本記事は、YouTube動画「【株式市場】ドバイ不動産指数が22%急落!イラン戦争開始後に各国の市場はどう動いたか!」の内容を基に構成しています。
中東情勢の緊張が高まる中、世界の金融市場にも大きな変化が起きています。日本では日経平均株価の急落、アメリカ株の下落、そして為替市場ではドル高円安といった動きが話題になりました。しかし、戦争の影響はそれだけではありません。
実は中東周辺国やエネルギー関連国の株式市場を見ると、一般的なイメージとは異なる動きが見えてきます。特にイスラエルやサウジアラビアの株式市場は上昇する一方で、ドバイの不動産市場は急落するなど、国によって明暗が分かれています。
この記事では、イランとイスラエルの戦争開始後に各国の株式市場がどのように動いたのかを整理しながら、その背景にある経済構造について初心者にも分かりやすく解説します。
イラン戦争開始後の世界の金融市場の基本的な動き
イランとイスラエルの軍事衝突が始まったことで、世界の金融市場ではリスク回避の動きが広がりました。
一般的に戦争が発生すると、次のような動きが起きることが多いです。
- 株式市場は下落しやすい
- 安全資産とされるドルや金が買われやすい
- 原油価格が上昇する
今回のケースでも、日本株やアメリカ株は下落し、為替市場ではドル高の動きが見られました。しかし中東地域の株式市場を詳しく見ていくと、必ずしもすべての国で株価が下がったわけではありませんでした。
むしろ、戦争によって利益が増えると見られる国や産業では、株価が上昇するという興味深い動きが起きています。
イスラエル株式市場の意外な上昇
まず注目されるのがイスラエルの株式市場です。
イスラエルの代表的な株価指数である「テルアビブ35」は、イスラエルの主要35銘柄で構成される指数です。
この指数の動きを見ると、戦争開始後にもかかわらず株価は上昇しました。
具体的な数字は次の通りです。
- 2月27日:4128.36
- 3月4日:4309.68
- 3月6日:4356.68
つまり、戦争が始まった後にむしろ株価が上昇しているのです。
その後、トランプ大統領が「攻撃は早期に終わる可能性がある」と発言したことで株価は下落しましたが、それでも3月10日時点では4187.97と、戦争前よりも高い水準にあります。
なぜ戦争で株価が上がるのか
この理由は、戦争が継続することで利益が増える企業があるからです。
テルアビブ35の構成を見ると、
- 金融:38%
- 情報技術:18%
となっており、金融やIT関連が半分以上を占めています。IT分野には半導体関連企業なども含まれており、防衛関連技術やサイバーセキュリティ分野の需要増加が期待されている可能性があります。
もちろん戦争そのものは望ましいものではありません。しかし市場は「企業利益」という観点から冷静に評価を行うため、このような動きになることがあります。
サウジアラビア株も上昇、原油価格が追い風に
次にサウジアラビアの株式市場を見てみましょう。
サウジアラビアの主要株価指数は「タダウル指数」と呼ばれています。
この指数の推移は次のようになっています。
- 2月26日:10709.04
- 3月1日:10475.55
- 3月8日:11017.19
- 3月10日:10930.05
一度は下落したものの、その後は上昇に転じています。
サウジアラムコ株の上昇
サウジアラビア株の中で特に注目されるのが、世界最大の石油会社であるサウジアラムコです。
株価の動きは次の通りです。
- 2月26日:24.96
- 3月1日:25.80
- 3月9日:27.12
- 3月10日:26.90
原油価格の上昇と連動する形で株価が上昇しています。
確かにホルムズ海峡が封鎖されれば原油輸出は一時的に減少する可能性があります。しかし市場は「封鎖は永続的ではない」と考えており、むしろ原油価格の高騰が利益増につながると見ているのです。
さらにここ数年は原油価格の低迷が続いていたため、エネルギー企業にとっては価格上昇が歓迎されている側面もあります。
ドバイ金融市場は急落、不動産指数は22%下落
一方で、今回の戦争で最も大きな打撃を受けていると見られるのがドバイです。
ドバイ金融市場指数の動きを見ると、
- 2月27日:6503.5
- 3月4日:6197.19
- 3月10日:5863.53
となり、約13%の下落となりました。
さらに深刻なのが不動産市場です。
ドバイの不動産動向を示す「ドバイリアルエステート指数」は、
- 2月27日:16143.65
- 3月10日:13007.43
となり、約20%下落しています。
さらに高値から計算すると、わずか1週間ほどで22%もの急落となりました。
なぜドバイの不動産が急落したのか
ドバイ経済は外国人富裕層による不動産投資によって発展してきました。しかし戦争による地政学リスクの高まりによって、外国人の移住計画に変化が出ています。
具体的には、
- ドバイ移住を予定していた外国人が計画をキャンセル
- 既に住んでいる外国人も移住を検討
といった動きが報じられています。
例えば、
- 約24万人のイギリス人富裕層
- 約20万人の中国人富裕層
が、香港や他の地域への移住を検討していると言われています。
人口流入によって成長してきた都市にとって、人口流出は非常に大きなリスクです。
カタール株式市場もやや下落
カタールの株式市場も弱い動きとなっています。
カタール株価指数は
- 2月26日:4213.72
- 3月10日:4108.72
と下落しました。
カタールは天然ガス輸出国として知られていますが、株式市場の構成を見ると金融セクターが50%以上を占めています。
つまり、
金融
不動産
サービス業
といった都市型経済が中心であり、地政学リスクの影響を受けやすい構造になっています。
エネルギー輸出国ノルウェーは株価上昇
中東以外で戦争の影響を受けている国として、ノルウェーの株式市場があります。
ノルウェーの株価指数は
- 2月27日:2193.27
- 3月9日:2238.83
と上昇しました。
ノルウェーは北海油田を持つ産油国であり、エネルギー価格の上昇が経済にプラスに働きます。つまり原油価格の上昇は企業収益の増加につながるため、株価の上昇要因になります。
オーストラリアは原油輸入国のため株価下落
資源国として知られるオーストラリアですが、実は原油については輸入国です。
株価指数は
- 2月27日:9198.60
- 3月10日:8721.50
と大きく下落しました。
オーストラリアは天然ガスの輸出国ではあるものの、ガソリンやディーゼルなどの石油製品は中東から輸入しています。そのため原油価格の上昇は経済にとってマイナス要因となります。
かつては国内でも多くの原油を生産していましたが、近年は油田の枯渇や採掘コストの上昇によって生産量が減少しています。
まとめ
イラン戦争開始後の世界の株式市場を見ると、すべての市場が同じように動いているわけではありません。
今回の動きを整理すると次のようになります。
- イスラエル株:上昇
- サウジアラビア株:上昇
- ノルウェー株:上昇
- ドバイ株:大幅下落
- カタール株:下落
- オーストラリア株:下落
つまり、戦争の影響は各国の産業構造によって大きく異なります。
特に今回のケースでは、
エネルギー輸出国は株価上昇
金融・不動産中心の都市型経済は株価下落
という構図が見えてきます。
またドバイでは不動産指数が1週間で22%下落するなど、地政学リスクが都市経済に与える影響の大きさも浮き彫りになりました。
世界経済や金融市場を理解するうえでは、単に「戦争=株安」と考えるのではなく、その国の経済構造や産業の特徴を踏まえて分析することが重要だと言えるでしょう。


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