2025年3月18日に公開された動画「保険の悪用が尋常ではなかった!調査をした途端に大量淘汰」では、中国の医療保険を悪用した不正請求が横行し、その結果として業界全体が大きな変革を迫られている現状が紹介されています。
特に、薬局が保険を利用して不正請求を行い、異常なまでに増殖した結果、政府が規制を強化し、多数の薬局が閉鎖に追い込まれているという事実が明らかになりました。本記事では、この問題の詳細を解説し、初心者にも分かりやすく具体的な数字や歴史的背景を交えながら説明します。
1. 中国の医療保険制度の特徴と問題点
日本の医療保険制度と比較すると、中国の医療保険制度には大きな違いがあります。
- 日本の場合:市販薬を薬局で購入する際に医療保険は適用されません。病院で処方箋をもらい、薬局で処方薬を購入する場合のみ、保険が適用されます。
- 中国の場合:処方箋なしでも医療保険を適用して薬を購入できる仕組みになっていました。
この制度の違いが、不正請求の温床になったのです。
2. 薬局による不正請求の手口
具体的な手口としては、薬局が実際の価格よりも高額な金額で保険請求を行うというものです。
例えば、日本円換算で説明すると:
- 実際に販売した薬の価格:1,000円
- 保険請求時の架空価格:2,000円
このように、実際の価格以上の金額を保険に請求することで、薬局は不正に利益を得ていました。
3. 急増した薬局の数とその影響
この不正請求が横行した結果、薬局は非常に儲かるビジネスとなり、参入者が急増しました。
- 2010年時点の薬局数:約40万店舗
- 2020年時点の薬局数:約70万店舗(10年間で約75%増加)
この数字は、日本やアメリカと比較しても異常なほどの増加率です。薬局の数が人口に対して過剰になりすぎたため、最終的に市場が崩壊する危機に直面しました。
4. 規制強化と不正摘発の実態
このままでは医療保険制度が崩壊するとの懸念から、2024年から政府は規制を強化しました。その結果、多数の不正請求が摘発されました。
- 2024年に摘発された不正請求件数:12,000件
- 不正請求額:約1,000億円(50億元)
これらの不正が発覚したことで、政府は薬局の保険取り扱い店舗としての登録を次々と取り消しました。
- 2024年に保険取り扱いを取り消された薬局:5,000店舗以上
- 2023年と比較すると150%増加
5. 新規参入の制限と業界の崩壊
さらに、2025年には新規薬局の開業を規制する動きが加速しています。これにより、新たに保険適用を受けられる薬局の申請受付を停止する地域が増加。結果として、業界全体が縮小の方向へと進んでいます。
- 2023年に閉店した薬局の割合:3.8%
- 2024年に閉店した薬局の割合:5.7%(約31,900店舗)
- 2024年第4四半期だけで閉店した薬局:13,000店舗
これにより、2025年にはさらに5万店舗から最大10万店舗が淘汰されると予測されています。
6. 業界大手の破綻と今後の展望
すでに中国の代表的な医薬品販売企業の子会社が次々と破産に追い込まれています。
- 破産・清算対象となった企業:6社
- 各企業の規模:中国各省の主要薬品販売会社レベル
これは、単なる薬局閉鎖にとどまらず、業界全体に深刻な影響を与えています。
また、薬局が減少することで、医薬品の販売方法も変化しつつあります。
- 実店舗の縮小 → インターネット販売への移行
- 店舗で30元の薬が、ネットでは20元で販売(約30%の価格差)
このような状況から、今後はオンラインでの薬品販売が主流になり、実店舗は大幅に減少すると予測されています。
7. 失業問題と社会的影響
薬局の急激な閉鎖は、雇用にも大きな影響を及ぼしています。
- 薬剤師や薬局従業員が大量に失業
- 失業者を吸収する産業が現在の中国にはほとんど存在しない
このため、教育を受けた薬剤師ですら仕事を失い、経済全体にも悪影響を与える可能性が高いです。
8. まとめと日本への警鐘
中国の医療保険制度における不正請求の蔓延が、業界全体の崩壊を引き起こし、経済や雇用に大きな影響を及ぼしています。この問題から日本も学ぶべき点が多くあります。
- 日本でも保険の不正利用は問題になりつつある
- 医療保険制度の財源が枯渇すれば、国民全体に影響を与える
- 不正対策の強化が求められる
動画の最後では「日本の医療保険も崩壊する可能性があるのでは?」という問いかけがありました。これは決して他人事ではなく、日本の保険制度も今後慎重に運営していく必要があるという示唆を含んでいます。
中国の医療保険の崩壊は、日本にとっても警鐘を鳴らす出来事であり、今後の政策において重要な教訓となるでしょう。
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