日本の株式市場に興味を持っている方々にとって、「JPXプライム150」は新しい指標として注目されています。
この指標は、2023年7月に東京証券取引所が発表したもので、日本を代表する企業を集め、価値創造が推定される企業で構成されています。このJPXプライム150は、しばしば「日本版S&P500」と呼ばれ、アメリカの有名なS&P500と比較されることが多いです。
JPXプライム150とは?
JPXプライム150は、時価総額過重型で構成される指数であり、収益性や将来性に注目した企業が選ばれています。この指標は、単に大きな会社だけでなく、成長性や発展性を持つ企業を重視しています。具体的には、PBR(株価純資産倍率)という指標が重要な役割を果たしています。
PBRとは?
PBRとは、「株価が割高か割安か」を示す指標で、純資産を基準に株価を評価します。PBR(株価純資産倍率)の計算式は以下の通りです。
PBR = 株価 ÷ 1株あたりの純資産
たとえば、PBRが高ければ株価が割高であり、低ければ割安ということがわかります。
アメリカの企業のPBRは4.4倍にも達している一方、日本企業のPBRは1.4倍しかなく、日本の上場企業の約60%が1倍以下です。
これは、日本企業が収益性が高いにもかかわらず、投資家から正当に評価されていないことを示唆しています。
JPXプライム150と他の指標との違い
日本には、日経平均やTOPIX(東証株価指数)という他の代表的な指数がありますが、JPXプライム150はこれらとは一線を画しています。
日経平均やTOPIXは、基本的に大企業であれば含まれるというルールがあり、成長性や将来性が重視されない傾向があります。これに対して、JPXプライム150は、成長性や収益性を基準に企業が選ばれます。
たとえば、JPXプライム150には、トヨタや三菱商事といった大企業が含まれていませんでした。
しかし、2023年8月にはトヨタ自動車や三菱商事が新たにJPXプライム150に加わりました。このように、JPXプライム150は規模や知名度に関係なく、収益性や成長性に基づいて企業を選別しています。
JPXプライム150の選定基準
JPXプライム150に含まれる企業には、2つの重要な基準があります。
- PBRが1倍以上であること:PBRが低すぎる企業は除外されます。企業が投資家に対して適切な情報提供を行い、将来性や収益性をアピールすることでPBRが上昇します。
- equityスプレッドが高い企業:期待値を上回る利益を上げる企業が選ばれます。たとえば、AI関連企業は利益が出ていなくても期待だけで株価が上がることがありますが、JPXプライム150では期待値以上の利益を上げている企業が評価されます。
トピックスとJPXプライム150の違い
JPXプライム150とトピックスを比較すると、構成されている企業やその割合にも違いがあります。
たとえば、トピックスは約2,200社で構成されており、トヨタやソニー、三菱UFJ銀行など大手企業が含まれています。
一方で、JPXプライム150は150社しか含まれておらず、ソニーや東京エレクトロン、NTTなどの企業が上位にランクインしています。このため、1社あたりの影響力がJPXプライム150の方が大きくなります。
JPXプライム150のリターン
気になるリターンの面では、過去のデータを見ると、JPXプライム150はTOPIXと比較して大きな違いが見られません。
しかし、JPXプライム150が導入されたのは比較的最近のことであり、今後のパフォーマンスに期待が寄せられています。
ダイワアセットマネージメントのデータによれば、2013年から2023年までの間、JPXプライム150とTOPIXのリターンはほぼ同じ傾向を示していますが、2017年から2020年にかけてはJPXプライム150の方が大きく伸びていることがわかります。
特に、5年間のリターンではJPXプライム150がやや優勢であると言えます。
結論
現時点では、JPXプライム150がTOPIXや日経平均と比べて大きなリターンを示しているわけではありませんが、将来性が評価されています。
特に、日本の企業がPBRを改善し、投資家との対話を進めることで、今後の株価上昇が期待されています。
今後5年、10年後には、JPXプライム150が日本株市場を牽引する存在になる可能性もあります。
日本株に興味を持つ投資家にとって、成長性や収益性を重視したこの新しい指標は注目に値します。JPXプライム150は、従来の指標とは異なる視点で企業を選別しているため、今後の動向を注意深く見守る価値があるでしょう。
知っておきたい専門用語集
- JPXプライム150:2023年に東京証券取引所が新たに算出した日本企業の価値創造を推定する指数。成長性や収益性が重視され、150社で構成される。
- S&P500:アメリカの代表的な株価指数で、収益性や成長性に基づいて選定された500社で構成される。JPXプライム150はこれをモデルにしたとされる。
- PBR(株価純資産倍率):株価が割安か割高かを示す指標。計算式は株価÷1株あたり純資産。PBRが高ければ割高、低ければ割安と判断される。
- TOPIX(東証株価指数):東京証券取引所に上場している全銘柄を対象とした株価指数。時価総額過重型で構成されている。
- 日経225:日本経済新聞社が選定した225社で構成される株価指数。規模が大きい企業が中心で、成長性や収益性は重視されていない。
- 時価総額過重型:企業の時価総額の大きさに応じて指数への影響が大きくなる構成方法。大企業が指数に与える影響が大きくなる。
- equityスプレッド:企業の期待値に対して、実際の利益がどれほど高いかを示す指標。期待以上の利益を上げた企業が評価される。
- 流動性:株式の売買がどれだけ容易にできるかを示す指標。流動性が高いと取引がしやすい。
- 成長性:企業が将来的にどれだけ発展する可能性があるかを示す指標。
- 収益性:企業が利益を生み出す力を示す指標。収益性が高い企業は、安定して利益を上げられる。
- 忖度:本来のルールや基準を曲げて、特定の人物や企業に有利な判断をすること。
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