本記事は、YouTube動画『【徹底解説】市場の暴落時こそ絶好の機会、この永久保有銘柄は絶対売るな!』の内容を基に構成しています。
導入
株式市場が急落すると、多くの個人投資家は強い不安に襲われます。
含み益が一気に減り、場合によっては含み損へ転落し、「今すぐ売らないとさらに危ないのではないか」と考えてしまうのは自然なことです。
特に今回の動画で取り上げられているように、日経平均が高値から一時8000円も下落するような場面では、相場全体が壊れてしまったように感じる人も少なくありません。
しかし、動画ではこうした暴落局面を、単なる危機ではなく「本質的な価値を持つ企業を見極める絶好の機会」として捉えています。
表面的には中東情勢や原油高が暴落の原因に見えていても、その裏では機関投資家、アルゴリズム取引、為替、日銀の政策、信用取引の投げ売りなど、複数の要因が同時に動いています。
つまり、今起きている下落は、企業の実力低下だけで説明できるものではないというのが、この動画の中心的な問題意識です。
そのうえで動画は、暴落時こそ売ってはいけない「永久保有銘柄」として、キーエンス、新越化学工業、任天堂の3社を挙げています。
いずれも単に有名企業だからという理由ではなく、地政学リスク、インフレ、物流混乱、利上げリスクといった複合ショックの中でも、比較的強い構造を持つ企業として取り上げられています。
この記事では、動画の内容をもとに、なぜ今市場が大きく揺れているのか、その背後にある構造は何か、そしてなぜこの3銘柄が長期投資家にとって重要なのかを、初心者の方にもわかりやすく丁寧に整理していきます。
背景説明
暴落の直接要因は中東情勢と原油高
動画では、2026年4月時点の世界の金融市場が非常に荒れた値動きになっている背景として、中東情勢の緊迫化を挙げています。
米国、イスラエル、イランの軍事衝突懸念が高まるなか、原油価格は戦争前の1バレル70ドル近辺から、一時110ドルを超える水準まで急騰しました。わずか数週間で約60%も上昇した計算になり、動画ではこれを「第3次オイルショック」とも言える事態として表現しています。
ここで重要なのは、単に「原油が上がったから株が下がった」と片付けないことです。
原油価格の上昇は、ガソリン代や電気代の上昇だけでなく、輸送コスト、化学品コスト、製造コスト、さらには消費者心理にも影響を与えます。特に日本はエネルギーの中東依存度が高く、中東の不安定化がそのまま日本企業のコスト増や景気不安に結びつきやすい構造を持っています。
その結果、日経平均は直近高値である5万9000円近辺から、3月23日には一時5万515円まで下落しました。約8000円の下落であり、率にするとかなり大きな調整です。動画では、TOPIXも3か月で11%超の下落となったことに触れ、市場全体が歴史的な暴落局面に入っていると説明しています。
ホルムズ海峡の問題は原油だけではない
動画で特に強調されているのが、ホルムズ海峡の存在です。
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾の出口に位置する非常に重要な海上交通の要所で、幅はわずか50km程度しかありません。ここを通るのは原油やLNGだけではなく、化学品、農業用肥料、先端素材など、現代の産業に欠かせない多くの物資です。
つまり、ホルムズ海峡が機能不全に陥るということは、単なるエネルギー価格の上昇では済みません。
製造業全体のサプライチェーンに影響が及びます。日本のように輸入依存度の高い国では、エネルギーだけでなく、多くの中間財や素材の調達コスト上昇という形でも打撃を受けます。
ここで初心者の方が押さえておきたいのは、株価は目の前の1つのニュースだけで動くわけではないという点です。
たとえば「原油高」という1つの見出しの裏には、輸送費増、人件費上昇、企業利益圧迫、消費減速、金融政策変更といった複数の連鎖が隠れています。動画は、その連鎖を読み解くことが大切だと訴えています。
動画内容の詳細解説
今の下落を主導しているのは人ではなく機械
動画の中で非常に印象的なのが、「今の下落を主導しているのは人間ではなく機械である」という指摘です。ここでいう機械とは、CTAと呼ばれる海外ヘッジファンドなどが使うアルゴリズム取引のことです。
これらのファンドは、原油高、インフレ再燃、金利上昇、株安というような単純化された連鎖モデルに従って、自動的に日経平均先物を売っていきます。
動画では、野村証券のレポートを引用しながら、「原油が5ドル上がるごとに日経平均が1000円下落する」という極端な連動性が足元で形成されていると説明しています。
もちろん、実際の企業業績はそんなに単純ではありません。原油が10%上昇しても、日本の主要企業の経常利益への影響は数%程度にとどまるケースもあります。
それにもかかわらず、株価は何倍も大きく下がっている。つまり、株価の動きと企業実態の間に大きなズレが生じているというわけです。
このズレこそ、動画が繰り返し指摘する「歪み」です。短期的には、企業価値ではなく、機械的な売買や投資家心理が株価を大きく動かしてしまうことがあります。
暴落局面で大切なのは、その下落が本当に企業価値の毀損を意味するのか、それとも需給による一時的な歪みなのかを見極めることです。
信用取引の投げ売りが下落を加速させる
動画では、国内個人投資家の信用取引も大きな問題として取り上げています。
2026年初頭から相場が強かったため、多くの個人投資家は「押し目買いだ」と考えて信用買いポジションを膨らませていました。しかし、想定以上の急落が起きると、追証を避けるために持ち株を投げ売りせざるを得なくなります。
このような局面では、下落がさらに下落を呼びます。株価が下がると追証が発生し、追証を避けるために売るとさらに株価が下がる。こうした悪循環が相場全体に広がると、本来はそこまで売られなくてよい企業まで一緒に売り込まれてしまいます。
動画はこの点について、相場では「何が起きたか」だけでなく、「誰がどのような理由で売っているか」を見る必要があると説明しています。
業績悪化で売られているのか、それとも資金繰りやアルゴリズムの都合で売られているのか。この違いは、長期投資家にとって非常に重要です。
海外投資家の売り越し規模も大きい
さらに動画では、3月23日から27日の週だけで海外投資家が現物株を1兆590億円売り越し、先物と合わせると4週連続で2兆273億円の売り越しになったと説明しています。
この規模の売りは、単なる一時的な調整だけでは説明しきれない可能性があるとしつつ、現時点で断定はできないという慎重な姿勢も示しています。
この点は初心者の方にとっても重要です。
相場の解説では、つい「外国人が売っているから危ない」「機関投資家が売っているから終わりだ」と短絡的に考えがちですが、実際にはヘッジ目的の売り、リスク削減の売り、ポジション整理など、さまざまな事情があります。
動画が伝えたいのは、「大口投資家の動きは重要だが、それだけで結論を決めてはいけない」ということです。特に長期投資では、売られている事実よりも、その売りがどの程度持続するのか、そして企業価値に対してどれだけ過剰なのかを見極めることが大切になります。
市場は停戦の3〜4週間前から反転しやすい
動画の中盤で語られる大きなテーマが、「市場は停戦の3〜4週間前から反転しやすい」という歴史的傾向です。1945年以降の地政学的危機イベント11回を調査した結果、停戦や緊張緩和の3〜4週間前からS&P500は平均3〜4%上昇し始め、停戦後1年間では平均10%前後上昇しているという法則が紹介されています。
これは、市場が常に未来を先回りして織り込むからです。ニュースで「停戦」が正式発表されてから買うのではなく、その前の段階で機関投資家が動き始めることが多いというわけです。
動画では、トランプ大統領が4月1日に「2〜3週間の戦闘継続」に言及したことを踏まえ、2026年4月中旬から下旬にかけて、停戦シナリオを市場が織り込み始める可能性があると説明しています。
もちろん確実な予測ではありませんが、歴史的な統計として知っておくことには意味があります。
ここで大切なのは、「暴落したからもう終わり」と決めつけないことです。
相場は最悪のシナリオを織り込んで下げ過ぎることがあります。その一方で、少しでも状況が改善する可能性が見えれば、反転も非常に速く起こります。恐怖の中で冷静さを保つためには、この時間軸の考え方が役立ちます。
ヘリウム不足という見落とされがちなリスク
動画の中で興味深いのが、原油以外のリスクとして「ヘリウムショック」が挙げられている点です。ヘリウムと聞くと風船を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実際には半導体製造やMRIなど、先端産業と医療の両方に欠かせない重要資源です。
特に半導体の最先端製造工程であるEUVリソグラフィにはヘリウムが必要です。また、病院のMRI装置も超低温状態を保つためにヘリウムを使います。そのヘリウムの世界シェア約30%をカタール産が占めており、カタールはホルムズ海峡に近い国です。つまり、ホルムズ海峡の混乱は原油だけでなくヘリウム供給にも影響する可能性があります。
日本はヘリウムを100%輸入に頼っているため、この問題は意外に重い意味を持ちます。動画では、今後の銘柄選別では「中東リスクから物理的に独立しているかどうか」が重要な基準になると指摘しています。
日銀の利上げリスクも見落とせない
動画はさらに、日本銀行の金融政策も重大なリスクとして挙げています。市場では「原油高が景気を冷やすから利上げは7月以降に先送りされるのではないか」という見方があるものの、動画はこれを楽観的すぎる見方だと捉えています。
表面的なCPIが落ち着いて見えても、それは補助金や備蓄放出など政策的な要因で押し下げられているだけで、実際の基調インフレは2%を上回っている可能性があるという説明です。さらに、日銀自身が需給ギャップを上方修正し、実は2022年初頭から一貫して需要超過状態だったと認定していることも紹介されています。
こうした状況では、円安が進みすぎた場合、日銀が想定より早く利上げに動く「奇襲的な利上げ」の可能性も否定できません。もしそうなれば、借入金の多い企業には大打撃になります。一方で、現金を多く持ち、ほぼ無借金の企業にはむしろ有利に働く場合もあります。
この視点が、後半で紹介される永久保有銘柄の選定理由につながっていきます。
なぜキーエンス、新越化学工業、任天堂なのか
キーエンスは高利益率と無借金体質が強み
動画が最初に取り上げる永久保有銘柄はキーエンスです。キーエンスは工場の自動化に使うセンサー、測定器、検査装置などを手がける企業ですが、最大の特徴は自社工場を持たないファブレス経営にあります。つまり、自ら大量の製造設備を抱えず、設計と販売に特化しているのです。
この構造は、エネルギー価格が急騰する局面で非常に有利です。自社工場を抱えている企業であれば、電力コスト、ガスコスト、設備稼働コストが重くのしかかります。しかしキーエンスはその固定費負担が軽く、ホルムズ海峡問題や原油高の直接的な打撃を受けにくい構造になっています。
動画では、2026年3月期中間期の売上高が5453億円で前年同期比5.8%増、中間純利益が約2000億円で5.4%増、営業利益率は49.9%と説明されています。売上の約半分が利益になるというのは、製造業としては驚異的です。しかも自己資本比率は95%で、財務の健全性も極めて高いとされています。
さらに、工場自動化や省人化は長期的に世界中で必要とされるテーマです。人件費上昇や人手不足が進む時代では、キーエンスの製品に対する需要は構造的に支えられやすいと考えられます。動画では、多少の値上げでも顧客が離れにくい「価格転嫁力」の強さも評価しています。
新越化学工業は中東リスクを逆手に取れる構造がある
2社目として取り上げられるのが新越化学工業です。新越化学は化学メーカーでありながら、今回のような中東情勢の緊迫化を逆手に取れる可能性がある企業として紹介されています。
理由は、塩化ビニル樹脂などの主力製品の生産において、米国のシェールガス由来の原料を使える強みがあるからです。中東原油由来のナフサに依存する競合企業がコスト高に苦しむ一方で、新越化学は比較的安定したコストで生産を続けやすい構造を持っています。
動画では、2026年3月期の営業利益予想が6350億円、売上高が2兆4000億円、経常利益が7000億円という非常に高水準の数字が紹介されています。
さらに、半導体シリコンウェハーでも世界トップクラスの地位を持ち、AI関連ブームの反動があっても、半導体の基礎素材需要そのものは残りやすいと見ています。
ただし動画は、新越化学が完全に無風だとは言っていません。ヘリウム供給逼迫の影響は、半導体関連のサプライチェーン全体に波及する可能性があるため、この点は注意点として挙げています。つまり、強い企業であってもリスクがゼロではないことをきちんと認めているのです。
任天堂はデジタル販売とIPの強さが魅力
3社目は任天堂です。一見すると中東情勢とは無関係に見える企業ですが、動画では、むしろ今の複合ショック下で独特の強みを発揮する企業だと説明されています。
その大きな理由がデジタルシフトです。任天堂のソフトウェア売上の多くはすでにダウンロード販売が占めており、ゲームソフトは一度開発すれば追加生産コストがほとんどかかりません。物流コストの影響も相対的に小さく、ホルムズ海峡の混乱のような物理的制約を受けにくいというメリットがあります。
もちろん、ゲーム機本体の製造と輸送には物流が必要なので、完全に影響ゼロではありません。しかし、ビジネスモデル全体として見ると、デジタル販売比率が高いことは大きな強みです。
さらに、2026年はNintendo Switch後継機という歴史的な転換点の年とされています。任天堂はハードの世代交代とともに、マリオ、ゼルダ、ポケモンといった強力なIPを再び大きく収益化するサイクルに入ります。動画では、次世代機の登場が今後数年間のキャッシュフローの基盤を固めるカタリストになると位置づけています。
加えて、不況やインフレ局面では外食や旅行を控える一方、自宅で長時間楽しめる娯楽への需要が底堅くなる傾向があります。いわば現代版の「リップスティック効果」とも言えるもので、任天堂のような家庭向けエンタメ企業には追い風になり得ます。
今後の相場シナリオをどう考えるべきか
動画では今後の展開として、大きく2つのシナリオを示しています。
1つ目は、紛争の長期化によって原油価格が130ドル、150ドルへとさらに上昇し、スタグフレーションが深刻化する下落シナリオです。この場合、日本では補助金の限界や円安進行、日銀の早期利上げが重なり、日経平均が4万5000円割れを試す可能性もあるとしています。
2つ目は、水面下の外交交渉が進展し、4月中旬から下旬にかけて停戦やエスカレーション回避が見えてくる上昇シナリオです。この場合、原油価格は80ドル近辺まで反落し、インフレ再燃懸念が後退し、CTAのショートカバーが起きて短期間で5万8000円台回復もあり得ると動画は述べています。
ここで大事なのは、どちらかを断定することではありません。動画が強調しているのは、「どうなるかわからないから何もしない」ではなく、「複数のシナリオを想定して準備しておく」ことです。長期投資では、未来を正確に当てるよりも、どの展開でも慌てないように備える姿勢のほうが重要です。
まとめ
今回の動画が伝えている核心は、暴落相場のときこそ、表面的なニュースに振り回されず、企業の構造的な強さを見るべきだということです。
今の下落は、中東情勢や原油高だけでなく、CTAによる機械的な先物売り、個人投資家の信用取引の投げ売り、海外投資家の売り越し、そして日銀の利上げリスクなど、複数の要因が重なって起きています。そのため、株価の下落幅がそのまま企業価値の悪化を意味しているとは限りません。
そうした中で動画は、キーエンス、新越化学工業、任天堂の3社を、複合ショックに比較的強い「永久保有銘柄」として取り上げました。キーエンスはファブレス経営と約50%の高利益率、95%の自己資本比率が強みです。新越化学工業は米国シェールガス由来の原料を活用できる構造により、中東リスクを逆手に取れる可能性があります。任天堂はデジタル販売比率の高さと世界的IP、次世代機サイクルによる成長余地が魅力です。
もっとも、動画も繰り返し述べている通り、これは「今すぐ買え」という単純な話ではありません。大切なのは、相場の下落が企業の本質的価値の毀損なのか、それとも一時的な需給の歪みなのかを見極めることです。
暴落相場では、何も考えずに周囲と同じ行動を取ることが最も危険です。逆に、構造を理解し、自分なりの判断軸を持てる人にとっては、大きな下落局面は将来のための重要な仕込み場にもなり得ます。恐怖が大きいときほど、企業の本質、財務の強さ、価格転嫁力、地政学リスクへの耐性を冷静に見つめ直すことが、長期投資では何より重要だと言えるでしょう。


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