本記事は、YouTube動画『【有事の投資】米国イラン攻撃時に“私がやったこと”を全公開…株を避けて金と資源に動いた理由』の内容を基に構成しています。
2026年2月28日、米国によるイラン攻撃という衝撃的な出来事が発生し、金融市場は大きく揺れました。株価の下落に不安を覚えた個人投資家も多く、何を売るべきか、何を買うべきか、判断に迷った方も少なくなかったはずです。
こうした局面では、ニュースの見出しだけを追って感情的に動いてしまいがちです。しかし、今回の動画で語られていたのは、そうした短期的な反応とは少し異なる、もっと構造的で長期的な見方でした。つまり、米国のイラン攻撃を単なる突発的な事件として見るのではなく、もともと起きるべくして起きた資源高の流れの中で捉え、その延長線上で投資判断を下したという考え方です。
本記事では、動画内で語られていた投資判断の背景、実際に買った資産、株式市場に対する見方、そして今後の相場観までを、初心者にも分かりやすいように整理して解説します。有事のときに慌てないためにも、今回の内容は単なる体験談としてではなく、相場に向き合う考え方として読んでいくことが重要です。
なぜ米国のイラン攻撃が市場に大きな影響を与えたのか
今回の出来事で市場が敏感に反応した最大の理由は、単に「戦争が起きたから株が下がった」という単純な話ではありません。より重要なのは、中東情勢の悪化が原油価格の上昇につながり、それがインフレや金利、企業業績にまで波及する可能性があるという点です。
金融市場では、地政学リスクが高まると原油が買われやすくなります。特に中東は世界のエネルギー供給にとって極めて重要な地域であり、イラン周辺で緊張が高まれば、原油の安定供給に対する懸念が一気に強まります。今回の動画でも、単なる一時的な値動きではなく、原油高が継続するリスクとして認識されていました。
ここで重要なのは、原油価格の上昇は株式市場にとって決して中立ではないということです。原油が上がると、輸送コストや製造コストが上がり、企業の利益を圧迫します。さらに、インフレが再燃すれば、中央銀行は簡単に利下げへ動けません。景気が弱いのに物価は高いという、いわゆるスタグフレーションのリスクも高まります。
つまり、今回の有事は「ニュースとしての事件」で終わる話ではなく、エネルギー価格、インフレ、金利、企業収益、株価評価という一連の流れに影響するため、投資家にとっては非常に大きな意味を持つわけです。
動画で語られた基本認識は「イベントではなくトレンド」という点
今回の動画で一貫していたのは、米国のイラン攻撃を新しい材料としてではなく、もともと想定していたトレンドを確認する出来事として見ていた点です。
原油高は突然始まったのではない
動画では、年初の時点から「2026年はコモディティの年になる」「原油価格には注意が必要」と繰り返し話していたと説明されていました。つまり、2月28日の米国によるイラン攻撃があったから初めて原油高を意識したのではなく、もともと原油価格が上昇しやすい環境が整っていたという認識です。
この見方は、初心者にとって非常に大切です。多くの人は、ニュースが出た後に「原油が上がるかもしれない」と考えます。しかし、相場は往々にしてニュースが出る前から動き始めています。ニュースはきっかけに見えても、実際には背景に大きな需給や構造的な流れがあることが多いのです。
今回も、動画の中では「アメリカがイランを攻撃するから上がる」とまでは予想していなかったものの、「今年はサイクル的に原油が上がりやすい」と見ていたため、実際の有事はあくまで流れを裏づける材料にすぎない、という整理でした。
停戦してもすぐに終わる問題ではない
動画では、仮にアメリカとイランが停戦したとしても、それで全てが解決するほど簡単な問題ではないとも述べられていました。これは地政学リスクを短期のニュースフローとしてではなく、中長期のリスク要因として見ていることを意味します。
市場では、停戦報道が出ると安心感から株が戻ることがあります。しかし、現実のエネルギー供給や物流、保険料、輸送コストなどは、報道が落ち着いたからすぐ元通りになるわけではありません。だからこそ、目先のヘッドラインよりも、継続する構造変化を見る必要があるというわけです。
原油価格の見通しと、なぜ資源が重視されたのか
今回の動画の中核にあったのは、原油価格はまだ十分に上がり切っていないのではないか、という問題意識でした。
原油は60ドル以下にはなりにくいという見方
動画では、以前から「原油は60ドル以下にはなりませんよ」と考えていたことが語られていました。実際、相場はその想定通りに推移してきたという認識です。そして今回の有事によって、原油価格はさらに上昇圧力を受けることになりました。
さらに印象的だったのは、短期的には130ドル、最悪で150ドル、ホルムズ海峡が封鎖されれば200ドルもおかしくないという見方です。もちろん、これは確定した予言ではありませんが、相場を見るうえで「どこまであり得るのか」を想定しておくことは重要です。
特にホルムズ海峡は、世界の原油輸送にとって非常に重要な chokepoint です。ここで輸送障害が起きれば、実際の供給量だけでなく、保険料や輸送コストの上昇も含めて市場全体に影響が広がります。動画内でも、タンカーの保険料上昇や船の確保難といった話が出ており、単なる理論ではなく、現実の物流面にも影響が出ている点が示されていました。
供給減少と価格上昇の関係
動画では、過去のオイルショック時のデータを踏まえ、供給が10%減れば価格は30%から50%上がることがあると説明されていました。仮に供給が20%減っているとすれば、150ドルを超えても不思議ではないという考え方です。
このあたりは初心者にとって少し難しく感じるかもしれませんが、考え方はシンプルです。原油は生活にも産業にも必要な資源なので、供給が少し減っただけでも価格が大きく跳ねやすい性質があります。食料や水ほどではないにせよ、簡単に消費をゼロにはできないためです。
そのため、有事の際には「怖いから全部売る」という発想よりも、「どの資産が上がりやすく、どの資産が打撃を受けやすいか」を冷静に切り分けることが大切になります。
株よりも金と資源を重視した理由
動画タイトルにもある通り、今回の投資判断では株式よりも金と資源が重視されていました。その理由は、単に「有事だから安全資産を買う」という表面的なものではありません。
株式はインフレとコスト上昇に弱い
原油価格が上がると、企業はあらゆる場面でコスト増に直面します。製造業なら材料や輸送費が重くなり、小売業や外食業でも物流コストや光熱費が上がります。こうしたコスト上昇は最終的に利益率の低下につながります。
動画でも、企業の利益、特に1株当たり利益が今後圧迫される可能性があると指摘されていました。第1四半期はまだ影響が出なくても、第2四半期以降に企業ガイダンスで慎重な見通しが増えれば、株式市場には重しになります。
また、有事でドル高が進みすぎると、海外売上比率の高い米国企業には逆風になります。つまり、原油高だけでなく為替も企業業績に悪影響を及ぼしうるということです。特にグロース株やハイテク株は、金利や期待成長率に敏感なため、インフレ再燃局面では不利になりやすいと考えられていました。
金は守りの資産として有効だが万能ではない
金については、動画でも強気スタンスが維持されていました。ただし、単純に「有事だから必ず上がる」とは見ていない点が重要です。
実際には、株が急落すると、投資家が損失補填のために金も売ることがあります。今回も、金価格は上昇後に下落し、一時的に売られる場面があったと語られていました。しかし、それは長期トレンドの崩れではなく、短期的な需給の揺れにすぎないという整理です。
動画では、200日線付近で止まったことが買い場だったという説明もありました。つまり、金を信仰の対象として無条件に買うのではなく、長期の上昇トレンドを前提にしつつ、短期的な過熱や押し目を見て判断するという姿勢です。
この点は非常に重要です。金は防衛資産として有効ですが、値動きがない資産ではありません。短期では普通に下がることもあるため、「安全資産だから絶対安心」という理解は危険です。
実際に何を買ったのか
今回の動画で最も具体的だったのは、実際にどんな商品を買っていたのかという部分です。ここは個人投資家にとって最も関心が高いところでしょう。
2月後半から買っていたもの
動画内では、2月20日頃から以下のような資産を買っていたと説明されていました。
まず、石油のパイプライン関連ETFです。これは単に原油そのものではなく、エネルギー供給網の中で安定的に収益を得やすい分野への投資といえます。一般に資源投資というと原油先物や石油メジャーに目が向きがちですが、パイプラインのような中流分野も有力な選択肢になります。
次に、コモディティ関連の投資信託を毎日購入していたと語られていました。これは価格に一喜一憂せず、一定額を継続的に積み立てる戦略です。ニュースが出てから飛びつくのではなく、トレンドを信じて淡々と買い続ける姿勢が見て取れます。
さらに、ゴールド関連商品として「ゴルプラ」「ゴルナス」と呼ばれる商品を毎日買っていたと説明されていました。これらは値動きの大きい商品であるため、長期で持ち続けるだけでなく、状況によっては売買を繰り返す可能性もあるとされていました。
加えて、日本株4.3倍の投資信託も毎日購入していたとのことです。ここは意外に感じる読者もいるかもしれませんが、株を全面的に否定していたわけではなく、割安になった局面では株も買い対象になるという柔軟な姿勢が示されていました。
さらに、日本株の高配当ETFも買い増ししていたと語られていました。高配当株はキャッシュフローを重視する投資家に人気があり、相場が不安定な局面でも比較的注目されやすい分野です。
下がっても買いをやめなかった理由
動画の中で特に印象的だったのは、価格が下がっても買いをやめなかったという点です。むしろ安いところを買えると考えて、一定額の購入を継続していました。
これは言うのは簡単ですが、実践は非常に難しいです。多くの個人投資家は、価格が上がっているときには安心して買えますが、下がると怖くなって買えなくなります。しかし積立や分散投資の本質は、むしろ下がったときにも継続できるかどうかにあります。
動画でも、「ビビって買いをやめたら安いところを買えない」と語られていました。これは長期投資において極めて重要な視点です。短期の値動きではなく、数年単位の大きな流れを見ているからこそ、下落時にも行動を続けられるわけです。
株式に対する見方は「全面弱気」ではなかった
今回の動画を表面的に見ると、「有事だから株はダメで、資源だけが正解」という話に見えるかもしれません。しかし実際には、そこまで単純ではありませんでした。
ハイテク株は下がりすぎれば買い
動画では、原油高とインフレ再燃の流れを考えるとグロース株にはネガティブとしつつも、相場が大きく下がったことでバリュエーションがかなり低下したため、ハイテク株は買い場になったという見方も示されていました。
ここは非常に実践的な視点です。相場では、どれほど優れた企業でも、価格が高すぎれば投資妙味は低下します。一方で、不安が広がって売り込まれすぎれば、むしろ長期的な買い場になることがあります。つまり、何を買うかだけでなく、どの価格で買うかが大事なのです。
ドーンと下がったときに買う発想
動画の終盤でも、「株は慎重ながらも割りになったら買ったらいい」「ドーンとした時に買っていくことが大事」と述べられていました。これは暴落時の押し目買いを意味していますが、単なる精神論ではなく、資源高やインフレ、企業収益への影響を見ながら、相場の歪みを利用する発想です。
つまり、資源を中心に見つつ、株式市場にも機会があれば入る。しかもそのときは高値追いではなく、売られすぎの局面を狙う。この柔軟さが、今回の投資スタンスの特徴だといえます。
この投資判断の軸はどこにあるのか
動画では、自分の強みは価格だけでなく「構造」と「受給」と「地政学」を見ていることだと説明されていました。これは、初心者が特に学ぶべき部分です。
ニュースの後に買うのではなく、シナリオ通りか確認する
一般の投資家は、ニュースが出た後に原油や金を買うことが多いです。しかし、動画では「ポジションは持っていて当たり前」「シナリオ通りかを確認する」「高くなったら利益確定すらやる」という考え方が示されていました。
この違いはとても大きいです。相場で継続的に成果を出す人は、ニュースに反応して動くのではなく、あらかじめ複数のシナリオを用意しておき、現実がどちらに近づいているかを確認しながら行動します。今回の有事も、その一例として語られていました。
投資不足という長期テーマを見る
動画で繰り返し強調されていたのが、「投資不足」です。資源業界では、将来の供給増加に向けた投資が十分に進んでいないという認識です。もし本当にそうなら、将来の供給は増えにくく、少し需要が戻るだけでも価格が上がりやすくなります。
この視点は非常に重要です。多くの人は今の価格だけを見ますが、本当に大切なのは、数年後の供給能力や設備投資の状況です。たとえば原油価格が今高いとしても、業界全体の投資が不足していれば、価格高騰は一過性ではなく、構造的に長引く可能性があります。
追加解説 有事の投資で個人投資家が学ぶべきこと
今回の動画は、単に「この商品を買った」という話以上に、個人投資家の姿勢を問う内容でもありました。
正しい使い方は「結論」ではなく「考え方」を学ぶこと
動画では、発信者の意見をそのまま売買に使うのではなく、なぜその考えになったのかを理解してほしいと繰り返し述べられていました。方向性を参考にするのはよいが、最終判断は自分で行うべきだというわけです。
これは非常に本質的です。相場では、同じ方向感でもタイミングが違えば結果が全く変わります。動画内でも、自身は方向性は当たってもタイミングが早すぎることがあると自己分析していました。つまり、考え方は参考になるが、売買の実行タイミングまで完全に真似するのは危険だということです。
長期投資と短期売買では必要な武器が違う
動画では、短期トレードでは100%テクニカル分析でやるようにしているとも語られていました。これは、マクロの考え方だけで短期売買をすると感情やタイミングのズレでうまくいかないためです。
この点も初心者には重要です。中長期の相場観と、目先の売買ルールは別物です。長期では資源高を見ていても、短期では上下に振られることは普通にあります。だからこそ、長期投資なら積立や分散、短期売買なら明確なルールというように、時間軸ごとに戦い方を変える必要があります。
今後は株だけでなく資源を見る視点が必要になる
動画の最後では、これから数年は資源が主導する相場になる可能性があり、株の視点だけで相場を見るのでは不十分になるかもしれないと述べられていました。
これは、これまで米国株インデックスやハイテク株だけを見てきた投資家にとっては重要なメッセージです。インフレが低く、金利が安定し、グロース株が評価されやすい時代と、資源価格が上昇し、供給制約や地政学リスクが意識される時代とでは、有利な資産が変わります。
今後もし資源主導の時代が本格化するなら、原油、金、資源株、エネルギー関連インフラ、高配当株といった分野をポートフォリオにどう組み込むかが重要になってきます。
まとめ
今回の動画で語られていたのは、米国のイラン攻撃という有事にどう反応したかという話でありながら、実際にはもっと深い投資哲学の話でした。
ポイントは、有事を単なる突発ニュースとして見るのではなく、原油高、インフレ再燃、金利の高止まり、企業収益の圧迫という一連の構造変化の中で捉えていたことです。そのうえで、株よりも金や資源、特にエネルギー関連やコモディティを重視し、2月後半から実際に買いを進めていたというのが今回の実践内容でした。
一方で、株を完全に否定していたわけではありません。割安になったハイテク株や高配当株には投資妙味があると見ており、暴落時には買い場が生まれるという柔軟な視点も示されていました。つまり、「有事だから全部売る」でも「有事だから金だけ買う」でもなく、構造を見て資産ごとの強弱を判断することが大切だということです。
初心者にとって最も学びになるのは、ニュースの後追いではなく、事前にシナリオを持ち、現実がその通りかを確認しながら動く姿勢でしょう。相場はいつも不確実ですが、だからこそ、感情ではなく論理で考える習慣が武器になります。
今後も世界情勢の変化によって市場が揺れる場面は何度も訪れるはずです。そのたびに慌てるのではなく、今回のように「何が起きたか」だけでなく「なぜそれが資産価格に影響するのか」まで考えられるようになることが、長く生き残る投資家への第一歩だといえます。


コメント