今回はFXとは少し違う「バイナリーオプション取引」についての話になります。
FXを普段やっていても、バイナリーオプションを知らない方も多いかと思いますので、基本から丁寧に説明し、なぜバイナリーオプションはダメなのかについて解説していきます。
バイナリーオプションとは?
まず、バイナリーオプションとは何かをご説明します。
FXはトレード商品として、株や商品先物相場と同様に、ある対象の価格が上がったり下がったりすることを利用して利益を得るものです。安く仕入れて高く売る、高いところで売って安いところで買い戻すなど、価格の変動幅を利用して利益を上げます。
一方、バイナリーオプションも価格の上昇や下降を利用する点では同じですが、大きな違いは「値幅の概念がない」ことです。バイナリーオプションでは、あらかじめ決められた時間後に相場が上がっているか下がっているかを予想するだけで勝敗が決まります。
バイナリーオプションの仕組み
例えば、バイナリーオプションで「1ドル100円」を賭けるとします。
上がるか下がるかを予想してボタンを押し、もし外れたらその100円は失われます。
逆に、予想が当たった場合には、掛け金の100円に対してペイアウト率(例えば1.9や1.95)が適用され、190円や195円が返ってきます。
つまり、このケースでは負けたら100円の損失、勝ったら90円もしくは95円の損失となりますので、勝った場合には若干少なく返ってくるわけです。
このように、バイナリーオプションは非常にシンプルなルールであり、初心者でもすぐに理解できるような仕組みです。
バイナリーオプションの歴史
バイナリーオプションの歴史はそれほど古くありません。日本でFXが始まったのは1999年ですが、バイナリーオプションは2003年にイギリスのIGグループが初めて商品化しました。
日本でのサービス開始は2009年で、短期間で大ブレイクしました。
しかし、2013年に日本での規制が強化され、最短でも2時間後という時間の制限が設けられました。
これにより、かつてのような短時間での取引が難しくなり、バイナリーオプションの人気は一時的に低下しました。
バイナリーオプションを禁止にしている国も多い
バイナリーオプションは非常に投機性・ギャンブル性が強いということで以下の国で禁止されています。
イギリス
- 2019年4月: イギリスの金融行動監視機構(FCA)は、個人投資家向けのバイナリーオプションの販売、販売促進を禁止しました。
EU圏内(ヨーロッパ)
- 2018年7月: ヨーロッパ証券市場監督局(ESMA)は、EU全域でバイナリーオプションの販売を禁止しました。この禁止は、投資家保護を目的として導入されました。
アメリカ
- 現在の状況: アメリカでは、規制されていないバイナリーオプション業者の提供するサービスは違法です。CFTC(米国商品先物取引委員会)およびSEC(証券取引委員会)が監督する業者のみが合法的にサービスを提供できます。
オーストラリア
- 2021年4月: オーストラリアの金融サービス監督機関(ASIC)は、個人投資家向けのバイナリーオプションの販売を禁止しました。
バイナリーオプションの現状
現在、日本でのバイナリーオプション業者は数が限られており、海外業者に流れる投資家が増えています。
特に、オーストラリアの「ハイロー」が有名ですが、オーストラリアでもバイナリーオプションは2021年に禁止され、現在はマーシャル諸島に拠点を移しています。
バイナリーオプションのリスク
バイナリーオプションは、そのシンプルさゆえに初心者には取っ付きやすいですが、実際には非常にリスクの高い投資方法です。
バイナリー業者の利益は顧客の損失によって成り立つため、業者は顧客が負けるような環境を整えることが一般的です。約定拒否やレート操作といった手法も使用されることがあるため、注意が必要です。
FX業者の場合、顧客の注文をインターバンクに流すことで、業者自体がリスクを取ることを避けられますが、バイナリーオプションの場合はそうはいきません。
そのため、バイナリーオプションはその性質上、確実に顧客と業者が相対取引することになります。
つまりは顧客の損失=業者の利益となるため、業者としては顧客に負けてもらうようなルール作り、仕組みを作ります。
ペイアウト率が2倍にならないのもそうですし、勝っている顧客のアカウントを凍結することも当然よくあります。
まとめ
バイナリーオプションはシンプルなルールで初心者にも理解しやすいですが、リスクも高い投資方法です。特に海外業者を利用する際には、信頼性や規制の有無に十分注意しましょう。
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