本記事は、YouTube動画『今週のゆる相場解説』の内容を基に構成しています。
日経平均株価は週明けの東京市場で290円高となり、ひとまず反発する展開となりました。月曜日の上昇としては久しぶりであり、ここしばらく中東情勢、とくにイランをめぐるニュースで週明けの日本株が下落しやすい流れが続いていたことを考えると、やや空気が変わったようにも見えます。
ただし、相場が本格的に強くなったと判断するにはまだ早い状況です。
売買代金は5.2兆円にとどまり、以前のように10兆円規模の活況には戻っていません。相場全体が完全にリスクオンへ戻ったというよりは、参加者の多くがまだ様子見を続けている局面と見る方が自然です。
今回の動画では、こうした足元の日本株の動きを、テクニカル分析、企業業績、原油高の影響、そして今後のイベント日程という複数の視点から整理しています。単に「株価が上がった」「下がった」という表面的な話ではなく、今の相場がどのような位置にあり、何が次の材料になるのかを初心者にも分かるように丁寧に見ていく内容になっていました。
日経平均は久しぶりに月曜日に上昇したが、売買代金はまだ低水準
まず動画の冒頭で取り上げられていたのは、本日の日経平均が290円高となったことです。週明けの月曜日としては久しぶりの上昇であり、この点だけを見ると市場心理が少し落ち着いてきたようにも感じられます。
しかし、同時に注目すべきなのが売買代金です。
この日の東証の売買代金は5.2兆円で、前週金曜日も5兆円台でした。つまり、2営業日連続で5兆円台ということになります。もちろん5兆円台でも決して小さい金額ではありませんが、以前は10兆円規模の売買が意識されていたことを考えると、市場参加者の熱量はかなり低下しているといえます。
この背景には、アメリカ市場がイースター休暇に入っていた影響もあると考えられます。海外投資家が全面的に動いていないため、日本市場でも売買はやや控えめになりやすいからです。つまり、日経平均が上昇したとはいえ、それは力強い買いが全面的に入った結果というよりも、薄商いの中での反発という面が強いのです。
相場を見るとき、株価の方向だけでなく「どれくらいの参加者がその動きに乗っているのか」を確認することはとても重要です。出来高や売買代金が伴っていない上昇は、見た目よりも信頼性が低い場合があります。今回の上昇も、まだ本格的なトレンド転換を断定するには材料不足といえるでしょう。
中東情勢への反応は鈍化しつつあり、市場は次のテーマを探し始めている
ここ1か月ほどの相場では、土日にイラン問題をめぐるニュースが出て、月曜日の東京市場がそれを受けて下落する流れが何度も繰り返されてきました。いわば「週明けの悪材料相場」が定着していたわけです。
ところが今回の動画では、その流れが少し変わりつつある点が指摘されていました。
土日に中東関連のニュースが全くなかったわけではないものの、相場は以前ほど大きく反応しなくなってきています。むしろ今回はプラスで始まりました。これは市場参加者が、毎週のように繰り返されるニュースに疲れてきていることを示しているのかもしれません。
実際、ニュースに一喜一憂して相場が上がったり下がったりする状態が続くと、投資家としては非常に判断が難しくなります。
結局どうなるのか、結論だけ早く示してほしいという空気が強くなり、その途中経過にはあまり反応しなくなることがあります。こうした状態になると、材料そのものよりも「その材料が企業業績にどうつながるのか」という、より本質的な部分へ関心が移っていきます。
相場の格言に「遠くの戦争は買い」というものがあります。
これは、自国に直接被害が及ばない戦争であれば、株式市場は過度に悲観する必要がないという考え方です。
ただし今回のケースでは、日本に直接的な軍事被害はなくても、原油価格や物流コストの上昇を通じて企業業績に影響が出る可能性があります。そのため、単純に「遠い戦争だから無関係」とは言い切れません。
つまり、今後の焦点は「中東情勢そのもの」から「その結果として企業利益がどう変化するのか」へと移っていく可能性が高いのです。
テクニカル面では5万1000円から5万4000円のレンジ相場が意識されている
動画では、足元の日経平均をテクニカルの観点からも詳しく整理していました。とくに重要なポイントとして挙げられていたのが、5万1000円から5万4000円の価格帯です。
まず上値については、5万4000円付近がかなり意識されているようです。実際に、この水準に近づくと上値が重くなりやすく、何度か当たっては下げる動きが確認されています。この日も5万4000円をタッチした後に上ヒゲをつけており、売り圧力の強さがうかがえます。
一方、下値については5万1000円ラインが意識されています。
多少割り込む場面があっても、ローソク足ではヒゲで戻しているため、終値ベースでは大きく崩れていません。この5万1000円という水準は、前年の横ばい相場における高値ラインでもあり、過去に意識された節目が今度は下値支持として機能している形です。
こうした値動きを総合すると、現状の日経平均は5万1000円から5万4000円のレンジ相場にあると考えられます。レンジ相場とは、一定の上限と下限の間で株価が行ったり来たりする状態のことです。上にも下にも大きく抜け切れず、方向感が出にくい局面でよく見られます。
初心者の方にとっては、「レンジ相場」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、要するに今は市場が次の明確な方向を決めきれていないということです。だからこそ、5万4000円をしっかり上抜けられるのか、それとも5万1000円を割り込んでしまうのかが、今後のトレンドを判断するうえで極めて重要になります。
20日移動平均線に株価が追いついてきた意味
動画では移動平均線にも触れられていました。とくに緑色の中期線、すなわち20日移動平均線がポイントになっています。20日移動平均線とは、直近20日間の終値の平均を線で結んだもので、中期的な相場の流れを見るうえでよく使われます。
今回の相場では、この20日線が下向きに落ちてきていましたが、その傾きがやや緩やかになってきています。そして株価自体も横ばい気味に推移しているため、時間の経過とともに移動平均線に追いついてきた格好になっています。
これは非常に大事なポイントです。急落後に株価が横ばいになると、何も起きていないように見えても、実はその間に移動平均線との位置関係が改善されることがあります。言い換えれば、価格の時間調整が進んでいる状態です。強い買いで一気に戻したわけではなくても、下げ過ぎ感が徐々に薄れてくるため、次の動きへの準備が整ってくることがあります。
このように、株価があまり動かない期間も、相場にとっては無意味ではありません。むしろエネルギーをためる期間であり、その後の上放れや下放れにつながることがあります。
今回の下落は異常な暴落ではなく、通常の調整の範囲内と考えられる
相場が大きく下落すると、多くの個人投資家は「もう相場は終わりなのではないか」「ここから大暴落が始まるのではないか」と不安になりがちです。しかし動画では、今回の下落は少なくとも現時点ではパニック的な崩れではなく、通常の調整の範囲内と捉えるべきだと説明されていました。
その根拠として使われていたのがフィボナッチ・リトレースメントです。これは、上昇相場のどの程度まで押し戻すかを測るためによく用いられるテクニカル指標です。代表的な水準として23.6%、38.2%、50%などがあります。
今回の下落を大きな上昇波全体に対して見た場合、現在の押し目はおおむね23.6%押し付近にあるとされていました。一般的に38.2%押しは比較的しっかりした調整の目安として意識されることが多く、もしその水準まで下がるなら4万8000円前後までの調整もあり得る計算になります。
ただし、過去の相場を振り返ると、必ずしも毎回38.2%まで下がるわけではありません。大きな上昇トレンドの中では、23.6%程度の浅い押しで反転するケースもあります。動画では過去の上昇局面を例に挙げながら、今回の下落も長期上昇に対する通常の押し目として見れば、現状の水準にある程度の妥当性があると解説していました。
これは非常に重要な視点です。つまり、今の相場は「何か取り返しのつかないことが起きている」というより、「一度上がりすぎた分を整理している段階」と考えることもできるのです。もちろん今後さらに下がる可能性はありますが、少なくとも現段階では、歴史的暴落のような異常事態とは言いにくいという整理になります。
今後の最大の焦点は中東ニュースではなく企業業績に移る可能性が高い
今の相場で本当に重要なのは、今後の企業業績がどうなるかです。動画でも、4月末から本格化する本決算と今期見通しが、次の相場の方向を決める大きな材料になると強調されていました。
ここまでの株価下落は、主に中東情勢や原油高への警戒感で説明されてきました。しかし現時点では、その影響が企業業績にどれほど織り込まれているかというと、まだ十分ではない可能性があります。今後、企業が決算発表で「原材料高で利益率が圧迫される」「今期の見通しを慎重に見ている」といったコメントを出してくると、市場はそれを本格的に織り込み始めるでしょう。
逆に、懸念されていたほど影響が大きくない、あるいは業績が底堅いという内容であれば、再び上昇トレンドへ戻る可能性も出てきます。つまり、これからはニュースの見出しよりも、企業が実際にどのような数字と見通しを示すのかが重要になるのです。
動画では、場合によっては5月中旬ごろまで横ばいの展開が続き、その後に業績材料で相場が動き出すシナリオもあると見ていました。この見立てはかなり現実的です。市場は不確実性が高い間は方向を出しにくく、決算という明確な材料がそろって初めて大きく動くことがよくあるからです。
原油高とナフサ価格上昇が日本企業の利益を圧迫する可能性
今回の動画でとくに興味深かったのは、原油高の影響をかなり具体的に掘り下げていた点です。日本経済にとって中東情勢が問題になるのは、戦争そのものよりも、原油や石油化学製品の価格上昇を通じたコスト増加です。
その中で挙げられていたのがナフサ関連の問題です。ナフサとは石油を精製して得られる原料の1つで、プラスチックなど多くの化学製品の材料になります。そして、こうした素材は自動車をはじめ、幅広い産業で使われています。
動画では、ナフサ関連コストが自動車の原価全体の15%から20%程度を占める可能性があるという試算が紹介されていました。もしそのナフサ価格が3割上昇すれば、単純計算で全体コストを6%程度押し上げることになります。これは企業にとって決して小さくないインパクトです。
たとえば、もともとの営業利益率が10%の会社があったとして、コスト増を価格転嫁できなければ利益率は一気に低下します。特に競争の激しい業界では簡単に値上げできないため、利益が大きく削られることもあります。自動車、化学、素材、物流など、エネルギーや樹脂原料を多く使う業種では要注意です。
一方で、こうした価格上昇局面では在庫を多く持っている企業や、市況上昇を価格に転嫁しやすい企業が逆に利益を伸ばすケースもあります。つまり、同じ原油高でも、すべての企業に一律に悪いわけではありません。ここが今後の個別株選びでも重要な視点になりそうです。
EPSとPERから見ると、今の日経平均はまだ割高とも割安とも言い切れない
動画の後半では、日経平均のEPSとPERを使ったバリュエーション分析も行われていました。初心者には少し難しく感じるかもしれませんが、相場の現在地を知るうえでとても大切な考え方です。
EPSは1株当たり利益のことで、企業の収益力を示します。PERは株価が利益の何倍まで買われているかを表す指標で、株価の割高感や割安感を測る目安になります。日経平均全体に対しても、指数ベースのEPSとPERを見ることで、相場がどれくらいの利益期待を織り込んでいるかを把握できます。
動画では、足元の日経平均のPERは23倍から24倍程度のレンジにあるとされていました。そして現在のEPS水準をもとに考えると、このPERレンジに対応する日経平均の価格帯が、おおむね5万1000円から5万4000円のレンジと重なっているという整理でした。つまり、今の株価水準は業績に対してある程度整合的ではあるものの、今後の利益見通しが下がれば簡単に割高感が出てしまう位置でもあるのです。
もし来期EPSが10%減少するなら、同じPERレンジでも日経平均の妥当水準は4万6000円から4万8000円程度まで下がります。EPSが5%減でも4万9000円から5万1000円程度です。逆にEPSが5%増えるなら5万4000円から5万6000円程度も視野に入ります。
ここで重要なのは、今後の企業業績がどの程度伸びるのかという点です。過去数年の本決算後のEPS見通しの変化を見ると、2024年は約6.3%増、2023年は約1.5%増、2025年は関税問題などもあり1%程度の増加にとどまったとのことでした。こうした実績を踏まえると、今期に5%以上の大幅なEPS成長を期待するのはかなり楽観的であり、良くても現状維持が限界ではないかというのが動画の見方でした。
この見方に立てば、今の5万1000円から5万4000円レンジはむしろ自然であり、業績が弱ければ4万9000円前後、場合によっては4万5000円から5万円程度のレンジも視野に入ることになります。
PERの水準がさらに低下すれば下値余地は広がる
もう1つ大事なのは、EPSだけでなくPER自体も動くという点です。相場が強気のときは同じ利益でも高いPERが許容されますが、不透明感が強いとPERは低下しやすくなります。
動画では、足元では最大26倍近くまで買われた局面もあった一方、今後市場が慎重になれば22倍、あるいは20倍から21倍程度までPERが切り下がる可能性もあると見ていました。仮にEPSが横ばいでも、PERが低下するだけで株価の理論水準は下がります。
たとえば、利益が増えないのに投資家心理だけが悪化すると、「同じ会社でも前より安くしか買われない」状態になります。これがPER低下です。相場全体に不安が広がる局面では、このPER低下が株価下落の主因になることも珍しくありません。
したがって、今後の相場を見るうえでは「業績がどうなるか」と「市場がその業績に何倍の評価を与えるか」の両方を見なければなりません。これがバリュエーション分析の基本です。
今週から4月末にかけてのイベント日程と市場の見方
最後に動画では、今後のカレンダーも確認していました。足元ではイースター休暇の影響がまだ残っており、少なくとも週明けまではアメリカ市場の休暇ムードが相場に影響している可能性があります。
その後、大きな注目イベントとしては日銀会合が控えています。市場では4月利上げ観測が強まっているようですが、もし本当に利上げが行われたとしても、ある程度は株価に織り込まれているため、サプライズショックにはなりにくいという見方が示されていました。
むしろ、中東情勢の不透明感などを理由に利上げを見送るような判断が出た場合には、それが安心材料として受け止められ、逆に買われる可能性もあります。相場は単純に「利上げだから悪い」「見送りだから良い」と決まるわけではなく、事前の期待とのズレが重要なのです。
ただ、本当の本番はやはり4月末以降の決算シーズンです。ここで企業がどのような今期見通しを示すかによって、今の横ばい相場が上に放れるのか、それとも下に崩れるのかが決まってくる可能性が高いでしょう。
追加解説 今の相場は「大崩れ前」ではなく「次の判断待ち」と見る方が自然
今回の動画全体を通して伝わってきたのは、今の相場は決して平穏ではないものの、まだ「本格的な崩壊局面」とまでは言えないということです。中東リスク、原油高、日銀政策、企業業績という複数の不安材料はありますが、それらがまだ最終的な結論を出していない段階にあります。
言い換えれば、今の市場は「何かが決定的に悪くなったから売られている」のではなく、「今後悪くなるかもしれないから様子を見ている」段階です。この違いは非常に大きいです。前者ならトレンド的な下落が進みやすいですが、後者なら決算や政策の内容次第でいくらでも見方が変わります。
その意味で、今はニュースの見出しだけに振り回されるのではなく、5万1000円と5万4000円というテクニカルの節目、原油・ナフサの価格動向、そして4月末から5月にかけての決算内容を冷静に追いかけることが重要です。相場の大きな方向性は、そこではじめて見えてくる可能性が高いからです。
まとめ
今回の動画では、日経平均が久しぶりに月曜日に上昇したものの、売買代金は5.2兆円と低水準であり、本格反転とはまだ言い切れないことが整理されていました。相場は5万1000円から5万4000円のレンジを形成している可能性が高く、上にも下にもまだ決定打が出ていない状態です。
また、ここまで市場を揺らしてきたイラン問題についても、相場は徐々に反応しにくくなってきており、今後は中東ニュースそのものより、原油高やナフサ価格上昇が企業業績にどこまで影響するかが焦点になっていきそうです。4月末から始まる本決算と今期見通しによって、日経平均のEPSやPERの評価が変わり、相場が大きく動く可能性があります。
現時点では、今回の下落は異常な暴落というより通常の調整局面と見ることもでき、まだ相場が完全に崩れたわけではありません。ただし、業績見通しが悪化すれば4万9000円前後、場合によっては4万5000円から5万円のレンジまで視野に入るため、楽観も禁物です。
しばらくは、5万1000円を守れるのか、5万4000円を突破できるのか、そして企業がどのような今期見通しを示すのか。この3点が、日本株の次の流れを読むうえで大きなカギになりそうです。


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