本記事は、YouTube動画『【円キャリー崩壊⁈】海外勢が金利上昇中に6兆円も日本国債を買った衝撃の理由』の内容を基に構成しています。
日本の国債市場で、常識では説明しにくい現象が起きています。
金利が上昇している局面では、一般的に債券価格は下落し、投資家は債券を売りやすくなります。ところが今回、海外の巨大投資家が金利上昇局面にもかかわらず、日本の長期国債を月間で6兆円規模という歴史的な大きさで買い越しました。
動画は、この逆行するように見える行動の裏側にある戦略を解き明かし、その先に起こり得る日本株市場のシナリオまでを一気通貫で解説しています。
ここから先は、導入として現状を整理し、背景を押さえたうえで、動画の主張を丁寧に分解しながら、最後に投資判断の枠組みとしてまとめていきます。
金利が上がるのに、なぜ海外勢は日本国債を買ったのか
動画が提示する最大の違和感はシンプルです。
金利が上がれば債券価格は下がるため、普通は債券を買うより売るほうが合理的に見えます。
それにもかかわらず、2026年1月に海外投資家が日本の長期国債、いわゆるJGBを6兆400億円という規模で買い越したという点が、今回の出発点になります。
これは2023年以降で最大、統計が遡れる2004年以降でも過去2番目の規模だと説明されています。
加えて、環境認識も強調されています。
日銀は2026年1月末に政策金利をおよそ0.5%まで引き上げ、国債買入れ額もかつての月6兆円規模から3兆円へ半減させるテーパリングを進めています。
10年国債利回りは1月20日に2.2%から2.35%へ上昇し、40年国債利回りは市場で初めて4%を突破したとも語られています。つまり、教科書通りなら国債を買いに行く局面ではない、という前提が置かれています。
国債市場では「金利上昇=売り」が基本になる理由
債券は、将来受け取る利息と元本が決まっている金融商品です。
市場金利が上がると、同じ条件の債券でも、より高い利回りを提供する新発債が出てくるため、既発債は相対的に魅力が落ち、価格が下がる傾向になります。
これが「金利が上がると債券価格が下がる」と言われる基本構造です。
したがって、利上げ局面や利回り上昇局面で長期債を大量に買うのは、短期的には含み損を抱えやすい行動にも見えます。動画は、ここにこそ重要な戦略が隠れているとし、表面的な説明では足りないと主張します。
海外勢が逆張りで買った「本当の理由」
国内の買い手が消えた「真空地帯」を突いたという説明
動画の1つ目の理由は、国内の買い手が事実上いなくなっていたという構図です。
日銀が買入れを減らすなら、その分を国内の銀行や生保、年金基金が吸収するのが通常のイメージですが、現実はそうならなかったという見立てが提示されています。
銀行はバーゼル規制など健全性規制の影響を受け、金利上昇局面で長期債を持つことが大きなリスクになり得ます
。銀行が好んで買えるのは5年以下の短中期債になりがちなのに、市場に出回るJGBの平均満期は9.5年程度と長く、ミスマッチが生じたという説明です。結果として、銀行が吸収できたのは日銀減少分の3割程度という分析もある、と語られています。
生保や年金基金についても、日本の人口減少で運用資産の増加率がここ5年で年1%程度にとどまるなど、買い増し余力が乏しいという論旨が続きます。個人マネーは新NISAの影響もあり、オルカンやS&P500など海外株式インデックスに流れているため、国内債券を積極的に買い支える動きになりにくいと整理されます。
この結果、JGB市場は「国内の買い手がほぼいない真空地帯」になり、そこへ海外勢が利回り急騰のタイミングで圧倒的資金力で買い向かった、というのが動画の説明です。誰も買えないから価格が下がりすぎた歪みを突き、高い利回りをロックインした。これを流動性プレミアムの獲得と表現しています。
さらに衝撃的な理由として「日本の財政の限界点」を計算したという説明
2つ目の理由は、海外勢が日本の財政の限界点を織り込んでいる、というかなり踏み込んだ主張です。動画では、10年国債利回りが2.3%台、40年国債利回りが4%超という水準は、日本の財政にとって危険な領域だと位置づけます。
政府債務が1287兆円に達しているという前提のもと、今後9年から10年で平均2%から2.5%の金利で借り替えが進むと、利払い費が歳出の9%から最悪35%から40%にまで膨れ上がる可能性があるという試算が紹介されています。
こうした状況になれば政府が持たず、日銀はいずれ国債買入れの再拡大、事実上の金利上昇抑制政策の復活を余儀なくされる、という読みが提示されます。
つまり海外勢は、金利が今後さらに上がるのではなく、どこかで下がる方向に賭けているという見方です。金利が下がれば債券価格は上がり、今の水準で買っておけば大きなキャピタルゲインが得られる。これは感情ではなく、冷静なリスクリワード計算に基づく逆張りだ、という結論につながっています。
2004年のフラクタルと「グレートローテーション」仮説
動画の核は、ここからさらに時間軸を伸ばして、歴史パターンの類似を根拠に日本株の先行きを論じる点にあります。
2004年から2005年に起きた資金移動と、小泉ラリーの再現可能性
今回の買い越し規模は2004年以来と言われる、と動画は述べます。
そして2004年当時、日本は量的緩和の真っただ中にあり、海外勢がJGBを大規模に買い越していた時期があったと整理します。その後、2005年にかけて海外資金が日本株へ移動し始め、郵政解散選挙の時期に勢いが増し、外国人主導の日本株大相場、いわゆる小泉ラリーの原動力になった、という歴史の流れを引用します。
今回も同じ構造ではないか、というのが動画の仮説です。
金利急騰と国内買い手不在の真空地帯に海外のスマートマネーがまず債券で入り、次のステップとして株式へ移る。債券はあくまで資金の駐車場、待機場所であり、環境が整えば日本株へ大移動してくる可能性が高い、という見立てです。
2026年2月8日の解散総選挙と政治イベントの重ね合わせ
さらに動画では、2026年2月8日に高市政権のスナップ選挙、早期解散総選挙が実施されたと述べ、2005年の郵政解散との類似性が偶然ではないように思えると示唆します。
選挙後に政策の安定化と名目成長の加速、つまりインフレ定着の確度が高まった段階で、債券に置かれた巨大資金が株式へ移動する。これがグレートローテーション、債券から株式への歴史的資金移動だと説明されています。
そして、2026年2月20日時点の日経平均が5万6825円という水準にある一方で、債券市場に待機する6兆円規模の資金が株に向かう受給改善シナリオは、まだ株価に十分織り込まれていない、と動画は主張します。
円キャリー巻き戻しは「恐怖」だが、日本が逆説的に安全資産化する可能性もある
円キャリートレードの巻き戻しが引き起こす短期ショック
動画は強気一辺倒ではなく、市場が恐れるシナリオも提示します。
長年、世界では円キャリートレードが行われてきました。超低金利の日本で円を借り、米国株や新興国の高利回り資産に投資する取引です。しかし日銀が利上げを続けて日本の金利が上がると、この取引の旨味が薄れ、急速に解消されるキャリー巻き戻しが起きる可能性があります。
その場合、円高と世界株安が連鎖するリスクがあります。動画は具体例として、1月20日にS&P500が2%超下落したことを挙げ、日本の金利上昇が引き金だったという見方もあると述べています。
中長期では「資金の逃避先」として日本が選ばれる可能性
ここで動画は逆説的な視点を提示します。短期的にはリスクオフで日本株も下がるかもしれないが、中長期で見ると、世界の資金の行き場が変わる可能性があるという論です。
米国はハイテク株の過大評価修正や関税戦争不安で不安定化し、中国や欧州も投資しにくい局面になれば、相対的に安定し成長余地がある市場として日本が資金の受け皿になる、というシナリオが描かれます。2024年実績として名目賃金成長率がおよそ3%、物価と賃金の好循環が生まれつつあること、コーポレートガバナンス改革で株主還元が進んでいること、インフレに伴う名目経済拡大が始まっていることなどを材料に、日本株の逆説的な政府平文化、つまり安全資産的な評価を受ける可能性があると述べます。
加えて、2025年の実績として海外投資家が日本株を過去12年間で最大となる約8兆円規模で買い越したという数字も挙げ、海外勢の行動はランダムではなく戦略的だと説明します。
日本株の中で市場が見落としている3つのテーマ|セクター革命の具体像
動画後半は、マクロの話を日本株の具体テーマに落とし込みます。市場が誤解している、あるいは見落としている論点として、3つのテーマが提示されます。
テーマ1|ソフトウェアAIから物理AIへ。日本が主役になり得る理由
これまでのAI投資はソフトウェアと、それを支える米国の半導体企業が中心でした。しかしボトルネックが変わり、チップだけではなく、メモリやAIを現実世界で動かすハードウェア側に制約が移ってきている、というのが動画の認識です。ここで物理AIという概念が登場します。ロボット、工場自動化、自動運転、ヒューマノイドなど、知能と物理的動作が融合する領域全般を指すと説明されています。
この領域で日本企業はセンサー、工場自動化、精密機器などに強みがあり、米国が製造業の国内回帰を進め、中国からサプライチェーンを切り離す流れが強まるほど、日本の物理AI企業への需要が高まると見立てます。過去3年は中国の低価格競争に負ける懸念で株価が伸びにくかったが、米中デカップリングが加速すればシナリオが逆転し、日本勢が再評価される可能性があるという流れです。
具体例として、キーエンス(証券コード6861)が挙げられています。工場自動化のセンサーや測定機で世界トップ級、営業利益率が37%という水準、無借金経営で財務も堅いという説明があり、2026年2月20日時点で株価が5万8000円台、時価総額が約14兆円、一部の強気な目標株価として6万9000円台という水準にも触れられています。
テーマ2|金融セクターは第1波が終わっただけで、第2波があるという視点
銀行株や保険株は利上げで利ざや改善が期待され、すでに上昇しているため「もう織り込み済み」と考える人も多いが、それは第1波が終わっただけだという見方が紹介されます。
銀行の第2波は、日本企業が溜め込んだ現金を設備投資やM&Aに使い始め、資金需要が復活することだと説明されています。高市政権の重点投資が大型融資案件を生む可能性があり、金利上昇で利ざやが改善するうえに、融資量も増えるなら、掛け算で収益が伸びる余地があるという論理です。
具体例として、三菱UFJフィナンシャル・グループ(証券コード8306)が挙げられ、2026年2月20日時点で株価2942円、目標株価3400円、場合によっては2026年末に3500円超も視野という見方が示されています。
さらに生命保険セクターについては、会計ルール見直しの可能性が取り上げられます。金利上昇で保有債券価格が下がっても、一定条件なら損失として計上しなくて済む可能性があるという説明で、これが実現すれば、これまでの弱点だった「金利上昇で含み損が膨らみ決算が悪化するリスク」が軽減され、金利上昇のプラス面が株価に反映されやすくなる、という論旨です。
例として第一生命ホールディングス(証券コード8750)が挙げられ、2026年2月20日時点で1562円、2月18日に上場来高値更新、会計ルール変更の理解が進めば1800円から2000円のレンジもあり得るという見立てが語られています。
テーマ3|不動産は金利上昇で下がる、は本当に正しいのか
教科書的には金利上昇で不動産会社の資金調達コストが上がり、株価の重しになりやすいとされます。動画は、短期的にはそうだが、今の日本のマクロでは必ずしもそれだけではないと述べます。
名目賃金が上がり、インフレが定着しつつあるなら、オフィス賃料やマンション価格を引き上げられる可能性があるため、金利が上がってもインフレ率や賃料上昇率が上回れば、不動産のメリットが勝つ局面があり得るという考え方です。不動産は実物資産であり、インフレヘッジになるという整理がなされています。
さらに、PBR1倍割れ是正の流れやアクティビスト圧力の中で、政策保有株の売却、自社株買い、増配といった株主還元の強化が進んでいる点も追い風として挙げられます。
具体例として三井不動産(証券コード8801)が示され、2026年2月20日時点で株価2086円、目標株価2400円、過剰に悪影響を織り込んでいるなら2500円から2800円の領域も排除できない、という見立てが語られています。
全体整理|日本株の強み・弱み・機会・脅威をどう見るか
動画は最後に、日本市場全体の強み弱み機会脅威を整理し、投資判断の材料として提示します。強みとしては、インフレ定着に伴う価格転嫁力の回復、コーポレートガバナンス改革による株主還元の進展、物理AI領域での製造技術の蓄積が挙げられます。
弱みとしては、1287兆円という政府債務が金利上昇で利払い負担を急増させ得る財政リスク、人口減少と労働力不足、為替変動による不安定さが挙げられています。
機会としては、債券に待機する6兆円規模の海外資金が株式市場へ移るグレートローテーション、米中デカップリングの進展で日本がサプライチェーンの受け皿になること、訪日需要拡大が挙げられます。脅威としては、国債市場の不安定化が制御不能になるシナリオ、円キャリー巻き戻しの急激化、米中対立や関税戦争の激化が挙げられます。
そしてメインシナリオとして、適度な名目成長と緩やかな金利上昇が共存し、日銀が財政影響を意識しながら慎重に動くことで、2004年から2005年に似た資金移動が起き、日本株が上値を試す展開が描かれています。一方で、財政悪化が加速して国債市場が揺らぐ場合は、慎重さが必要だという注意も添えられています。
まとめ|海外勢の6兆円買いは「日本株の前兆」になり得るのか
動画が伝えたい結論は、海外投資家による2026年1月の長期国債6兆400億円買い越しは、単なる利回り狙いではなく、国内の買い手不在という歪みを突いた流動性プレミアムの獲得と、日本の財政制約を見越した金利オーバーシュートへの逆張りという、高度な戦略だという点にあります。
そしてより重要なのは、2004年から2005年のパターンとの類似です。当時も国債市場への海外資金流入が、その後の日本株大相場の前兆になったという歴史があり、今回も国債市場で待機する6兆円規模の資金が株式へ移動するグレートローテーションが起きる可能性が示唆されています。その際に注目テーマとして、物理AI関連、金融セクターの第2波、そして不動産のインフレヘッジと株主還元強化が挙げられています。
一方で、円キャリー巻き戻しや国債市場の不安定化、貿易摩擦の激化といったテールリスクも無視できないとされ、目先の値動きに振り回されずマクロの大きな流れを見失わない姿勢が重要だと締めくくられています。なお、動画内でも繰り返し述べられている通り、ここで紹介された内容は情報提供であり、特定の銘柄や投資行動を推奨するものではありません。ご自身のリスク許容度や資産状況に合わせて慎重に判断することが前提になります。


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