なぜ、ウォーレン・バフェットが米国株を大量売却したのか

今回は投資の神様、ウォーレン・バフェットについての話題です。

彼が最近200億ドル、約3兆400億円相当の株式を売却し、さらに約24兆円もの現金を保有していることが明らかになりました。

これが彼の人生で最大のキャッシュ保有量となり、世界経済に対する非常に悲観的な見方を示しているのではないかと言われています。

目次

バフェットの投資哲学

まず、バフェットの投資ルールについておさらいしましょう。バフェットは「安い値段で買ったらリスクが低く、リターンが高い」というシンプルな原則で銘柄を選びます。

優れた製品と優れた経営をしているが過小評価されている企業に積極的に投資することで知られています。

バフェットは1965年以来、年間19.8%のリターンを生み出しており、当時の1ドルは現在の価値で約4万2千ドルにもなっています。これはS&P500を大きく上回る成績です。

過去の大暴落と市場の見通し

S&P500は過去に8回の大暴落を経験しており、平均して60%の下落を記録しています。バフェットはこのような歴史的な大暴落に備えて、多額の現金を保有しています。

また、シラーPERという指標を用いて長期的な市場の見通しを立てることができます。

シラーPERは、インフレ調整済みの過去10年間の1株あたり純利益の平均を基に算出され、長期的な割高・割安さを判断するのに適しています。この指標を使うと、S&P500の動きをある程度予測することができます。

S&P500のサイクルとその予測可能性

S&P500のサイクルから学ぶことは多く、歴史的なデータを基にすると、ある程度の予測が可能であるとされています。特に、ウォーレン・バフェットのような投資家が注目するのは、長期的な市場の動きやトレンドです。以下に、S&P500のサイクルとそれがどのように予測可能であるかについて詳しく説明します。

1. 過去の大暴落と回復サイクル

S&P500は、過去100年間においていくつかの大暴落とその後の回復を経験しています。これらのサイクルを分析することで、将来の動きをある程度予測することが可能です。以下は、いくつかの主要なサイクルの例です:

  • 1929年の大恐慌:市場は大きく下落し、その後数年にわたり低迷しました。
  • 1987年のブラックマンデー:短期間で市場は急落しましたが、比較的早く回復しました。
  • 2000年のドットコムバブル崩壊:ハイテク株のバブルが崩壊し、その後数年間市場は低迷しました。
  • 2008年のリーマンショック:金融危機により市場は急落し、回復には数年を要しました。

これらの過去のサイクルを理解することで、同様のパターンが今後も繰り返される可能性が高いと考えられます。

2. シラーPER比率による長期的予測

シラーPER比率(Cyclically Adjusted Price-to-Earnings ratio)は、長期的な市場の割高・割安を判断するのに有効な指標です。この比率を使用することで、S&P500の長期的なリターンを予測することができます。

  • 高いシラーPER比率:市場が割高であり、将来的にはリターンが低くなる可能性があります。
  • 低いシラーPER比率:市場が割安であり、将来的にはリターンが高くなる可能性があります。

過去のデータを見ると、シラーPER比率が高い時期には市場が下落し、低い時期には市場が上昇する傾向があります。

3. 長期的なリターンの予測

バフェットが述べているように、S&P500の10年間のリターンはある程度予測可能です。過去100年間のデータを見ると、株式市場の相場の値動きは10年間で大きく変動することが多いです。以下の点に注目することが重要です:

  • 10年間で最もリターンが低い時期:この時期は市場が割高であり、その後の10年間のリターンは低くなる傾向があります。
  • 10年間で最もリターンが高い時期:この時期は市場が割安であり、その後の10年間のリターンは高くなる傾向があります。

4. グラフで見る市場の動き

過去100年間のS&P500の推移をグラフで見ると、以下のようなパターンが見られます:

  • 1999年や1950年代の終わり:10年間で約300%の変動を記録しています。
  • 1930年代の世界恐慌後:市場は低迷しましたが、その後大きく回復しました。
  • 2009年のリーマンショック後:市場は急落しましたが、その後大きく上昇しました。

これらのパターンを視覚的に確認することで、大きな転換点を予測する手助けになります。

バフェットが売却した銘柄とその理由

2024年5月4日の年次総会で、バフェットはApple株を一部売却したと公表しました。

売却の理由は、今後投資データ売却益にかかる税率が上昇する見立てからでした。ただし、バフェットはAppleの事業を高く評価しており、最大の保有株であることには変わりないと強調しました。

日本の商社株への投資

バフェットは日本の商社株にも注目しています。

2020年に5大商社株を5%取得し、約6億ドルを投資しました。

その後も買い増しを続け、現在では保有比率が7.4%に達しています。バフェットが日本の商社株を選んだ理由は、グローバル企業でありながら割安で配当利回りが良いという点です。

謎の銘柄と新たな投資先

バフェットは2023年第3四半期と第4四半期に謎の銘柄を購入していましたが、その正体はスイスに本拠を置く世界最大級の損害保険会社チャブでした。

この銘柄の保有額は約1兆円に相当し、他の投資家に悟られないよう非公開にしていたようです。

ウォーレン・バフェットが手元現金を多く保有する理由

ウォーレン・バフェットが手元に多くの現金を保有している理由は、彼の投資哲学や市場の見通しに基づいています。以下に、バフェットがなぜ現金を多く保有するのか、その理由を詳しく説明します。

1. 市場の高騰を警戒

バフェットは現在の株式市場が割高になっていると判断しています。

市場が高騰している時期に新たな投資を行うのはリスクが高いため、慎重になっています。バフェットは「安い値段で買ったらリスクが低く、リターンが高い」という原則を持っており、割高な市場ではその原則に従った投資が難しくなります。

2. 将来の投資機会に備える

市場が下落した際に、魅力的な投資機会が現れることがあります。

バフェットはその時に迅速に対応できるよう、大量の現金を手元に保有しています。彼は、過去の大暴落の際に大きな利益を上げた経験から、次の大きな投資チャンスを待ち構えています。

3. 経済不安への備え

バフェットは世界経済や市場の不安定さを警戒しており、これに対する備えとして現金を多く保有しています。例えば、地政学的リスクや金融市場の不透明さなど、様々なリスクに対して柔軟に対応できるようにするためです。

4. 税金対策

最近のApple株の一部売却の理由の一つとして、バフェットは今後投資データ売却益にかかる税率が上昇する見通しを挙げています。

高税率の影響を受ける前に利益を確定することで、税金の負担を軽減することを目的としています。

5. 適切な投資先が見当たらない

バフェットは、自分が納得できる価格で買える適切な投資先が現時点では少ないと判断しています

。彼は無理に投資を行うよりも、適切な機会が来るまで現金を保有して待つ方が賢明であると考えています。

バフェットの失敗と反省

バフェットはApple株の他にもアメリカメディア大手パラマウント・グローバル株を全株売却し、大胆な損切りを行いました。

これは、新型コロナウイルスやハリウッドストライキの影響で経営不振に陥ったことが原因です。バフェットはこの失敗を認め、経験を通じて賢くなったと語っています。

今後の市場の見通しと投資スタイル

現在、バフェットは手元現金を過去最高の23兆円に達した状態で保有しています。

彼は市場の混乱に即座に対応できるよう、次なる投資先を慎重に見極めています。バフェットの投資スタイルを学び、私たちも市場の動きを冷静に分析し、適切な投資判断を行いましょう。

まとめ

ウォーレン・バフェットは投資の神様と呼ばれるだけあり、その投資哲学や判断は多くの投資家に影響を与えています。彼の慎重な姿勢や長期的な視点は、私たちも学ぶべきポイントが多いです。

これからも市場の動向を注視し、バフェットのように冷静かつ的確な投資判断を行っていきましょう。

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