本記事は、YouTube動画『【木野内栄治の最新相場解説】日本株は3月からさらに上がる/AI相場再び、日経平均6万8000円へ/注目の国策銘柄9選/日銀は金利を上げられない?円安懸念は払拭か【マーケット超分析】』の内容を基に構成しています。
2月の上昇を「一時の熱狂」で終わらせない視点
動画では、日本株が2月に大きく上昇した流れを踏まえつつ、「3月から相当良くなるのではないか」という見立てが提示されています。
結論から言うと、単に選挙結果によるご祝儀相場という話ではなく、資金需給の季節性、AI関連の業績サイクル、製造業データの改善、そして国内政策と金融政策の組み合わせが、株価の上昇余地を支えるという整理でした。
日経平均については年内の到達水準として6万8000円という見通しが語られ、達成のタイミングも秋ごろまでに十分あり得るのではないか、という議論が展開されています。
今回の株高を支える「政策期待」と「名目成長」の考え方
動画の前半で重要だったのは、選挙で与党が大勝したことを単なる政治ニュースで終わらせず、経済運営の継続性、ひいては名目GDPの伸びと株価の関係に結びつけて説明していた点です。
ポイントは、インフレを単に物価上昇として見るのではなく、GDP受給ギャップ、つまり需要と供給の差がどの方向に動くかで経済の「熱量」を捉え直すことでした。
需要が供給を上回る状態が続くと、企業は売れるから増産しようとします。しかし残業だけでは限界があるため、研究開発投資や設備投資を増やして供給力そのものを引き上げようとします。
その結果として、全要素生産性が改善し、潜在成長率が押し上がり、名目GDPの将来パスが上向く。株価は名目GDPを先取りしやすいので、名目成長が早く実現すると見込まれれば、株高も早く起こり得る、というロジックでした。
さらに動画では、イノベーションが起きる局面では電気、情報通信関連が相対的に強くなりやすいという、過去約50年の歴史的な傾向にも触れています。今回のAI相場も根っこは同じで、電力、通信、冷却、ケーブルなどのインフラ領域に波及する形で日本株の強みが発揮される、という視点が強調されていました。
なぜ3月から良くなるのか
3月以降の相場を押し上げる「資金需給」の季節性
動画で繰り返し語られたのが、2月下旬から3月にかけての資金の流れです。短期的に市場が神経質になりやすい理由として、今は資金が薄くなりやすい時期であり、リスク資産の換金や悪材料への過敏反応が起きやすい、という説明がありました。
一方で、米国では税還付が季節的に発生し、5月頃まで資金が戻ってくる流れがあるとされます。資金が戻れば、プライベートクレジットなどで見られる解約や資金引き出し不安も和らぎやすくなり、市場全体の需給が改善しやすい。
さらに、スタイル面でも、2月下旬からグロースが相対的に強くなりやすい傾向が示され、3月以降に物色が変わる可能性が語られていました。
この「資金がないから悪いとこ取りになっているが、それが今だけで終わる可能性がある」という整理が、3月改善シナリオの土台になっています。
AI相場が再加速する鍵は「ハードウェア不振の解消」
AI相場の再点火として象徴的に扱われていたのが、NVIDIAの株価が10月下旬以降、伸び悩んでいた背景です。
動画では、その要因としてAIサーバー企業による警戒感が挙げられました。半導体とサーバーは最終的に同じ需要に紐づくため、サーバー側の弱さが半導体側にも波及し、市場が粗利益率の改善見通しを信じ切れない状態が続いた、という見方です。
しかしその後、AIサーバー企業の決算では10月に警戒が出ていたにもかかわらず、10月から12月の売上が強かったという話が出てきます。新製品の出荷が12月には出始めた可能性があり、決算期のズレも踏まえるとNVIDIA側の業績にもプラスに出る余地がある、という見立てが語られていました。
ここで重要なのは、AIのテーマが終わったという話ではなく、遅れていた評価がデータと決算で再び裏付けられるなら、ナスダックが高値を取りに行く展開もあり得る、という点です。AI相場が再び動けば、日本株もそれに連動しやすいという流れになります。
製造業データの改善が示す「AI投資の波及」
動画では、1月に入ってから世界の製造業が改善している可能性が示されました。米国のISM製造業指数の持ち直し、日本の鉱工業生産の見通し改善、米国の鉱工業生産の改善、日本の輸出の伸びなどが例として挙げられ、AI関連の設備投資が単なるハイテク企業の話にとどまらず、製造業や貿易にも刺激を与え始めているという示唆がありました。
AI投資はデータセンターを作って終わりではなく、電力設備、冷却設備、配線、光通信、工場の増産といった実体経済に広がることで、景気全体の数字にも反映されやすくなります。動画が「3月から良い」とした理由の中には、この波及が統計で見え始めた、という捉え方が含まれています。
リスク要因はどこにあるのか
日銀は利上げを進められるのかという論点
動画では、株高シナリオのブレーキとして「金利」が挙げられています。ただし、単に金利が上がると株が下がるという一般論ではなく、日本の場合は設備投資と実質金利の関係が重要だ、という話でした。
設備投資は株価と連動しやすい。企業が投資を増やし、将来の利益の源泉を積み上げる局面では株価が上がりやすい。しかし実質金利を引き上げるような利上げを急ぐと、設備投資の勢いを削いでしまい、供給力を引き上げて成長するという政策の方向性と逆になってしまう、という指摘がありました。
さらに、物価面でも食品値上げ品目数の減少、小麦価格の前年差マイナス、エネルギー補助金などの影響で、CPIが落ち着いて見える局面が出る可能性が語られています。物価が落ち着くなら、利上げを急ぐ合理性は弱まりやすい。結果として、日銀は簡単には金利を上げにくいのではないか、という見立てにつながっていました。
為替介入は「円安懸念を抑える」一方で株の押し目要因にもなる
円安が進み過ぎれば、政治的にも物価的にも問題になり、利上げ圧力が強まる可能性があります。そこで動画では、為替介入が円安の歯止めとして働き得るという話が出てきます。米国側が一定の裁量を認めるような文脈があるなら、レートチェックのような動きから介入が起きる可能性があり、過去のように節目を少しでも上抜けると急に動くこともある、という見方です。
ただし、円高方向に振れると輸出企業には逆風になりやすく、自動車などは短期的に株価の押し下げ要因になり得ます。また、円安が止まれば利上げの必要性が薄れ、銀行株のテーマも弱くなるかもしれないという話もありました。つまり、為替の安定は全体としてはプラスでも、セクターによっては明暗が分かれるということです。
地政学リスクと市場の不安材料
中東情勢については、オリンピック後に紛争が起きやすいという過去の例が語られつつ、米国が武力行使に踏み切った場合は初動で悪材料出尽くし的に反発しやすい局面もある、という整理が提示されていました。もちろん常に当てはまるわけではありませんが、短期の値動きとしては過剰に悲観し過ぎない視点が紹介されています。
また、プライベートクレジットやSaaS周辺の不安が市場を脆弱にしているという話もありました。生成AIがコーディング領域を代替しやすく、受託構造や収益構造に影響が出ると、関連する資金の流れに不安が出る。ただし、これも資金需給の悪い時期に悪材料が強調されている面があり、資金が戻れば落ち着く可能性がある、という見方でした。
注目セクターと銘柄の考え方:AIの主戦場は日本の「周辺インフラ」
動画の後半で強調されていたのは、AIで直接儲ける企業だけを見るのではなく、AI投資の周辺で不可欠なインフラ領域に注目するという方針です。
特に日本株については、AIそのものよりも、AI関連のインフラや部材で強みを持つ分野が多いという指摘がありました。具体例としては、光ケーブル、電線、冷却、水冷モジュール、データセンター向け電力設備といった領域です。
提供された文字起こしの範囲では、国策銘柄9選の全銘柄名はすべて確認できませんでしたが、少なくとも次のような企業名や方向性が会話内で挙がっています。
古河電工、住友電工、藤倉、SWCCなど、電線や光ケーブル周辺の企業が代表例として言及されていました。また、データセンター投資と電力インフラの関係では、米国で発電設備関連が強く動いている例が触れられ、日本でも同様のテーマが見直される可能性があるという文脈がありました。さらに、日立のように、従来のイメージと違ってインフラ企業として捉え直されやすい銘柄にも言及があります。
ここで大事なのは、設備投資を増やしている企業群に注目するという考え方です。設備投資を増やしている企業は、需要が続く前提で増産体制を作っているため、業績の見通しが極端に保守的になりにくい、という説明がありました。逆に言えば、投資家が最も嫌うのは、強気に見えていたのに企業が急に慎重なガイダンスを出すことですが、設備投資の拡大はそのリスクを相対的に下げやすい、ということです。
まとめ:3月以降は「資金」「AI」「政策」の3点セットで見直す局面
動画の内容を踏まえると、日本株が3月から上向くという見立ては、次の3つが重なって起きる可能性がある、という整理になります。
まず、資金需給です。2月下旬から米国の税還付などで資金環境が改善しやすく、悪材料への過敏さが和らぐ可能性があります。次に、AI相場です。ハードウェア不振の背景にあった警戒感が決算とデータで修正されれば、ナスダック主導で再加速し、日本株にも追い風になります。そして政策と金融です。名目成長を押し上げる方向の経済運営が続くという期待が残る一方で、利上げを急ぎにくい材料や為替介入の可能性もあり、円安懸念が一方的に強まり続ける局面は回避されるかもしれません。
短期的にはSQ要因や為替の揺れで揉み合う場面もあり得るものの、過去の例として、政治イベント後に6カ月から8カ月程度は上がりやすいという示唆も語られていました。したがって、3月以降は、AI投資の周辺インフラ、特に電力、光通信、ケーブル、冷却といった日本の得意分野を軸に、相場の再評価が進むかどうかを丁寧に見ていくことが重要になりそうです。


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