運用リターンを激減させてしまう最悪の行動について詳しく解説した動画をご紹介します。
初心者でも理解できるように、この動画の内容を分かりやすく、具体例と数字を交えてまとめていきます。
S&P 500のパフォーマンスと資産運用のリスク
まず、動画では2007年から2021年までのS&P 500の株価チャートが示されています。
S&P 500は、アメリカを代表する株価指数で、世界中の投資家が注目する重要な指標です。
この15年間で、S&P 500はリーマンショックや新型コロナウイルスのパンデミックなど、数々の経済ショックを経験しながらも、最終的には約3倍に成長しました。もし、この間に配当を再投資していた場合、その成長率は約4倍に達しています。
しかし、この動画で最も重要なのは、ある行動をしてしまうと、同じS&P 500に投資していても資産が増えないという点です。このリスクについて動画内で理論的に解説され、運用リターンを守るための心構えが紹介されています。
年間取引日数と上昇・下落日数
S&P 500の年間の成績を調査するために、動画では年間の取引日数に注目しています。
例えば、リーマンショックが起きた2008年には、S&P 500は約40%下落しました。しかし、驚くべきことに、年間取引日数253日のうち、122日も上昇していたことが分かります。
つまり、大幅な下落の年でも、取引日数の約半分は上昇していたのです。
逆に、好調な年である2019年には、S&P 500は31%上昇しましたが、1年間の取引日数252日のうち、約100日は下落していました。
このデータからもわかるように、どれだけ市場が好調であっても、年間を通じてかなりの日数は下落していることがわかります
。つまり、投資家が「一時的な下落」を過度に心配して売却することは、将来の利益を逃すリスクを伴うのです。
日々の上昇・下落率の重要性
さらに、動画では日々の上昇率や下落率にも注目しています。
例えば、2008年には平均上昇率が1.59%で、平均下落率が1.79%でした。
一方、2013年のように市場が32%上昇した年でも、上昇日数の145日のうち、1%以上上昇した日はわずか18日しかありませんでした。
このデータから、特定の少数の上昇日が全体のパフォーマンスに与える影響が非常に大きいことがわかります。
特に、最も上昇した日を逃してしまうと、投資リターンが大幅に減少してしまうというデータも示されています。
2007年から2021年までの間に、上昇したトップ1%の日を逃してしまうと、S&P 500のリターンは300%から20%に激減してしまうのです。最も上昇した30日間を逃すと、リターンはなんと-20%にまで下がってしまうという驚きの結果もあります。
暴落時のリバウンドを逃さないために
動画では、リターンを減らしてしまう最悪の行動とは、暴落時に売却してしまうことだと強調しています。
市場が大きく下落した際、多くの投資家は不安になって保有資産を売却します。
しかし、その後に市場はしばしばリバウンド(回復)します。実際に、最も大きなリターンをもたらす日は、リーマンショックやコロナショックのような暴落後に集中しています。
たとえば、2020年のコロナショック時には、上昇した日数は57%、下落した日数は43%でした。
異常なほど市場が乱高下していたにもかかわらず、結果的には上昇日数が下落日数を上回る展開となりました。このような状況下で、暴落時に売却してしまうと、その後のリバウンドを逃し、運用成績が大きく低下することになります。
長期保有が最善の戦略
動画の結論として、長期保有が最も資産を増やす有効な戦略であるとされています。
短期的な下落や市場の騒動に惑わされて資産を売却するのではなく、市場に留まり続けることで、暴落後のリバウンドを確実に捉えることができるのです。特に、上昇日数と下落日数に大きな差がないため、1日の上昇を逃すだけで年間リターンに大きな影響を与えることがわかります。
また、SP 500が1週間で5%以上下がることは年に1~2回程度であるため、これを理由に売却するのは、結果的に非効率であると述べています。
むしろ、暴落時に資産を保有し続け、リバウンドを逃さないことが資産形成の近道であり、初心者にとってはこの戦略が最善であると強調されています。
結論
投資において最も避けるべき行動は、暴落時に売却し、リバウンドを逃すことです。
市場は常に上下を繰り返しますが、特定の上昇日を逃してしまうと、リターンが大幅に低下するリスクがあります。特に、長期保有が暴落を乗り越える最も安全で効果的な戦略であり、短期的な感情に左右されずに、冷静に市場に留まり続けることが重要です。
初心者投資家にとって、日々の変動に惑わされず、暴落後のリバウンドを見越した投資戦略を持つことが、長期的な成功への道です。
知っておきたい専門用語集
- S&P 500:アメリカの代表的な株価指数。500社の大型上場企業の株価を基に計算され、アメリカ経済の動向を示す指標として広く利用されている。
- 配当再投資:株式やETFから得た配当金を再び同じ銘柄に投資することで、複利効果を狙う投資戦略。
- リーマンショック:2008年にアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻を引き金に発生した世界的な金融危機。大規模な株価下落が起きた。
- 騰落率:株価や指数の上昇(騰)や下落(落)を示す割合。パーセンテージで表され、過去の価格と比較してどれだけ値動きがあったかを示す。
- IVV:S&P 500に連動するETF(上場投資信託)。投資家がS&P 500に簡単にアクセスできる商品。
- 取引日数:株式市場が開いている日数。年間で取引が行われる日数を示す。
- 上昇日数:ある期間中に株価や指数が前日比で上昇した日数。
- 下落日数:ある期間中に株価や指数が前日比で下落した日数。
- 平均上昇率:上昇日数における1日あたりの平均的な上昇幅。
- 平均下落率:下落日数における1日あたりの平均的な下落幅。
- リバウンド:大幅に下落した株価が反発し、再び上昇する現象。暴落後の回復局面を指す。
- 大陰線:ローソク足チャートにおいて、始値が高く、終値が低い大きな下落を示すローソク足。
- テンバガー:株価が10倍以上に上昇すること。ピーター・リンチの著書で広まった用語。
- ボラティリティ:市場の価格変動の激しさを示す指標。ボラティリティが高いほど、価格が大きく上下する。
- チキンフォリオ:リスクを恐れて過剰に現金を持ち、十分に投資を行わないポートフォリオ。
コメント