ゴールドはなぜ株高に乗り遅れているのか 2026年の金価格下落と今後の見通しを徹底解説

本記事は、YouTube動画『ゴールドはなぜ株高に乗り遅れているのか 2026年の金価格下落と今後の見通し』の内容を基に構成しています。

目次

導入

2026年の金融市場では、S&P500や日経平均が4月中旬にかけて市場最高値を更新し、株式市場の強さが改めて注目を集めています。イラン戦争の終了期待や停戦観測を背景に、リスク資産へ資金が戻り、株価は一気に上昇しました。

ところが、その一方でゴールドは冴えない動きが続いています。1月に5595ドルの高値をつけた後、3月には大きく下落し、足元では4800ドル台まで戻したものの、なお高値から約14%低い水準にとどまっています。有事の際に買われやすいとされる金が、なぜ今回は思うように上がらないのか。この違和感を覚えた投資家は少なくないはずです。

本記事では、2026年のゴールド相場を振り返りながら、過去の有事局面で金がどう動いてきたのか、なぜ今回だけ戻りが鈍いのか、そして2026年5月以降の見通しまで、初心者にもわかりやすく丁寧に整理していきます。

背景説明

2026年のゴールドは株以上に荒い値動きだった

まず確認しておきたいのは、2026年のゴールドが決して穏やかな値動きではなかったという点です。むしろ、株以上にジェットコースターのような相場展開だったといえます。

ゴールドは2026年1月29日に5595ドルまで上昇し、市場最高値を更新しました。

しかし、その後は2月からじわじわと下げ始め、3月26日には4409ドルまで下落しています。これは高値から約21%の下落です。仮に最高値付近で100万円分のゴールドを買っていたとすれば、評価額は79万円前後まで減少した計算になります。1000万円分なら790万円です。数字で見れば単純ですが、実際にその局面にいた投資家にとっては、かなり心理的に厳しい下げだったはずです。

4月に入ってからは4800ドル台まで回復し、底値から約9%戻しています。しかし、それでも5595ドルの高値にはまだ届いていません。株が高値を更新していく中で、ゴールドだけが取り残されているように見える構図になっています。

この5年間はゴールドと株が一緒に上がっていた

一般に、ゴールドは株と逆に動く資産と語られることがあります。株が危ない時に買われる安全資産というイメージが強いためです。しかし、少なくとも直近5年間を見ると、その単純な理解だけでは実態を捉えきれません。

動画では、2020年から2025年にかけて、ゴールドは約170%、S&P500は約57%上昇したと説明されています。しかも、2020年から2025年までの年間リターンを見ても、両者が同じ方向に動いた年は6年中5回にのぼり、逆方向だったのは2021年だけでした。

2020年はどちらも上昇し、2021年は逆の動きになりましたが、2022年はどちらも下落、2023年、2024年、2025年は再びそろって上昇しています。50年単位の長い歴史で見れば、ゴールドと株の相関はそれほど強くありません。しかし、直近5年だけ切り取ると、明らかに一緒に上がってきた時期だったのです。

その背景には、両方の資産に同時に吹いていた3つの追い風がありました。1つ目が中央銀行によるゴールドの大量購入、2つ目がAIブームを起点とした株式市場の上昇、3つ目がFRBの利下げ期待です。この3つが金と株の両方にプラスに働いていたため、見かけ上は同じ方向に動きやすかったわけです。

動画内容の詳細解説

過去の有事ではゴールドはほぼ上がってきた

今回の違和感を理解するためには、まず過去の有事で金がどう動いたかを知る必要があります。動画では、ワールドゴールドカウンシルのレポートをもとに、代表的な地政学リスク局面におけるゴールドの動きを確認しています。

1990年の湾岸戦争では、侵攻後6か月でゴールドは約7.5%上昇しました。WTI原油は約135%も上昇した一方で、戦争自体は比較的短期で終わり、世界経済への影響は限定的でした。さらにFRBが利下げに動いたことで、利息のつかないゴールドには追い風となりました。

2001年の9.11後も、6か月でゴールドは約5.9%上昇しています。アメリカ国内での大規模テロではありましたが、原油市場への直接的な影響は限定的であり、ここでもFRBの迅速な利下げが金価格を支える材料になりました。

このように、有事が発生し、不安が高まり、さらに金利が下がる局面では、ゴールドは教科書通りに買われやすかったのです。

ロシア・ウクライナ紛争では最初に上がり、その後下がった

一方で、2022年のロシア・ウクライナ紛争は、今回を考えるうえで非常に参考になるケースです。

動画によれば、2022年2月の侵攻後、ゴールドは最初の1週間で約4.4%上昇し、3月初旬にはピークで約8.2%上がりました。ここまでは、まさに「有事の金」と呼ばれる値動きでした。

しかし、その後の展開は異なりました。侵攻から12か月後の2023年2月時点では、ゴールドは約3.5%のマイナスに転じていたのです。なぜそのようなことが起きたのでしょうか。

その背景にあったのが、原油高とインフレ、そして急激な利上げです。ロシアの侵攻直後、WTI原油は100ドルを突破し、一時は130ドル近くまで上昇しました。もともとコロナ後の景気回復局面で物価上昇圧力が高まっていたところに、原油高が重なったことで、アメリカではインフレがさらに加速しました。

その結果、FRBは急速な利上げに踏み切ります。動画では、政策金利を0.25%からわずか1年で4.5%まで引き上げたと説明されています。0.75%の大幅利上げを4回連続で行うという、歴史的にも異例のスピードでした。利息を生まないゴールドは、こうした金利上昇局面では不利になりやすく、結果として下落圧力を受けたのです。

今回のイラン戦争と似ている点と違う点

2026年のイラン戦争でも、構図の一部は非常によく似ています。有事が起き、原油が上がり、インフレ懸念が高まり、金利上昇圧力が意識される。この流れは、2022年のロシア侵攻時と重なります。

ただし、動画では2022年と2026年の決定的な違いにも触れています。それは、2022年はFRBが実際に大幅利上げを次々と実行したのに対し、2026年は収録時点で年内の利上げ確率が50%を下回っており、利上げ懸念がやや落ち着いている点です。

この違いは、今後のゴールドの見通しを考えるうえで非常に重要です。もし市場が「結局、利上げはそこまで進まない」と判断すれば、金利上昇による逆風が弱まり、金にとって再び追い風が戻る可能性があるからです。

中央銀行の爆買いがゴールド相場を支えてきた

動画では、2022年以降のゴールド相場を支える決定的な材料として、中央銀行による大量購入も挙げられています。

背景にあるのは、ロシア資産の凍結です。これにより、非西側諸国の中央銀行は「ドル資産を保有していても、将来凍結される可能性がある」と意識するようになりました。その結果、外貨準備の一部をドルから金へ移す動きが加速しました。

動画では、2022年に中央銀行が1037トンのゴールドを購入し、これは50年ぶりの高水準だったと説明されています。この構造変化が、その後の中央銀行による継続的な買いの起点となり、ゴールド価格の下支え要因になったというわけです。

つまり、ゴールドは単なる短期的な避難先としてだけでなく、国際金融秩序の変化の中で準備資産としての重要性を高めてきた側面があるのです。

追加解説

なぜ株は最高値なのにゴールドは戻りが悪いのか

ここが今回のテーマの核心です。株も金も過去5年間は一緒に上がってきたのに、なぜ2026年4月には株だけが高値を更新し、ゴールドは出遅れているのでしょうか。動画では、その理由を3つの視点から説明しています。

停戦は株には追い風だが、ゴールドには綱引きになる

まず大きいのが、停戦や戦争終結期待の影響の違いです。

株にとって停戦は、ほぼ一方通行の追い風です。不安が後退し、投資家がリスクを取りやすくなり、資金が株式市場へ戻ってきます。そのため、株価は素直に上がりやすくなります。

しかし、ゴールドにとって停戦は単純なプラスではありません。そこには2つの力が同時に働きます。

1つはプラスの力です。停戦によって原油価格が下がれば、インフレ懸念が和らぎ、利下げ期待が復活しやすくなります。利息を生まないゴールドにとって、金利低下期待は追い風になります。

もう1つはマイナスの力です。停戦によって地政学リスクが後退すれば、安全資産としての金需要は減ります。つまり、ゴールドから資金が抜けやすくなります。

株にはプラスの力がほぼ一直線に働くのに対し、ゴールドにはプラスとマイナスが同時に作用するため、戻り方が鈍くなりやすいのです。動画で「株は一方通行、ゴールドは綱引き」と表現されているのは、非常にわかりやすい整理だといえます。

株には業績があるが、ゴールドにはない

2つ目の理由は、資産の性質そのものの違いです。

S&P500や日経平均、オルカンのような株式インデックスは、企業の集合体です。金利が多少不利になっても、企業業績が良ければ株価は支えられます。動画でも、2026年1月から3月期の米国企業決算が全体として好調であり、AIや半導体需要が強かったこと、さらにアメリカの銀行決算も良かったことが紹介されています。

一方で、ゴールドには業績がありません。配当も利息も出ません。企業のように売上や利益が伸びて評価されるわけでもありません。そのため、金利上昇が逆風になった時に、株であれば「でも業績がいいから持てる」と考えられても、ゴールドにはそうした耐久材料が乏しいのです。

この差が、株の戻りの強さと、ゴールドの戻りの鈍さの違いにつながっています。

トルコの売却と米国ETFの流出が重なった

3つ目の理由は、需給面です。動画では、ブルームバーグ報道として、トルコ中央銀行がイラン戦争開始後の2週間で約120トン、金額にして約1.3兆円相当のゴールドを売却したと紹介されています。2013年以降で最速のペースだという説明です。

背景には、通貨リラの防衛があります。原油高でリラが下落し、その介入資金を確保するためにゴールドを売ってドルに換える必要があったという流れです。

さらに、3月にはアメリカのゴールドETFから約2兆円もの資金が流出したとも説明されています。アメリカの長期金利が上昇したため、ゴールドよりも国債のほうが魅力的だと判断した投資家が増えたわけです。

その一方で、中国では逆の動きが見られました。中国のゴールドETFには約2500億円が流入し、中国人民銀行も3月に5トン購入、これで17か月連続の購入になったとされています。つまり、国や地域によって金への見方が大きく異なっており、世界全体としては買いも売りも混在している状態です。

株ほど勢いよく戻れない背景には、こうした現実的な売り圧力もあったのです。

それでもゴールドの土台が崩れたわけではない

ここまでを見ると、ゴールドはもう弱い資産なのではないかと感じるかもしれません。しかし、動画はそこを慎重に否定しています。

この5年間、金と株を押し上げてきた3つの追い風のうち、2026年春時点で弱まっているのは利下げ期待だけです。中央銀行の構造的な買いは続いており、2022年のロシア資産凍結をきっかけに始まった「ドル以外の準備資産を持つ」流れは、まだ終わっていません。

だからこそ、ゴールドは4409ドル台で下げ止まり、4800ドル台まで戻してきたとも考えられます。もし原油が落ち着き、利下げ期待が再び高まれば、3つの追い風が再びそろい、ゴールドが持ち直す可能性は十分にあるというのが動画全体の見立てです。

2026年5月以降のゴールド見通し

主要投資銀行はそろって強気見通し

動画の最後では、主要投資銀行による2026年のゴールド価格予想が紹介されています。3月の急落前には、JPモルガンが6300ドル、ウェルズ・ファーゴが6200ドル、UBSが6200ドル、ドイツ銀行が7200ドルと、かなり強気の見通しを出していたと説明されています。

その後、暴落後の4月時点では、やや見通しに修正も入りました。たとえばゴールドマン・サックスは5400ドル、UBSは短期で5200ドルに引き下げた一方、年後半については5900ドル、上振れ時には7200ドルまであり得ると見ていると紹介されています。

現在が4800ドル台だとすれば、動画の整理では、もっとも慎重な見通しでも今の水準から約13%上、もっとも強気の見通しでは約32%上という計算になります。重要なのは、下がると明言している銀行が1つもなく、全体として「どこまで上がるか」の違いになっている点です。

もちろん、投資銀行の予測が必ず当たるわけではありません。ただ、市場の専門家たちが現時点でどのような前提で相場を見ているのかを知る材料としては有効です。

強気の根拠は3つある

動画では、各社の強気見通しに共通する根拠として、3つのポイントを挙げています。

1つ目は、中央銀行の買いが続くことです。ワールドゴールドカウンシルは、2026年の購入量を850トンと予測していると説明されています。2020年以前の平均である400トンから500トンと比べると、なお非常に高い水準です。しかも、マレーシア、韓国、ケニアなど、新たな買い手も増えているとされています。

2つ目は、ゴールドの国際的地位の上昇です。動画では、2025年にゴールドがユーロを抜いて世界2位の準備資産になったと紹介されています。また、大手ゴールドETF運用会社の分析として、現在の強気相場は2022年に始まり、ここまで約200%上昇しているが、過去の大きな強気相場は1976年から1980年で約500%、2001年から2011年で約600%だったため、今回はまだ途中段階の可能性があるという見方も示されています。

3つ目は、原油価格です。動画では、原油が80ドルから85ドル程度まで落ち着けば、ゴールドが速やかに5000ドルを超える可能性があるとの見方が紹介されています。足元でゴールドが4800ドル台にとどまっている背景には、原油が90ドル前後と依然高止まりしていることがあり、停戦が本格化して原油が下がれば、金も一気に動く可能性があるという整理です。

短期の急落は今後もあり得る

ただし、動画は強気一辺倒ではありません。ゴールドは短期的には大きく振れやすい資産であり、3月のような急落が今後も絶対にないとは言えないと注意しています。

過去の強気相場でも、10%以上の調整は何度も起きており、今回はまだ2回目にすぎないという見方も紹介されています。つまり、長期では強気であっても、その途中で投資家の心を揺さぶる下げは何度も起こり得るということです。

この点は非常に重要です。長期で上がる可能性がある資産であっても、途中の値動きは決して楽ではありません。特に、ゴールドは配当も利息もないため、下がっている最中に持ち続けるには、自分なりの保有理由が必要になります。

まとめ

今回の動画が伝えている最大のポイントは、ゴールドが株高に乗り遅れているように見えても、その背景は単純な弱さではないということです。

2026年のゴールドは、1月29日に5595ドルの高値をつけた後、3月26日に4409ドルまで下落し、そこから4800ドル台まで回復しました。それでも高値からは約14%低い水準にあります。株が高値更新を続ける中で、金だけが取り残されているように見えますが、その理由ははっきりしています。

停戦は株にとっては一方通行の追い風である一方、ゴールドには安全資産需要の低下と利下げ期待の復活という両面が働くため、戻り方が鈍くなりやすいこと。株には企業業績という支えがあるが、ゴールドにはそれがないこと。さらに、トルコ中央銀行の大量売却や米国ETFからの資金流出が重なり、需給面でも逆風があったこと。この3つが、今回の出遅れの大きな原因でした。

一方で、中央銀行による構造的な買いは続いており、ドル以外の準備資産としての金の重要性も高まっています。主要投資銀行も、2026年後半のゴールドに対して全体として強気の見方を維持しています。短期では乱高下があっても、長期の構造そのものが壊れたわけではない、というのが動画全体のメッセージです。

そして最後に、この動画がもっとも強く訴えていたのは、相場観以上に「なぜ自分はゴールドを持つのか」を言葉にできるかどうかです。株の暴落時のクッションとして持つのか、通貨の価値低下に備えるために持つのか。その理由を自分の言葉で説明できる人は、急落局面でも揺さぶられにくくなります。

ゴールドは何も語らず、配当も出さず、ただ静かに存在する資産です。その沈黙にどんな意味を与えるのかは、保有する側の考え方次第です。株と違って派手な成長ストーリーはありませんが、だからこそ、持つ理由が明確な人にとっては、ポートフォリオの中で独自の役割を果たし続ける資産だといえるでしょう。

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