本記事は、YouTube動画『AI相場復活とイラン戦争後の米国株見通し』の内容を基に構成しています。
導入
米国株やビットコインなどのリスク資産が大きく揺れる中、投資家の関心は再びAI関連株と半導体株に集まっています。特に2026年4月は、半導体セクターETFが月間で32.1%上昇するなど、非常に強い相場展開となりました。
一方で、イラン戦争やホルムズ海峡の混乱、原油価格の高止まり、米国の労働市場や個人消費の減速など、不安材料も残っています。
今回の動画では、AI相場の復活が本物なのか、半導体株の上昇は続くのか、さらにイラン戦争後の株式市場や原油価格、S&P500の今後について詳しく解説されています。
AI相場の復活と半導体株の急騰
現在の米国株市場では、AI関連株が再び注目されています。特に半導体株は、AIデータセンターや高性能コンピューティング需要の拡大を背景に、大きく買われています。
動画では、2026年4月の半導体セクターETFの月間パフォーマンスが32.1%に達したと紹介されています。これはかなり大きな上昇です。
個別銘柄でも、Intelが87%、AMDが71%、Micron Technologyが47%、SanDiskが56%上昇したとされています。これだけを見ると、まるで半導体株全体に再び強気相場が戻ってきたように見えます。
そのきっかけとなったのが、Intelの2026年第1四半期決算です。
IntelのEPSは、市場予想1セントに対して結果29セントとなり、大きく予想を上回りました。売上高も予想124億3000万ドルに対して結果135億8000万ドルとなり、こちらも市場予想を上回りました。
さらに売上高成長率は前年同期比で7.2%増となっています。
加えて、2026年第2四半期のガイダンスも良好でした。EPSは予想8セントに対して新ガイダンス20セント、売上高は予想130億6000万ドルに対して新ガイダンス138億ドルから148億ドル、中央値で143億ドルと示されました。
つまり、EPS、売上高、ガイダンスのすべてが市場予想を上回ったため、Intel株は23.6%急騰しました。
Intel好決算がAMDなど半導体株全体に波及
Intelの決算が好調だったことで、市場では「IntelのCPU需要が強いなら、AMDのCPU需要も強いはずだ」という連想買いが広がりました。
その結果、AMDの株価も13.9%上昇しました。
このように、半導体株は個別企業の好決算がセクター全体に波及しやすい特徴があります。特にAI相場では、1社の好材料が「AI投資全体が強い」という見方につながりやすく、関連銘柄がまとめて買われることがあります。
ただし、動画ではこの半導体株の上昇について、やや慎重な見方も示されています。
現在のAI相場は、AI事業の強さを先取りして株価に織り込む相場です。つまり、実際の利益が出る前から「これからAI需要が伸びるはずだ」と期待して株価が上がっている面があります。
そのため、もし資金調達の問題や電力不足によってデータセンター建設が遅れた場合、失望売りが広がるリスクがあります。
半導体株の上昇が短命に終わる可能性
動画では、半導体株の売上高成長率は多くの場合、今期にもピークを迎え、来期から減速する可能性があると説明されています。
ここで重要なのは、株価は単に売上高が増えるだけでは上がり続けにくいという点です。
株式市場では、売上高そのものよりも「売上高成長率」が重視されます。たとえば、ある企業の売上高が前年より増えていても、その伸び率が前年より低下していれば、投資家は成長鈍化と判断することがあります。
つまり、売上高が増えていても、成長率が鈍化すれば株価は伸び悩む可能性があります。
動画では、半導体株の売上高は今後も増えると見られるものの、売上高成長率が減速することを考えると、半導体株の上昇は短命に終わる可能性があると指摘されています。
イラン戦争集結期待と株式市場の最高値更新
次に、動画ではイラン戦争と株式市場の関係について解説されています。
イラン戦争集結への期待感から、株式市場は最高値圏で推移しています。しかし、実際にどのような形で戦争が終結するのかは、非常に読みにくい状況です。
動画では、主な争点として以下の3つが挙げられています。
・停戦は続くのか
・ホルムズ海峡の主導権は誰が握るのか
・核合意は結べるのか
結論として、完全合意は難しく、実現するとしても部分的な妥協にとどまる可能性が高いとされています。
米国はイランに対して、高濃縮ウランの撤去と処分、代理勢力への支援停止、ホルムズ海峡の解放などを求めています。
一方で、イランは資産凍結の解除など、大きな見返りを求めています。
つまり、米国は「核と海峡を手放せ」と迫り、イランは「それなら高い代償を払え」と主張している構図です。
完全合意ではなく部分合意にとどまる可能性
完全合意は難しくても、部分合意であれば可能性はあります。
たとえば、イランが一時的にウラン濃縮を制限し、ホルムズ海峡の緊張を下げる代わりに、米国が一部制裁を緩和するという形です。
ただし、交渉が簡単に進むとは限りません。
米国とイランの双方が「自分たちの方が優位だ」と考えている可能性があるためです。お互いに相手が先に折れると思っていれば、妥協は進みにくくなります。
米国は、イランの軍事施設に大きな打撃を与え、ホルムズ海峡の逆封鎖によってイランを経済的に追い詰めていると考えている可能性があります。
一方でイランは、ホルムズ海峡を封鎖し続ければ、原油供給ショックによって世界経済に打撃を与えられると考えている可能性があります。
ホルムズ海峡問題が世界経済に与える影響
ホルムズ海峡は、世界のエネルギー供給にとって非常に重要な場所です。
石油だけでなく、肥料の原料となる窒素肥料も通過します。そのため、ホルムズ海峡の混乱が長引けば、エネルギー価格の上昇だけでなく、肥料不足による食料生産の減少にもつながる可能性があります。
特に新興国では、食料価格の上昇が国民生活を直撃し、政治不安につながるリスクがあります。
つまり、米国がイランの輸出収入を締め上げる一方で、イランは世界のエネルギーと肥料を人質に取るような構図になっているわけです。
動画では、この交渉は「戦争の勝者を決める話」ではなく、「どちらが先にどの痛みを受け入れるかを探る消耗戦」だと説明されています。
株式市場が上昇している5つの理由
イラン戦争や原油高という不安材料があるにもかかわらず、株式市場は最高値圏で推移しています。
動画では、その理由として5つの要因が挙げられています。
1つ目は不透明感がピークを超えたこと
市場が最も嫌うのは、悪材料そのものよりも「先が見えないこと」です。
開戦直後は、地上戦突入、ホルムズ海峡の長期封鎖、エネルギー危機といった最悪シナリオが意識されました。
しかし、停戦が延長され、米国とイランに対話の余地があると見られるようになったことで、市場参加者は「最終的には外交的な落としどころが見つかる」と考え始めています。
2つ目は押し目買いが定着していること
投資家はここ数年、戦争、インフレ、利上げ、金融不安、政治リスクなど、多くの悪材料を経験してきました。
しかし、そのたびに株式市場は一時的に下落しても、最終的には戻ってきました。
そのため、投資家の間では「悪材料で下がったら買う」という行動が定着しつつあります。
3つ目は原油ショックが今のところ限定的なこと
原油やガソリン価格は上昇していますが、世界経済全体を止めるほどの供給不足にはまだ至っていません。
石油備蓄の放出、産油国の余剰生産能力、価格上昇による需要抑制などがショックを和らげています。
ただし、ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば話は変わります。市場は現時点で楽観的に見ていますが、混乱が長引けば株式市場にも悪影響が広がる可能性があります。
4つ目は企業業績が強いこと
S&P500企業の第1四半期決算では、約8割が市場予想を上回ったとされています。
これは株高を支える大きな材料です。
イラン戦争そのものが株安要因なのではなく、戦争に伴う原油高が個人消費を冷やし、最終的に企業業績に打撃を与えることが懸念されていました。
しかし、企業経営者が依然として強気の見方を示しているため、投資家は安心して株を買っているという構図です。
5つ目はAI関連株の復活
AI需要は戦争によって止まっていません。
むしろ、AI投資の必要性はさらに高まっていると見られ、半導体関連株が大きく上昇しています。
ただし、動画ではAI関連株の復活についても、長続きしない可能性があると指摘されています。
理由は、売上高成長率が今後鈍化する可能性があるためです。
高級ブランド株と富裕層消費への影響
動画では、景気後退局面でエルメスなどの高級ブランドが影響を受けるかどうかについても触れられています。
結論として、景気後退の規模によるとされています。
信用不安が広がり、企業倒産が相次ぐような深刻な景気後退になれば、富裕層の消費も鈍り、高級ブランドにも打撃が及ぶ可能性があります。
また、年収15万ドル、約2400万円以上の高所得世帯でも、日用品や食品をウォルマートやディスカウント店で購入する傾向が強まっていると紹介されています。
高所得世帯のディスカウント店利用率は、2021年の19.8%から2025年には27.5%に上昇しているとされています。
これは、高所得世帯であってもインフレによって家計が圧迫されていることを示しています。
ただし、中長期的には新興国の富裕層が増えることで、エルメスなどの高級ブランドの売上高は回復する可能性があると説明されています。
原油価格の見通しとエネルギー供給リスク
原油価格については、向こう数ヶ月にわたって高止まりする可能性があるとされています。
その後は、ホルムズ海峡の機雷除去にかかる時間や、エネルギーインフラの回復スピードに左右されると説明されています。
動画では、今回の危機によって世界市場からすでに5億バレルの原油供給が失われたと紹介されています。
さらに、湾岸アラブ諸国だけで3月に日量約800万バレルの原油生産が失われたとされています。これは、エクソンモービルとシェブロンを合わせた生産量に匹敵する規模です。
累計損失額は、原油価格100ドル前後を前提に約500億ドルと試算されています。
また、ピーク時の供給喪失は日量1200万バレルで、世界需要の約11.5%に相当するとされています。
これは、1973年の第1次オイルショック、1978年から1979年のイラン革命、1991年の湾岸戦争時のピーク供給喪失を上回る規模だと説明されています。
問題は生産能力ではなく輸出能力
ただし、ここで重要なのは、低下しているのが主に生産能力そのものではなく、輸出能力だという点です。
つまり、油田そのものが完全に破壊されたというよりも、港、タンカー、保険、航路、パイプラインなどが詰まっている状態です。
動画では、ホルムズ海峡の混乱によって日量約1300万バレルの石油供給と日量約3億立方メートルのLNGが湾岸内に閉じ込められているとされています。
また、湾岸内には荷物を抱えたタンカーが約260隻、原油約1億7000万バレル分も滞留していると説明されています。
そのため、海峡が再開すればすぐに原油価格が下がると考えるのは早計です。
回復には数ヶ月から数年かかる可能性
ホルムズ海峡が安全に再開され、攻撃が再発しなければ、サウジアラビアやUAEのような余力のある国は比較的早く供給を戻せる可能性があります。
動画では、失われた生産の約70%を3ヶ月以内、約88%を6ヶ月以内に回復できる可能性があると紹介されています。
一方で、完全回復にはさらに時間がかかります。
クウェートやイラクの重油輸出が通常水準に戻るまでには4ヶ月から5ヶ月かかる可能性があり、製油所やLNG施設の被害を含めれば、地域全体のエネルギーインフラの完全復旧には数年単位を要する可能性もあります。
そのため、原油価格は短期的には高止まりし、中長期的にはホルムズ海峡の安全回復とエネルギーインフラの復旧状況に左右されることになります。
今後の米国株見通し
動画の最後では、今後の相場観についても示されています。
S&P500が最高値圏で推移していることを踏まえると、景気後退を伴う本格的な下落相場はすぐではなく、秋以降になる可能性があるとされています。
3月の急落によって、セルインメイのような典型的な季節的下落の可能性は低下したと説明されています。
しかし、労働市場と個人消費には減速の兆候が見られます。
米国経済を支えているのはAIではなく、最終的には個人消費です。AI投資がどれだけ盛り上がっても、個人消費が崩れれば企業業績には悪影響が出ます。
そのため、ここから米国株の新しい大相場が始まるというよりも、最後の上昇相場になる可能性があると動画では指摘されています。
S&P500は2027年10月頃に底打ちする可能性
歴史的に見ると、S&P500の景気後退を伴う下落相場は、天井をつけてから平均15ヶ月後に底打ちする傾向があるとされています。
また、3月と10月は相場の転換点になりやすい時期です。
これらを踏まえると、動画では2027年10月頃に底打ちする可能性があると予想されています。
S&P500の最大下落率は50%、円建てでは60%程度になる可能性があるとも述べられています。
これは非常に大きな下落予想です。
欧州株や新興国株、金も同様に下落すると見られていますが、S&P500よりはやや浅い下げになる可能性があるとされています。
2040年までの長期投資では国際分散投資の時代へ
動画では、2025年12月末を起点に2040年までを見た場合、S&P500の年率平均リターンは1桁台前半の低いパフォーマンスにとどまる可能性があると予想されています。
一方で、欧州株、新興国株、コモディティ、暗号資産は2桁の比較的高いパフォーマンスになる可能性があるとされています。
つまり、次の景気拡大局面では、米国株一極集中ではなく、国際分散投資が重要になるという見方です。
これまでの投資環境では、S&P500やNASDAQ100に投資していれば高いリターンを得られる時期が続きました。
しかし、今後は米国株だけに依存するのではなく、欧州株、新興国株、金、コモディティ、暗号資産などを組み合わせることが重要になる可能性があります。
追加解説:AI相場と景気後退リスクは同時に存在する
今回の内容で重要なのは、AI相場の強さと景気後退リスクが同時に存在している点です。
一見すると、半導体株が急騰し、S&P500が最高値圏で推移しているため、米国株市場は非常に強いように見えます。
しかし、その裏側では、原油高、インフレ再燃、ホルムズ海峡問題、労働市場の減速、個人消費の鈍化といったリスクが積み上がっています。
特に注意すべきなのは、AI投資が実体経済全体を支えるわけではないという点です。
AI関連企業や半導体企業にとっては追い風でも、一般消費者の生活費が上がり、雇用が悪化すれば、米国経済全体には下押し圧力がかかります。
つまり、AI相場の上昇だけを見て楽観しすぎるのは危険です。
まとめ
今回の動画では、AI相場の復活、半導体株の急騰、イラン戦争後の地政学リスク、原油価格の見通し、そしてS&P500の長期的な下落リスクについて詳しく解説されていました。
足元では、Intelの好決算をきっかけに半導体株が大きく買われ、AI関連株への期待が再燃しています。S&P500も最高値圏で推移しており、市場は一見すると非常に強い状態です。
しかし、その一方で、半導体株の売上高成長率は今後鈍化する可能性があり、AI相場の上昇は短命に終わる可能性もあります。
また、イラン戦争が終結に向かっているように見えても、ホルムズ海峡の主導権、核合意、資産凍結解除、原油供給網の回復など、多くの問題が残っています。
原油価格は向こう数ヶ月にわたって高止まりする可能性があり、インフレ再燃や個人消費の悪化につながるリスクがあります。
動画では、米国株はここから最後の上昇相場に入る可能性がある一方で、2027年10月頃にかけて大きな下落局面を迎える可能性があると予想されています。
今後の投資では、AI関連株の勢いだけを見るのではなく、原油価格、ホルムズ海峡、企業業績、労働市場、個人消費といった複数の要素を冷静に確認していくことが重要です。


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