本記事は、YouTube動画『Trump’s Tariffs Were Just Cancelled – How To Prepare For What’s Coming』の内容を基に構成しています。
トランプ関税が「取り消し」?市場が揺れた背景
アメリカ最高裁判所が、トランプ大統領による関税措置を「無効」と判断したというニュースが市場を駆け巡りました。これを受けてトランプ大統領は、「もし関税収入を返還させられれば、1929年型の大恐慌が起きかねない」と強い表現で反応しています。
2025年、トランプ大統領は国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に、多くの国に対して広範な関税を導入しました。理由はフェンタニル問題や貿易赤字への対応とされています。しかし最高裁は、「関税は実質的に税金であり、課税権限は議会にある」として大統領の権限を否定しました。
ここから、アメリカ経済と株式市場、そして私たちの資産に大きな不確実性が生まれています。
1500億〜2000億ドルの関税収入はどうなるのか
この約1年間で、アメリカ政府は1500億〜2000億ドルの関税収入を得てきました。日本円換算で約22兆円〜30兆円規模に相当します。
問題は、このお金がどう扱われるのかです。
企業に返還されるのか
消費者に還元されるのか
政府がそのまま保持するのか
現時点では結論は出ておらず、再び裁判に持ち込まれる見通しです。トランプ大統領は「結論が出るまでに何年もかかる」と述べています。
もし政府が返還を命じられれば、その財源はどこから出るのかという問題が生じます。現在アメリカの国家債務は約38兆ドルに達しています。追加で1500億〜2000億ドルを支払う余力はありません。
その場合の選択肢は2つです。
・増税
・通貨発行(マネープリンティング)
いずれにせよ、最終的な負担は国民が背負う可能性が高いのです。
関税は本当に終わったのか?新15%グローバル関税の衝撃
最高裁の判決後、市場は「関税がなくなる」と期待して株価が上昇しました。しかし状況はそれほど単純ではありません。
鉄鋼、アルミ、自動車、中国向け関税などはIEEPA以外の法的根拠に基づいているため継続されています。
さらに、トランプ大統領は即座に「セクション122」を根拠とした新たなグローバル関税を発動しました。当初は10%と発表されましたが、わずか24時間後に15%へ引き上げられ、2026年2月24日から施行予定とされています。
つまり、関税は終わっていません。むしろ新たな法的争いが始まった段階です。
関税が企業収益と株式市場に与える影響
関税は輸入企業が支払う税金です。
例えば、中国から100ドルで商品を輸入し、200ドルで販売していた企業があるとします。15%の関税がかかれば、仕入れコストは115ドルになります。
企業は次の選択を迫られます。
・利益率を削る
・価格を215ドルに引き上げる
・利益維持のため230ドルに値上げする
2025年の関税局面では、企業ごとに対応が分かれました。利益を削った企業もあれば、価格転嫁を行った企業もありました。
今回も同様に、企業の収益見通しは不透明になります。株式市場は将来の利益予測で価格が決まるため、不確実性はボラティリティを高めます。市場が嫌うのは「悪材料」よりも「不透明さ」なのです。
FRB議長交代というもう1つの大きな変数
関税問題と並行して、2026年5月にはFRB議長の任期が満了します。現議長ジェローム・パウエルの後任として、トランプ氏はケビン・ウォルシュを指名しています。
FRBは名目上「連邦」ですが、政府から独立した機関であり、大統領が直接解任できる立場ではありません。しかし議長交代は金融政策の方向性に大きな影響を与えます。
大統領は利下げを強く望んでおり、新議長のスタンス次第では急激な金融緩和が進む可能性もあります。
関税という財政政策の変動
FRB人事という金融政策の変動
この2つが同時進行していることが、2026年市場の最大の特徴です。
中国との経済戦争という構造的テーマ
トランプ政権が関税にこだわる最大の理由は、中国です。
現在世界最大の経済大国はアメリカですが、中国は高い成長率を維持しています。このままいけば、数年以内にGDPでアメリカを上回る可能性があります。
中国は大量の金(ゴールド)を購入し、自国通貨の強化を進めています。狙いはドル覇権の揺さぶりです。
ドルが基軸通貨であることは、アメリカにとって最大の特権です。
・巨額の財政赤字を維持できる
・通貨発行による資金調達が可能
・世界中がドルを保有する
もし中国が経済規模で上回れば、ドルの地位に疑問が生じる可能性があります。関税は単なる税収手段ではなく、製造業回帰と中国経済への圧力という地政学的戦略でもあります。
インフレとドルの信認リスク
関税があれば企業コストは上昇します。コストが上がれば物価も上がります。
仮に関税が25%から15%に下がれば、生産コストは下がります。しかし今後再び引き上げられる可能性も否定できません。
一方、政府が関税収入を返還するために紙幣を大量発行すれば、インフレ圧力が高まります。ドルの価値は最終的に「信認」で決まります。インフレ懸念が強まれば、ドル不安は広がります。
つまり、
・関税によるコストインフレ
・財政悪化による通貨インフレ
この2方向のリスクが同時に存在しています。
投資家はどう備えるべきか
株式市場は短期的には大きく揺れ動く可能性があります。しかし長期的に見れば、企業は新しい環境に適応します。
関税があれば価格に転嫁する
コスト削減を進める
生産拠点を移す
市場は常に変化に適応してきました。
不確実性の時代こそ、現金だけを持つのではなく、資産の一部を株式や実物資産に分散することが重要です。ドル覇権が揺らぐ議論があっても、現時点ではアメリカ経済は依然として世界の中心にあります。
まとめ
トランプ関税は「撤回された」と報じられましたが、実際には新たな15%グローバル関税が導入され、法的闘争は継続しています。
1500億〜2000億ドルの関税収入の扱い
新関税の合法性
FRB議長交代
中国との経済競争
インフレとドル信認
2026年はこれらの要素が交錯する年になります。
短期的なボラティリティは高まる可能性がありますが、重要なのは冷静に全体構造を理解することです。関税は単なる税制問題ではなく、アメリカの覇権維持戦略の一部でもあります。
市場が揺れる局面こそ、長期視点での投資判断が求められる局面だと言えるでしょう。


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