2025年の市場では、大きな転換点が訪れようとしています。
これまで長らく続いてきた 「ドル一強時代」 に陰りが見え、代わりに新興国株への投資が注目される時代が到来しています。本記事では、2月の米国雇用統計の結果とドル安トレンドの本格化が意味するもの を詳しく解説し、今後の投資戦略について考察していきます。
1. 2月の米国雇用統計が示す景気減速の兆候
米国労働市場の動向は、景気の先行指標として非常に重要です。2月の米国雇用統計の結果を見ると、景気後退(リセッション)の兆しが見え始めている ことが分かります。
(1) 非農業部門雇用者数
- 予想:15万1900人増
- 実際:15万1人増(予想を下回る)
- 12月と1月分は合計2万人の下方修正
- 過去3か月の平均雇用者数:20万人増(コロナ前とほぼ同じ水準)
2月の雇用者数の伸びは鈍化傾向にあり、特に1月の32万3000人増という高い数値を考えると、今後さらに雇用増加ペースが落ちる可能性が高い です。
(2) 失業率の上昇
- 予想:4.0%
- 実際:4.1%(前月比+0.1%)
4.1%という数値は、依然として「完全雇用」状態を示していますが、失業率は一度上昇し始めると加速する傾向がある ため、今後の推移に注意が必要です。
(3) 賃金インフレの鈍化
- 平均時給(前月比):+0.10%(前月の+0.15%から鈍化)
- 平均時給(前年比):+4.0%(予想の+4.1%を下回る)
労働市場の軟化により賃金インフレの圧力が弱まり、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げへの道が開かれつつある ことを示唆しています。
2. FRBの金融政策と利下げ観測
パウエルFRB議長は3月7日の講演で、
「米経済は良好な状態が続いており、利下げを急ぐ必要はない」 と発言しました。
しかし、雇用統計の悪化や、トランプ政権の関税政策の不透明性が影響し、FRBの金融政策が実態経済に対して後手に回るリスク が高まっています。
(1) 利下げの可能性
- CME FedWatchによると、市場参加者の65%が年内3回の利下げを予想
- 最速で5月のFOMCで0.25%の利下げが実施される可能性
FRBが利下げを開始すると、米国経済が景気後退局面に入り、米国株が下落する可能性が高まります。市場では、
「2025年夏から秋にかけて、米国株が高値から20%前後急落する」 との見方が強まっています。
しかし、利下げは同時に金融相場の開始を意味する ため、年末にかけて株価の回復が期待されます。
3. ドル一強時代の終焉と新興国株の復活
現在、ドルの長期下落トレンド が始まっていると考えられます。
(1) ドル指数の歴史的サイクル
ドル指数(DXY)は、概ね10年周期で上昇・下落を繰り返す 傾向があります。
期間 | ドル指数の動向 |
---|---|
1971年 – 1978年 | 7年間の下落 |
1978年 – 1985年 | 7年間の上昇 |
1985年 – 1993年 | 8年間の下落 |
1993年 – 2001年 | 8年間の上昇 |
2001年 – 2011年 | 10年間の下落 |
2011年 – 2022年 | 11年間の上昇 |
このパターンに従うと、2022年を起点とした場合、2030年頃までドル安が続く可能性が高い です。
(2) ドル安がもたらす影響
- ドル安になると、米国株の相対的な魅力が低下
- 新興国株や金(ゴールド)が魅力的な投資先に
- 機関投資家が米国外の市場へ資金を流す
実際、過去のドル安局面では以下の市場がブームになりました。
期間 | ブームになった市場 |
1970年代 | 金(ゴールド) |
1980年代後半 – 1990年代前半 | 日本株・メキシコ株 |
2000年代 | BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国) |
2020年代(予想) | グローバル・サウス(インド・メキシコ・東南アジア)と金 |
(3) 米中対立とサプライチェーンの変化
米中対立の激化により、企業の製造拠点はインド・ベトナム・メキシコ・ポーランドなどに分散 されています。
また、ウクライナ戦争の影響で、米国がドルを「武器化」したことで、中国・ロシア・新興国がドル離れを加速 させています。この動きは一時的なものではなく、長期的なトレンドとなるでしょう。
4. 今後の投資戦略
✅ ポートフォリオの見直し
今後の投資戦略として、
- 米国株の比率を下げる
- 新興国株(インド・メキシコ・東南アジア)を増やす
- 金(ゴールド)をポートフォリオに組み入れる
これらが重要になってくるでしょう。
まとめ
2月の米国雇用統計は景気後退の兆しを示し、FRBの利下げが市場で意識され始めています。さらに、長期的なドル安トレンドが始まりつつあり、新興国株や金への投資が今後有望視されるでしょう。
今こそ、ポートフォリオを見直し、次の10年を見据えた投資戦略 を考えるべきタイミングです!
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