2024年のゴールド市場の動向や、金価格に影響を与えている要因について詳しく解説した動画をご紹介します。
特に、イスラエルとイラン、ウクライナとロシアの戦争といった地政学的リスクや、アメリカの金利動向が金価格にどのような影響を及ぼしているかが議論されました。
ゴールド市場の動向
今年に入ってからゴールドは何度も市場最高値を更新しています。
足元ではドル建ての金価格はやや下落していますが、円建てでは上昇を続けています。この背景には、アメリカの金利上昇やドル高が影響しているとのことです。
小菅さんは、特に9月のアメリカの雇用統計が発表されてから、「アメリカは急速に利下げする必要はない」との議論が強まり、金利上昇が続いたことがゴールドの調整局面を引き起こしていると説明しています。
とはいえ、金価格は依然として高水準で推移しており、「もっと下がると思っている人もいるが、なかなか下がらない」という状況が続いているようです。
地政学リスクと金価格の関係
小菅さんは、地政学的リスクが金市場に大きな影響を与えていると指摘しています。
2022年以降、世界的な地政学リスクは1.6倍に上昇しており、これが金の需要を押し上げている一因です。
例えば、2022年のロシアのウクライナ侵攻時、金価格は大幅に上昇しました。また、現在のイスラエルとイランの緊張も金市場に影響を与える要因となっており、今後さらにリスクが高まれば、金価格が上昇する可能性があると述べています。
実際に、バンク・オブ・アメリカの調査では、ファンドマネージャーたちが最も警戒しているリスクの一つに「地政学的緊張」があり、19%のマネージャーがこれを重要視しています。
さらに、金の購入理由としても、中央銀行は「長期的な価値保存」や「危機時のポートフォリオ分散」を挙げており、約60%の中央銀行が地政学リスクを金購入の要因としています。
金の価格パフォーマンス
地政学的リスクが高まると金のパフォーマンスも上昇する傾向があります。
2022年、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、金の価格は前年に比べて40%以上上昇しました。
地政学的リスクの指標が150以上の時、金のパフォーマンスは9.34%のプラス成長を示しており、リスクが高まるほど金への需要が強まることがデータからも確認されています。
金融要因も影響
地政学的リスクだけでなく、金融政策も金価格に影響を与えています。
特に、アメリカをはじめとする主要国が利下げに転じており、世界的に緩和的な金融政策が進んでいることが金価格を支える要因となっています。
ニュージーランドなどでも利下げが行われており、この流れは世界的な傾向です。金のETF市場もこれに反応しており、7月から9月にかけて3ヶ月連続で金ETFの購入が増加しています。
総括
現在の金価格は、地政学リスクと金融政策の両方によって支えられており、この強い上昇トレンドはしばらく続くと見られています。特に、中央銀行が引き続き金を買い増していることや、地政学リスクが高止まりしていることから、金は今後も注目される資産であり続けるでしょう。
この動画では、初心者でも理解しやすい形で、金市場の現状とその背景を詳しく説明しており、特に地政学リスクや金融政策がどのように金価格に影響を与えているかがポイントとなっています。
知っておきたい専門用語集
- 地政学リスク:国際的な政治や軍事の緊張、紛争が経済や市場に与える影響のこと。戦争やテロなどが該当する。
- 金利:お金を借りたり預けたりする際の利子の割合。アメリカの金利上昇はドル高や金価格に影響を与える。
- ETF(Exchange Traded Fund):証券取引所に上場している投資信託の一種。ゴールドETFは現物の金価格と連動して動く。
- 雇用統計:アメリカで毎月発表される雇用状況の統計データ。経済の指標として重要視され、金利や市場に大きな影響を与える。
- ポートフォリオ分散:リスクを軽減するために、複数の資産に投資する手法。金はリスク分散のための代表的な資産とされている。
- リセッション:景気後退。経済成長が停滞または後退している状態を指し、企業利益の減少や失業率の上昇を伴うことが多い。
- インフレ:物価が継続的に上昇する現象。インフレが進むと貨幣の価値が下がり、資産の保全手段として金が注目される。
- 逆相関:一方が上昇するともう一方が下落する関係を指す。金とドル、金と金利の間に逆相関の関係が見られる。
- 中央銀行:各国の金融政策を担う機関。金の保有は中央銀行が安全資産として選ぶ理由の一つ。
- 金融緩和:経済刺激のために中央銀行が金利を引き下げたり、通貨供給量を増やす政策。これにより資産価格が上昇することがある。
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