今回ご紹介する動画では、国民健康保険料の仕組みや、保険料上限の引き上げに隠された政府の策略について解説されています。
1. 国民健康保険料の仕組みと上限引き上げ
保険料の基本構造
国民健康保険料は以下の3つの要素で構成されています:
- 均等割…家族の人数に応じて課される定額部分。
- 世帯割…世帯ごとに課される部分。
- 所得割…所得に応じて増減する部分。
これらの合計が国民健康保険料として徴収されます。
保険料の上限額が年々増加
2024年(令和6年)の国民健康保険料の上限は106万円でしたが、2025年(令和7年)には109万円に引き上げられます。この上限額は過去4年間で毎年上昇しており、以前は60万円程度だったものが急激に増加していることが分かります。
例として、年収940万円の人が2024年に106万円を支払っていた場合、2025年にはさらに高所得者が対象となるよう調整され、最大109万円の負担となります。
2. 上限引き上げによる影響:中間所得層の負担軽減?
政府は「上限を引き上げることで、中間所得層の負担が軽減される」と説明しています。この仕組みを具体的に見てみましょう。
中間所得層への影響
- 上限が引き上げられることで、低所得者や中間所得層の保険料率が引き下げられる可能性があります。
- 例えば、現在の保険料率が10%だとすると、上限引き上げにより9%に減少することで、中間層の負担が軽減される仕組みです。
しかし、動画ではこの説明に疑問が投げかけられています。
実際の保険料率の推移
東京都港区の例を見ると、保険料率は次のように推移しています:
- 令和2年:7.14%
- 令和3年:7.13%
- 令和4年:7.17%
- 令和5年:7.17%
- 令和6年:8.60%
このデータから分かるように、保険料率は下がるどころか、全体的に上昇しています。そのため、「中間所得層の負担軽減」という政府の説明には信ぴょう性がないと指摘されています。
3. 高所得者層への負担増加とその理由
高所得者層への影響
高所得者層では、所得が増えるほど保険料の負担が増加します。
例えば、年収970万円の人は2024年の上限106万円から、2025年には109万円の負担となります。これにより、政府は保険料収入を増やそうとしています。
政府の思惑
少子高齢化により、保険料収入が減少しているため、高所得者からの徴収を増やすことで全体の収入を確保しようというのが政府の狙いです。
しかし、動画では「高所得者層の負担増加だけでは、中間層の負担軽減は実現しない」と指摘されています。
4. 年収の壁問題と社会保険の現実
年収の壁とは
パート労働者などが「年収103万円」「年収130万円」などのラインを超えると、社会保険料が発生し、手取りが減少する現象を指します。
年収の壁問題の真実
動画では、政府が「年収の壁を引き上げることで手取りが増える」と主張している点についても疑問を投げかけています。
例えば、年収103万円の壁を130万円に引き上げたとしても、社会保険料が増加するため、結果的に手取りはほとんど増えません。
具体例:パート労働者の負担増加
来年から、週20時間以上働くパート労働者も社会保険加入が義務化される予定です。これにより、保険料負担が増え、手取りが減少するケースが多くなると予想されます。
5. 政府の説明と現実の乖離
政府の説明では、「中間層の負担が軽減される」とされていますが、実際には次のような問題があります:
- 保険料率が実際には上昇しているため、負担軽減が実現していない。
- 上限額引き上げの恩恵を受けるのは一部の高所得者層のみ。
- 年収の壁引き上げによる手取り増加が社会保険料の増加で相殺される。
このように、政府の資料や説明と現実との間には大きな乖離があることが指摘されています。
6. 結論:私たちが知るべきこと
今回の動画では、政府が「負担軽減」を強調する一方で、実際には多くの国民にとって負担が増加している現実が暴露されました。私たちが知るべきポイントは以下の通りです:
- 国民健康保険料の上限引き上げは高所得者への負担増加を意味するが、中間層への恩恵は限定的。
- 保険料率は実際には下がっておらず、むしろ上昇している。
- 年収の壁問題は、社会保険料の負担増加を考慮しないと解決にならない。
政府の発表を鵜呑みにせず、データや実例をもとに冷静に判断することが重要です。また、社会保険と税金を一体で考える視点を持つことが求められます。
ぜひ今回の記事を参考に、今後の国民健康保険料や年収の壁問題について考えるきっかけにしていただければ幸いです。
コメント