今回はADRを活用した高配当投資について解説します。
ADR(American Depositary Receipt)は、米国市場で取引される外国企業の株式を示す証券で、日本国内でも人気があります。この動画では、ADRの特徴と高配当銘柄の具体例を紹介しながら、投資のポイントを解説しています。
ADRとは?
まずは、ADRの概要から説明します。ADRは、外国企業の株式を米国市場で流通させるために発行される預託証券です。
米国の金融機関が外国株を購入し、その株を担保に預かり証書を発行します。これにより、米国内で外国企業の株式が取引できるようにしたものになります。
実際に株式市場で売買されるのは預かり証であるADRですが、株の預かり証なので、株とほぼ同等のものである、という理解で大丈夫です。
ADRの配当の仕組み
ADRの配当には、特有の仕組みがあります。以下の図で順を追って説明します。
- 外国企業から米国の金融機関へ配当支払い: 外国企業が配当を支払う際、現地での課税が行われます。国によっては非課税のところもあります。
- 米国の金融機関から日本の証券会社へ配当送金: 米国内での配当課税10%は免除されます。
- 日本での配当課税: 日本国内では通常の配当課税が行われますが、NISA口座を利用することで非課税にすることができます。
アメリカ株式取引にはなりますが、アメリカ内での課税が無く、NISA口座にしていれば非課税の配当を得られます。
高配当なADR銘柄の紹介
ここからは具体的な高配当ADR銘柄をいくつか紹介します。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)
- 4年平均配当利回り:7%以上
- 直近の配当利回り:10%近く
- 株価の動向:過去10年間で横ばい傾向
- 配当の特性:非課税で、ほぼそのままの配当を受け取れる
イギリスのたばこ会社です。
近年の禁煙ブームにより株価は微妙な下落傾向ですが、配当利回りは10%を超えます。
課税は無しで、配当手数料は0.005ドルと言うことで、NISA口座で運用すれば、ほぼそのまま配当を受け取れます。
ボーダフォン・グループ(VOD)
- 4年平均配当利回り:7%以上
- 直近の配当利回り:10%近く
- 株価の動向:過去10年間で下落傾向
- 配当の特性:非課税で、手数料もほぼなし
イギリスの通信会社です。
現地課税なしで手数料は.00175ドルで同じイギリスのADRでもブリティッシュタバコとは違う点に注意が必要です。
エコペトロル(EC)
- 4年平均配当利回り:20%以上
- 株価の動向:下落傾向が続く
- 配当の特性:非課税は非常に少なく、ADR手数料なし
コロンビアの政府系石油会社です。
配当利回りは非常に高いですが、コロナ時は無配の時もありました。
現地課税は0.0005%とわずかながらありますが、非常に少ないです。
ADR投資のメリットと注意点
ADRの大きなメリットは、米国での配当課税が免除される点です。特にNISA口座を利用すれば、日本での配当課税も非課税にできます。また、配当利回りが高い銘柄を選ぶことで、安定したキャッシュフローを期待できます。
しかし、ADRにはいくつかの注意点もあります。
- 現地課税の有無:外国企業によって異なるため、投資先の課税制度を確認する必要があります。
- 手数料:ADR管理手数料がかかる場合があり、銘柄ごとに異なります。
- 株価の変動:高配当銘柄は株価が下落する傾向があるため、トータルリターンに注意が必要です。
超高配当にはリスクが伴います。
長期的な安定性を重視するため、将来性のある成長企業のADRにも注目すべきです。特にインドなどの成長市場の企業のADRは、直接投資が難しい地域に代わる投資手段として有望です。
まとめ
ADRを活用した高配当投資は、米国での配当課税が免除される点が大きな魅力です。NISA口座を利用すれば、日本での配当課税も非課税にできます。ただし、投資する銘柄の現地課税や手数料、株価の動向などをしっかりと確認することが重要です。
知っておきたい専門用語
ADR(American Depositary Receipt):米国の預託証券。外国企業が米国市場で取引されるために発行する証券。
配当利回り:株価に対する年間配当金の割合。投資の収益性を示す指標。
現地課税:配当金が支払われる国での課税。国ごとに異なる。
NISA(Nippon Individual Savings Account):日本の少額投資非課税制度。一定の投資額まで配当や譲渡益が非課税になる。
米国課税:米国での配当金に対する課税。ADRでは10%の課税が免除される。
ADR管理手数料:ADRを管理するための手数料。配当金から差し引かれる場合がある。
トータルリターン:配当金と株価変動を合わせた総合的な投資収益。
ボラティリティ:価格や利回りの変動の大きさ。高いとリスクが大きいとされる。
成長企業:将来的に大きな成長が見込まれる企業。配当よりも株価の上昇を狙う投資が一般的。
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