日本株の革命とは何か?ビジネスパーソンこそ知るべき株価の本質と企業価値の新常識

本記事は、YouTube動画『ビジネスパーソンこそ知るべき株の本質』の内容を基に構成しています。

目次

導入

株というと、投資家だけが気にするもの、自分にはあまり関係のないもの、あるいは値動きばかりが注目される少し遠い世界の話だと感じている方も多いのではないでしょうか。特に会社員として日々働いていると、目の前の業務に追われ、自分の仕事と株価が結びつく感覚を持つことは簡単ではありません。

しかし、今回の動画では、その常識が大きく揺さぶられます。テーマは「ビジネスパーソンこそ知るべき株の本質」です。動画では、元大和証券の投資銀行部門で上場企業の資金調達やM&A、投資家対応、コーポレートガバナンス改善などに長年携わってきた米村吉孝さんを迎え、日本の株式市場で今まさに起きている大きな変化について解説しています。

とりわけ重要なのは、株価を上げる主役は経営者だけではなく、企業で働く社員一人ひとりでもあるという視点です。これまで投資の話として語られがちだった株価や企業価値の問題を、働く人自身の問題として捉え直すことが、今回の動画の大きなメッセージになっています。

背景説明

日本企業は長く「株価を意識しない経営」をしてきた

動画の中で米村さんがまず強調していたのは、日本の上場企業が長い間、株価をあまり意識しない経営をしてきたという点です。

今の感覚で聞くと少し意外に思えるかもしれませんが、これは日本の企業文化や株式市場の歴史を振り返ると理解しやすくなります。

日本では、企業同士が互いに株を持ち合う「株式持ち合い」という慣行が長く続いてきました。たとえば、同じ企業グループの会社同士や、取引関係の深い企業同士がお互いの株を持つことで、経営の安定を図ってきたのです。

こうした仕組みそのものには一定の合理性がありましたが、一方で問題もありました。

それは、業績が悪化しても、株価が低迷しても、安定株主が一定割合いるため、経営陣への厳しい目が向きにくいという点です。

本来であれば、企業価値を高められない経営には見直しが必要ですが、持ち合い構造の中では、経営陣が市場から強く問われにくい状態が生まれていました。

その結果、日本企業の多くでは「株価はそこまで大事ではない」「売上や利益、あるいは会社の体面や慣行の方が重要」といった空気が根強く残っていたのです。

株価はどちらかといえば投機的で、少し俗っぽいものと見なされ、企業経営の中心に置かれにくかったというのが実情でした。

投資家も短期志向になりやすかった

企業が株価を重視しないとなると、投資家の側も中長期で企業価値を評価しにくくなります。

中長期で株を持っても、企業自身が株価向上に本気で取り組まないのであれば、投資家としては短期の値動きを狙う方が合理的になってしまいます。

つまり、企業が株価を意識しないから投資家は短期化し、投資家が短期的だから企業も株価を軽視する、という悪循環が続いていたわけです。こうした構造が、日本株が長く本格的に評価されにくかった一因だと動画では説明されています。

日本の株式市場に起きている「革命」とは何か

2014年から変化の兆しが始まった

米村さんは、日本の株式市場では約10年かけて大きな変化が進んできたと語ります。その始点として挙げられていたのが2014年です。

この頃から、日本の企業統治や株主との向き合い方を変えようとする政策やルール整備が進みました。動画で挙げられていた代表例は、伊藤レポート、スチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コードの3つです。

初心者には少し難しく感じられる言葉ですが、要するに、「上場企業は株主から預かったお金をもっと効率的に使い、企業価値を高める責任がある」「投資家も企業と真剣に向き合い、建設的な対話をしなければならない」「経営陣が緊張感を持って企業価値向上に取り組む仕組みを作るべきだ」という方向性が明確に打ち出されたということです。

たとえば伊藤レポートでは、ROE、つまり株主資本利益率を最低でも8%は目指すべきだという考え方が広く知られるようになりました。

ROEは、株主から預かったお金を使ってどれだけ利益を生み出しているかを見る代表的な指標です。これが8%未満だと、資本を効率よく使えていないと見なされやすくなります。

このように、今まで曖昧だった「上場企業は株主にどう向き合うべきか」が、数字やルールの形で可視化されていったのです。

2023年に革命が本格化した

ただし、2014年に制度が整ったからといって、すぐに企業の行動が劇的に変わったわけではありません。実際に変化が本格化したのは、動画でも強調されていた通り、2023年以降です。

ここで大きな転機となったのが、東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営」の要請でした。特に話題になったのが「PBR1倍割れ問題」です。PBRとは株価純資産倍率のことで、企業の純資産に対して株価がどのくらい評価されているかを見る指標です。

PBRが1倍を下回るということは、理屈の上では、その会社が解散して資産を処分した価値よりも、株式市場での評価の方が低い状態を意味します。

つまり、市場から「この会社は資産を十分に活かせていない」「今の経営では資本効率が低い」と見られている可能性が高いわけです。

東京証券取引所は、この問題を単なる数字の話としてではなく、上場企業全体に対して「もっと株価を意識し、株価を上げる努力をしてください」と明確に求めました。これが米村さんのいう「革命」です。

今までは何となく「株価より大切なものがある」という空気がありました。しかし、2023年以降は「上場企業である以上、株価を無視してはいけない」というメッセージが市場全体に広がったのです。

日経平均の上昇の背景にもこの変化がある

動画の中では、日本株の上昇の背景についても触れられていました。足元で日経平均株価が大きく上昇していることについて、米村さんはその根底にはこの「革命」があると見ています。

もちろん株価は景気や金利、為替、海外投資家の動きなど、さまざまな要因で変動します。しかし、企業そのものが「株価を上げることは自分たちの責任の一部だ」と考え始めたことは、日本株全体の評価を押し上げる大きな構造変化といえます。

以前のように「どうせ日本企業は株主をあまり見ていない」と思われていた市場と、「日本企業が本気で企業価値向上に取り組み始めた」と見られる市場では、投資家の評価も大きく変わります。中長期の資金が入りやすくなれば、それは当然、株価にも反映されていきます。

株に対する3つの誤解

誤解1 株はギャンブルである

動画で示された1つ目の誤解は、「株はギャンブルだ」という考え方です。確かに、日々の株価だけを見ると、上がったり下がったりを繰り返しており、投機的に見える場面もあります。しかし、それは株の一面に過ぎません。

米村さんは、会社の成り立ちに立ち返ることで、この誤解を解きほぐしていきます。会社というのは、何らかの社会課題を解決したいという思いから始まります。その課題を解決したい経営者がいて、その志に共感し、お金を出して一緒に実現を目指す人が株主です。

つまり株主とは、単なる売買の参加者ではなく、本来は経営者と志を共有して社会課題の解決に参加する存在です。会社が大きくなり、株式市場に上場しても、この本質は変わりません。

たとえばある企業が新しい技術で環境問題を解決しようとしているなら、その株を買うことは、単に値上がり益を狙うだけでなく、その挑戦に資金面で参加する行為でもあります。もちろん現実の市場では短期売買もありますが、株式の本質はギャンブルではなく、企業活動への参加なのだと動画は伝えています。

誤解2 株価は正しい物差しではない

2つ目の誤解は、「株価は企業を測る正しい物差しではない」というものです。これも日本では非常に根強い考え方でした。

たしかに株価は日々変動しますし、ときには過剰反応することもあります。しかし、だからといって株価が無意味というわけではありません。株価には、企業の現在の収益力だけでなく、将来への期待、資本効率、経営の質、成長可能性など、多くの情報が集約されています。

動画の続きでは、ここからさらに株価の意味が深掘りされていく流れでしたが、この時点でも明確だったのは、株価は単なる人気投票ではなく、企業がどれだけ市場から評価されているかを映す重要なシグナルだという点です。

売上が大きくても、利益率が低く、資本効率が悪く、成長戦略も不明確であれば、株価は上がりにくくなります。逆に、売上規模が大きくなくても、収益性が高く、将来性が評価されていれば、株価は高くなることがあります。つまり株価は、企業活動の総合的な評価指標の1つとして見る必要があるのです。

誤解3 株価が上がらなくても困らない

3つ目の誤解は、「株価が上がらなくても別に困らない」というものです。会社員の立場からすると、自社株を持っていない限り、株価が上がっても下がっても生活には直接関係ないように感じるかもしれません。

しかし実際には、株価が高く評価される会社は、資金調達がしやすくなり、優秀な人材も集まりやすくなります。取引先や顧客からの信頼も得やすくなり、新規事業や設備投資、研究開発に打って出る余地も広がります。結果として、従業員の処遇改善や成長機会にもつながります。

逆に、株価が低迷し続ける会社は、市場からの期待が薄く、経営の自由度も狭まりやすくなります。外部からの評価が低ければ、資金面でも人材面でも不利になります。つまり、株価は社員にとっても無関係ではないのです。

会社は誰のために存在しているのか

ステークホルダーを理解すると株の見え方が変わる

動画では、会社に関わる6つのステークホルダーについても説明がありました。顧客、取引先、従業員、銀行、地域社会、そして株主です。

会社はこれらの人たちの期待を満たしながら成り立っています。顧客に商品やサービスを提供し、その対価として売上を得る。取引先から仕入れ、従業員が働き、銀行から資金を借り、地域社会に税金を納める。そして最後に残った利益が株主に帰属する。こうした流れは、損益計算書や貸借対照表といった会計の基本にもつながっています。

この説明が重要なのは、株主だけが特別な存在なのではなく、株主もまた会社を成り立たせる重要なステークホルダーの1人だとわかるからです。日本では「株主よりも従業員が大事」「株主よりも社会貢献が大事」という二項対立で語られることがありますが、本来はそうではありません。

企業は、顧客や従業員、地域社会を大切にしながら、同時に株主にも責任を果たす必要があります。そのバランスをどう取るかが経営の本質であり、株価もその成果を映す1つの結果なのです。

なぜ今、ビジネスパーソンが株を学ぶ必要があるのか

今回の動画で特に印象的だったのは、「株価を上げる主役はビジネスパーソンであるあなた」というメッセージです。これは単なる精神論ではありません。

企業の業績は、最終的には社員一人ひとりの仕事の積み重ねでできています。営業担当が顧客との関係を築くこと、開発担当が新しい価値を生み出すこと、管理部門が組織の生産性を高めること、こうした日々の行動のすべてが、売上や利益、将来の成長期待につながっていきます。

そして市場は、その積み重ねの結果を株価という形で評価します。つまり、社員が自社の企業価値を理解し、自分たちの仕事がどのように株価や企業価値につながるのかを意識することは、これからの時代にますます重要になるということです。

これまでは「株は投資家のもの」「株価は経営者が考えるもの」という意識でも回っていたかもしれません。しかし、日本企業全体が株価を意識した経営へと舵を切った今、社員もまたその変化の当事者になりつつあります。

会社員が知っておくべき視点

会社で働く人が最低限持っておくと役立つ視点は、意外にシンプルです。自社はどんな社会課題を解決しているのか。顧客はなぜ自社を選ぶのか。利益はどこで生まれ、どこで削られているのか。株主は何を期待しているのか。こうした問いに少しでも答えられるようになるだけで、会社の見え方は大きく変わります。

動画の中でも、売上だけではなく、原価や人件費、金利、税金を差し引いた後にどれだけ利益が残るのかという話がありました。これは企業経営において極めて基本的なことですが、実際に自分で会社を回してみるまで腹落ちしない人も少なくありません。だからこそ、会社員のうちから企業の仕組みを学ぶ価値があるのです。

まとめ

今回の動画では、日本の株式市場で起きている大きな変化と、株の本質について非常にわかりやすく整理されていました。

これまでの日本では、株価はどこか遠い存在であり、企業も株価を強く意識しない経営を続けてきました。しかし、2014年以降の制度改革を経て、2023年には東京証券取引所が「資本コストや株価を意識した経営」を明確に求めるようになり、日本企業は本格的に変わり始めています。これは単なる制度変更ではなく、日本の企業社会全体にとっての革命といえるものです。

そして、その革命の主役は経営者や投資家だけではありません。企業で働くビジネスパーソン一人ひとりが、自分の仕事と企業価値、そして株価のつながりを理解することが、これからの時代には重要になります。

株はギャンブルではなく、社会課題の解決に参加する仕組みでもあります。株価はただの数字ではなく、市場からの総合評価を映す物差しでもあります。さらに、株価が上がることは、会社にとってだけでなく、そこで働く人にとっても決して無関係ではありません。

もしこれまで株を自分とは関係のない世界の話だと思っていたなら、今回の内容はその見方を大きく変えるきっかけになるはずです。これからの日本では、株を知ることは投資家のためだけではなく、働く人が自分の会社を深く理解するための基礎教養になっていくのかもしれません。

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