」は、かなり厳しめの想定であるという位置づけになります。
年利5%の正体:安定して増える話ではなく、上下の結果として平均が5%になる
「年利5%」という言葉が誤解を生むポイントがあります。年利5%というのは、毎年きれいに5%ずつ増えていくという意味ではありません。
動画では、株価は黒い線のように上下に大きく振れながら進むのが普通で、その中で大きく下がる局面まで含めて長期で均すと、結果として年率5%くらいに見えるというイメージを提示していました。
つまり「年利5%」は、安定成長の約束ではなく、上がったり下がったりを繰り返した末の平均値として理解すべきだという話です。
ここからが本題:50代60代の投資は「増える方」だけで決めると失敗する
シミュレーション上は、同じ15年運用するなら10万円×5年の方が増えやすい。ここまでの数字だけを見ると「じゃあ10万円が正解」という結論になりそうです。
しかし動画は、50代60代がやってはいけないのは「どれが1番増えるか」「どれが1番得か」だけで選ぶことだと言います。
理由は単純で、50代60代は投資以外の制約が大きいからです。健康面、何歳まで働けるか、手元資金、今後の支出計画、生活設計。これらを無視して投資額だけを最大化すると、途中で継続できなくなり、結果的に負けやすくなるという考え方です。
3万円×15年がおすすめになりやすい人の特徴
動画では、3万円×15年のような「無理なく長く続けるタイプ」が向いている人も明確に示しています。
まず、そもそも10万円を5年間積み立てるのが現実的に無理な人は、無理する必要がありません。これは当たり前ですが、実務上は非常に重要です。
次に、60歳以降もできるだけ長く働きたい人です。完全リタイアを急がず、65歳や70歳でも働ける見通しがあるなら、焦って積立額を引き上げるより、継続性重視の方が合うケースがあります。
また、貯金が一気に減っていくことに強いストレスを感じる人も、長期で少額の方が続けやすいとされます。精神的な安定が崩れると、暴落時に積立を止めたり売却したりしやすくなり、結果が悪化するからです。
10万円×5年がおすすめになりやすい人の特徴
一方で、10万円×5年が向いている人もいます。
例えば、今の収入が明らかにピークで、15年も経てば収入が落ちる見込みが強い人です。今投資できるうちに投資した方が安心だと感じる人は、この考え方に適合します。
また、生活費とは別に使い道が決まっていない資金がある程度ある人も、少額を長く積むより、短期で多めに入れて運用期間を稼ぐ方が合理的になりやすいと説明されていました。
さらに、10年後15年後も積立を続けられる精神的余力があるか不安な人です。長期を約束できないなら、できる時に集中して入れておくという発想が合う場合があります。
最大のポイント:「長期で運用できるかどうか」が全てを決める
動画が繰り返し伝えていたのは、最終的に大事なのはここだという点です。
理屈上は、先に多く入れた方が増えやすい。しかし、高い金額を入れたせいで途中で投資をやめてしまうと、話は逆転します。
例えば10万円を5年間積み立てたが、その後の運用を続けられず、5年で終わった人は約680万円で止まります。一方で3万円を15年間きちんと続けられた人は約790万円になる。こういう逆転は現実に起こり得る。
だから、増える方を選ぶより「自然体で続けられる方」を選ぶべきだ、というのが動画の結論です。
投資で増やせる人が少ない理由は「得な方法探し」になっているから
動画では、実際にお金を増やせている人は2割程度しかいないと言われている、という話も出てきます。
その理由として挙げられていたのが、多くの人が「どれが増えるのか」「どれが得なのか」ばかり考えてしまい、「自分にとって続く方法はどれか」を考えていないことです。
投資はテクニックだけではなく、継続できる設計があるかどうかで結果が大きく変わる。特に50代60代は、投資以外の生活条件が厳しくなる局面が増えるため、この視点が欠けると失敗しやすいというわけです。
まとめ:50代60代の新NISAは「最大リターン」より「継続できる設計」が勝ちやすい
動画のシミュレーションでは、同じ15年間運用するなら、毎月10万円を5年間積み立てて残り10年は運用だけ続ける方が、毎月3万円を15年間積み立てるより増えやすいという結果が示されました。年利5%の想定でも、最終的に約1100万円と約800万円で約300万円の差が出ます。
一方で、年利5%が「毎年きれいに5%増える」話ではなく、上下動を含めた平均として理解すべきであること、過去データでは長期リターンが年率10%前後になっている期間も多いこと、そして50%級の年間下落は過去100年では確認されていないという点も説明されました。
しかし、50代60代の投資判断で最も重要なのは「どちらが増えるか」だけではありません。健康、働ける年数、手元資金、今後の支出、精神的ストレスなどを含め、無理なく長く続けられる方法を選ぶことが最優先です。
結局のところ、あなたにとって自然体で継続できる積立額と期間こそが、50代60代の新NISAで失敗しにくい正解になります。数字の比較は参考にしつつ、生活設計に合う形で投資計画を組み直すことが大切です。


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