FOMC前後の米国株とゴールドはどう動く?12月相場と来年初の有望テーマをデータで読み解く

本記事は、YouTube動画『【このタイミングで投資してください】米国株・ゴールドの現在の市場動向と今後見通しについてFOMCでの見通しを含めてデータ解説【FOMC 何もないまま終わらない】』の内容を基に構成しています。

目次

導入:12月相場は「何もないまま」終わらない

12月の米国株市場は、一見すると穏やかに見えることが多い時期です。クリスマス休暇が近づけば、市場参加者も減り、売買も落ち着く──そんなイメージを持つ投資家も多いと思います。

しかし、今回の動画で強調されていたのは「12月は何もないまま終わらない」という点でした。


理由は明確で、年末にかけてFOMC(米連邦公開市場委員会)が控えており、その結果やコメントが株式・債券・為替・ゴールドなど、あらゆる資産価格に影響を与える可能性があるからです。

動画では、以下のようなポイントがデータを交えながら解説されています。

  • 11月までの米国株・各セクター・コモディティの動き
  • 12月相場の「季節性」と、特にゴールドのパターン
  • FOMCと日銀の動きが為替と市場心理に与える影響
  • 世界経済見通しとインフレ・債券市場の構造的な変化
  • 来年以降に向けた米国株・新興国株・ゴールド・シルバーなどへの分散投資の考え方

ここからは、初心者の方にも分かりやすいように、背景から順を追って整理していきます。

背景:11月までの米国株と世界市場の動き

11月の米国株:テクノロジーが失速し、他がカバーした相場

動画では、まず11月の米国株の動きが振り返られています。印象的だったのは、次の点です。

  • ナスダック100はマイナス
  • S&P500のグロース指数もマイナス
  • 一方で、それ以外の指数はおおむねプラス圏

原因は非常に分かりやすく、テクノロジー関連の下げが強かったためです。

  • テクノロジーセクターは約マイナス4.8%
  • 半導体関連ETFもマイナス3%程度
  • AI関連も含め、大型テック株がまとめて売られた

その結果、テクノロジーの比率が高いナスダック100や、S&P500グロース指数がマイナスとなりました。逆に言えば、ここが戻ればナスダック100が再び大きく上昇する可能性もある、という見方もできます。

一方で、

  • バリュー株
  • S&P500の中型株・小型株

などは比較的堅調でした。
セクター別では、年後半に一時弱くなっていたヘルスケアが「白馬の騎士」のように復活し、特定銘柄の問題で落ち込んでいた分を取り戻す形で、大きく上昇しています。

コモディティ:シルバーとゴールドが「今年の主役級」

2024年(仮にそうした相場局面とします)を振り返る上で、コモディティ、とくに貴金属の存在は無視できません。

動画内で紹介されていたデータでは、

  • シルバー(銀)は年間上昇率約94%
  • ゴールド(金)は年間上昇率約60%

という非常に高いパフォーマンスになっていました。

ゴールドが60%上昇するというのは、長い歴史の中でもそう多くはなく、過去に同様の水準を記録したのは、

  • 第1次オイルショック(1973〜1974年)
  • 第2次オイルショック(1979年、上昇率約126%)

といった特殊なインフレ期でした。
現在は当時と同じ水準のインフレではないものの、動画の解説者は「今後インフレ率はさらに上がり、その過程でゴールドも上昇する」と見ており、長期的に強気のスタンスを示しています。

世界株と「オルカン一択」の問題点

米国株に投資している人にとって、今年は「悪くない年」に見えるかもしれません。S&P500は年初から15%前後の上昇というデータが紹介され、これ自体決して小さくありません。

しかし、国別の株価上昇率を並べてみると景色が変わります。

  • ブラジル、カナダ、中国:おおむね3割前後の上昇
  • イタリア、スペイン、メキシコ、南アフリカ:4〜6割台の上昇

といった具合で、「アメリカよりも上がっている国」が多数存在しているのです。

ここで話題に上がったのが、「オール・カントリー(オルカン)」だけに投資している人の問題です。

  • オルカンは約6割が米国株
  • 残り4割が米国以外の国々

という構成のため、「アメリカ以外の国が大きく上がる年」に、その恩恵を十分に受けにくい構造になっています。

動画では、真の分散投資という観点から、

  • 例えば、米国株・先進国株(除く米国)・新興国株を、
    • 1:1:1
    • もしくは 2:1:1

のように、比率をそれなりに分けて持つことも検討すべきだと指摘していました。
「この12年ほどで投資を始めた人」の多くは、米国一本やオルカン一本で来た方も多いだけに、今後は視野を広げる必要がある、というメッセージです。

動画内容の詳細解説:12月相場、VIX、為替、そしてゴールドのシーズナリティ

12月の株式市場:中小型株に優位性、ナスダックは必ずしも強くない

1990年以降のデータで12月のパフォーマンスを見ると、

  • 中小型株(スモールキャップ)が最も上がりやすい
  • S&P500も「そこそこ」上がりやすい
  • 一方で、ナスダック100は必ずしも強くない

という傾向が示されています。

そのため、「12月だから大型テックがまた爆上げするだろう」と決めつけてしまうと、期待外れになる可能性もあります。


むしろ、「上がらないかもしれない」くらいの頭で見ておいた方が、実際に上がらなくても落ち着いて判断しやすい、という冷静なスタンスが紹介されていました。

資金フローのデータを見ても、直近の週では

  • 世界株(グローバル株)
  • 大型株(ラージキャップ)
  • 小型株(スモールキャップ)
  • 債券(アグリゲートボンド)
  • 貴金属(プレシャスメタル)

と、幅広い資産クラスにお金が流入している状況が示されています。
全体として、「投資マインドがじわじわと前向きになってきている」局面といえます。

VIX(恐怖指数):12月はボラティリティ低下の傾向

VIX指数は、株価が下落局面になると急騰し、株価が落ち着けば低下する「恐怖指数」として知られています。
動画では、1990年以降のVIXの季節性データも紹介されました。

  • 11月〜12月にかけてVIXは低下しやすい
  • 12月は比較的ボラティリティが落ち着く傾向

という結果であり、12月相場が「比較的穏やか」であるというイメージとも合致します。

もちろん、FOMCなどイベントで一時的にVIXが跳ねることはありますが、「季節性」としては、年末にかけてボラティリティが落ちることが多い、という認識は持っておいてよいとされています。

為替:ドル円は「材料どおりに動かない」難しさ

為替、とくにドル円については「非常に難しい」とコメントされています。

  • 日銀・上田総裁は利上げに向けた準備が整いつつあることを示唆
  • 財務相も、事実上「円安容認」のようにも取れる発言をしている
  • 米国では、FOMCでの利下げ観測が強く、市場は12月の利下げ確率を9割近くと見ている

こうした材料だけを見れば、

  • ドルは売られやすい
  • 円は買われやすい

はずですが、現実には「思ったほど円高になっていない」という状況が続いています。
ドルインデックスで見るとややドル安傾向は出ている一方、ドル円は155円台付近で粘っているようなイメージです。

動画では、「多くの投資家がまだドル買い・円売りポジションを維持しているのではないか」としつつ、次の点を強調していました。

  • マーケットは、エコノミストの予想や“常識的な材料”どおりに動くとは限らない
  • FOMCの利下げが“当たり前”と思われている中で、もし利下げがなければ、それは「超ネガティブサプライズ」になる
  • イベントに対して「過度に思い込み」を持ちすぎるのは危険であり、身動きが取れなくなったり、逆張りで大きくやられる原因になる

材料に敏感であること自体は悪くないものの、それをすぐに売買判断に結びつけすぎるのは避けるべきだ、という冷静なアドバイスです。

ゴールドのシーズナリティ:12月中旬の押し目と、年明けから4月までの強い上昇

動画の中で最も印象的だったのは、ゴールドの「季節性」に関する分析です。

過去のデータを基にすると、

  • ゴールドは12月のちょうど真ん中あたりで一度下げる傾向がある
  • しかし、その後、年明けから4月にかけて「強烈に上がる」パターンが多い

という結果が示されています。

この12月中旬の下げは、ちょうどFOMCのタイミングと重なる可能性があります。

  • もしFOMCで「想定よりタカ派」と解釈されれば、一時的にドル高・ゴールド安が起きる
  • 株式市場も一時的に下げる可能性がある
  • しかし、その後、インフレ観測や利下げサイクル、地政学リスクなどを背景に、ゴールドは再び上昇トレンドに回帰しやすい

というイメージです。

動画では、このシーズナリティを踏まえて、

  • 「1月〜4月の上昇率を取りに行く」ためには、12月のうちからゴールドに目を向けておく価値があるかもしれない

という見方が提示されています。


もちろん、あくまで過去データに基づく傾向であり、「必ずそうなる」と保証されるものではありません。
その点についても、「シーズナリティはあくまで確率の話であり、そうならない年もある」という前提を忘れないように注意喚起が行われています。

追加解説:世界経済見通し、インフレ、債券、そして格差拡大

OECDの成長率予測:アメリカ減速、日本はやや上方修正、インドは高成長維持

動画では、OECD(経済協力開発機構)が公表している世界経済成長率の予測も取り上げられました。

  • 世界全体の成長率予測
    • 今年:3.2%
    • 来年:2.9%
    • 再来年:3.1%
      → 前回から大きな変更はなし
  • アメリカ
    • 今年:2.0%
    • 来年:1.7%(成長率はやや鈍化予想)
      → AI投資はプラス材料だが、関税の影響などからやや慎重な見方
  • 日本
    • 成長率見通しが0.2ポイント上方修正
    • 2027年の予測も0.4ポイント引き上げ
      → 岸田政権の財政出動が一定程度評価された形
  • 中国
    • 今年は何とか5%成長を維持できる見込みだが、来年以降は4%台へ徐々に減速すると予想
  • インド
    • 6%台の高い成長率を、来年も再来年も維持する見通し
      → 1つの国でこれだけ高成長を続けるのはインドしかなく、「インドに資金を振り向けるべき」という動画の従来の主張は変わらない

インフレ率については、OECDは「今年より来年、来年より再来年と、段階的に低下していく」と予測していますが、

動画の解説者はこれに対して懐疑的で、「2026年にはインフレがむしろ上がり、2027年にはさらに上がる」と見ており、やや対立する見解を示していました。

債券市場:歴史的に異例の長期・大幅な下落局面

債券については、非常に厳しい評価がなされています。

  • 2020年後半から「これからはインフレで金利が上がるので、債券投資は危険」と警鐘を鳴らしてきた
  • 2020年8月をピークに、債券価格は64ヶ月もの間下落が続いている
  • 高値からの下落率は約17%

過去の債券の「悪い期間」は、

  • 長くても16ヶ月前後
  • 下落率も10%超えはほとんどなかった

という歴史がある中で、今回の下落は「期間も下落幅も過去を大きく上回っている」という指摘でした。

そのため、

  • 単に「利下げが来るから債券が安全」という単純な発想は危険
  • これだけ長く・深く下落している背景には、構造的なインフレ・財政問題がある
  • 利下げになっても、おそらくそれが「打ち止め」に近く、過去のように大きく債券が報われる局面にはなりにくい

という見立てが示されています。
解説者自身は、「今後も自分は債券投資は基本的にやらない」と明言していました。

株式比率と格差拡大:ドットコムバブル超えの水準に

米国の家計の金融資産に占める株式比率も紹介されました。

  • 現在の株式比率:約31%
  • ドットコムバブル時のピーク:約25%

これを見ると、株式のウェイトはすでにドットコムバブル時を上回っていることになります。
株が上がっていることで、株式資産を持つ層は非常に「ハッピー」な状態ですが、その一方で、

  • 投資する余裕資金がない層
  • インフレにさらされ、クレジットカードローンに頼らざるを得ない層

との格差は、今後さらに拡大していくと懸念されています。

動画では、「クレジットカードはパンパンの状態」であり、今後もアメリカの格差は広がるだろう、という厳しい見方が示されていました。

まとめ:このタイミングで意識したい3つの投資ポイント

最後に、動画の内容を踏まえつつ、投資家がこのタイミングで意識しておきたいポイントを3つに整理します。

  • 米国株一辺倒から「本当の分散」へ
    アメリカ株は依然として重要ですが、今年のようにブラジル・カナダ・中国・南欧諸国・新興国など、他国株の方が大きく上がる局面もあります。
    オルカンだけでは米国比率が高すぎるため、米国・先進国(除く米国)・新興国などをある程度明確に分けて保有することも検討すべきです。
  • コモディティ、とくにゴールドとシルバーへの目配り
    シルバーが約94%、ゴールドが約60%上昇しているような年に、「まったく投資していませんでした」というのは非常にもったいない話です。
    シーズナリティ上、12月中旬に一度下げてから、1〜4月に強く上がるパターンが多いという点も踏まえつつ、長期のインフレヘッジ・分散先として、ゴールドやシルバーに一定の配分を検討する価値があります(ただし、過去の傾向が未来を保証するものではない点には注意が必要です)。
  • 債券とイベントに対する「思い込み」を捨てる
    債券は、歴史的にも異例な長期・大幅下落局面にあり、「利下げが来るから大丈夫」と安易に構えるのは危険です。
    また、FOMCや日銀会合などのイベントに対して、「こうなるはずだ」という思い込みを持ちすぎると、身動きが取れなくなったり、逆に大きな失敗を招く可能性があります。
    材料には敏感でありつつも、それをすぐ売買に直結させない冷静さが求められます。

動画全体を通じて伝えられていたメッセージは、「データと季節性を踏まえつつ、視野を広く持ち、本当の意味で分散されたポートフォリオを考えてほしい」というものでした。

12月相場は、FOMCという大きなイベントを挟みつつも、季節性としては落ち着きやすい時期です。その中で、

  • 米国株だけでなく世界株・新興国株
  • ゴールド・シルバーなどのコモディティ
  • 債券のリスクと構造変化

を冷静に見比べ、自分なりの投資戦略を再点検する良いタイミングと言えるでしょう。

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