確定申告して還付金ゲット!・・が、国保爆上がり!トータルで大損する3パターン。

こんにちは、ガーコさんの最新動画では、確定申告で所得税の還付金や控除を狙った結果、逆に国民健康保険(以下「国保」)の保険料が大幅に上がってしまい、トータルで大きな損失を被る可能性について解説されています。

ここでは、動画の内容を詳しく、具体例や数字を交えてわかりやすくご紹介します。


目次

1. 確定申告の魅力とその落とし穴

確定申告で得られるメリット

確定申告は、払いすぎた税金を還付してもらったり、各種控除(医療費控除、損益通算、配当控除など)を活用して所得税を減らすことができる、いわば「お得な税金のテクニック」です。たとえば、還付金として6万円をゲットできるケースもあります。

しかし…

一方で、確定申告によって所得税が軽減されると、その結果「総所得金額」が再計算され、翌年4月に決定される国保の保険料が大幅に上がるという落とし穴があります。

動画内では、6万円の還付金を受けたはずが、国保が36万円上がってしまい、結果として30万円以上の損失が出る事例が紹介されています。


2. 国民健康保険(国保)の基本と計算の仕組み

国保とは?

国保は、個人事業主、フリーランス、無職の方などが加入する公的医療保険制度です。

会社員の場合は会社の健康保険に加入していますが、国保は自分や家族全員の保険料負担が必要で、計算方法や保険料率は自治体ごとに異なります。

国保保険料の計算ポイント

  • 毎年4月に決定: 前年の所得に応じて保険料が算出されます。
  • 総所得金額が基準: 年収そのものではなく、各種控除を差し引いた「総所得金額」が保険料計算の元となります。
  • 自治体ごとの差: たとえば、東京や渋谷区では、所得割算定額に対する保険料率が最大13.8%と設定されており、数字が大きいほど保険料も高くなります。

この仕組みのため、確定申告で各種控除を利用して所得税を下げると、隠れていた「総所得金額」が実は目に見える形で加算され、国保の算定基礎が上がってしまうのです。


3. 確定申告による国保増加の具体例と注意すべき3パターン

動画では、確定申告を行った結果、国保が上がってしまうケースを以下の3パターンとして詳しく解説しています。

【パターン1】株の売却益と売却損の「損益通算」を行った場合

  • ケースの例:
    • A証券会社で300万円の売却益
    • B証券会社で30万円の売却損
  • 損益通算後の利益: 300万円 − 30万円 = 270万円
  • 税金の還付: 損益通算により、すでに厳選徴収された税金(約20.315%で60万円)が調整され、約6万円の還付がある場合も
  • しかし…
    この270万円が「総所得金額」に加算されます。
    例えば、渋谷区の場合、国保の保険料率が最大13.8%とすると、
    270万円 × 約1.85%(※実際の計算例ではこの数値が使われています)= 約37万3950円の増加が見込まれ、還付された6万円では相殺しきれず、結果として約30万円以上の国保上昇となるリスクがあるのです。

【パターン2】株の売却損を「繰越控除」した場合

  • ケースの例:
    • 2024年に50万円の譲渡損失を繰越控除
    • 2025年に300万円の売却益が発生
  • 控除後の利益: 300万円 − 50万円 = 250万円
  • 税金の還付: 繰越控除により、約10万円の還付が受けられる場合
  • しかし…
    この250万円が総所得金額に加算され、国保の計算上、例えば渋谷区での保険料率(最大13.8%)が適用されると、
    250万円 × 13.8% = 約34万円の増加が発生。
    還付の10万円では差額が約24万円となり、こちらも大きな負担となる可能性があります。

【パターン3】配当金の確定申告をして「配当控除」を使う場合

  • 背景:
    配当金に対しては、二重課税を回避するための「配当控除」が存在します。
  • 問題点:
    確定申告を行って配当控除を選択すると、配当金の金額が総所得金額に反映され、国保の算定基礎が上がってしまいます。
    その結果、配当控除による税金の還付があっても、国保が大幅に増えてしまい、結果として全体では損をしてしまう可能性があるのです。
  • 注意点:
    昨今、ルールの変更もあり、配当控除のメリットが従来と比べて薄れるケースもあるため、配当金の取り扱いは特に慎重に検討する必要があります。

4. どのような人が特に注意すべきか?

動画では、確定申告を行う際に注意が必要な対象者として、以下の3グループを挙げています。

  1. 株式の売却益・損失で損益通算や繰越控除を活用する人
    ― 複数の証券会社で取引を行っている場合、損益通算を行うために確定申告が必須になるが、その結果、総所得金額が上がり国保が増加するリスクがある。
  2. 配当金を受け取っている人
    ― 配当控除を利用するために確定申告を行うと、配当金が総所得金額に加算され、国保保険料が上がる可能性がある。
  3. 個人事業主やフリーランス、その他国保に加入している人
    ― 所得税の還付を狙って確定申告をすると、結果的に国保の計算基礎となる総所得金額が増えてしまい、保険料が大幅に上昇するケースが多く報告されています。

特に、2024年は株式相場が絶好調だったため、多くの投資家が譲渡所得を得ている状況で、上記のリスクが一層高まるとされています。


5. 国保増加を回避するための対策と注意点

① 証券会社の口座をまとめる

複数の証券会社を利用している場合、各社での取引によって損益通算がうまく機能せず、総所得金額が余分に加算されるリスクがあります。可能であれば、取引口座を1社にまとめるなど、管理の一元化を検討しましょう。

② 確定申告の内容を慎重に検討する

還付金を得るためだけに確定申告を行うと、かえって国保の負担が大きくなる場合があります。申告前に、どの控除を利用するか、そしてその結果総所得金額がどの程度変動するかをシミュレーションし、トータルで損得がどうなるのかを十分に検討することが重要です。

③ 自治体のルールや保険料率をチェックする

国保の計算方法は自治体ごとに異なります。動画内では、東京や渋谷区の例が紹介されていますが、自分が加入している自治体の保険料率や計算方法を把握し、確定申告の影響を事前に確認することが必要です。


6. 歴史的背景と制度の変遷

国保制度の成り立ち

戦後、日本では地方自治体が自立した運営を行うため、住民が負担する形で国民健康保険制度が整備されました。長年にわたり、各自治体ごとに算定方法や保険料率が見直されてきましたが、近年は少子高齢化や医療費の高騰の影響もあり、各自治体で国保の負担が大きくなる傾向にあります。

確定申告と国保の関係性

確定申告は、もともと税金の過払いを取り戻すためや、控除を適用して所得税を軽減する手続きとして確立されました。しかし、国保は「総所得金額」をもとに保険料を算出するため、確定申告による各種控除が結果的に国保の負担計算に影響を及ぼす仕組みになっています。こうした背景から、税制と社会保障制度が連動しており、一方のメリットがもう一方の負担増につながるという、意外な落とし穴が存在するのです。


7. まとめ

確定申告で所得税の還付や控除を狙うと、一見お得に思えるものの、国保の保険料が大幅に上がってしまうというリスクが存在します。
具体例としては、

  • 損益通算:300万円の利益と30万円の損失で損益通算した結果、270万円が総所得金額に加算され、国保が約30万円以上増加する可能性。
  • 繰越控除:50万円の損失を繰り越し、300万円の利益から50万円を控除した場合でも、総所得金額が250万円分増え、国保が大幅に上がる。
  • 配当控除:配当金を確定申告で控除対象にすると、配当金が総所得に加算され、国保負担が増す。

また、個人事業主やフリーランス、投資家など、国保に加入している人は特に注意が必要です。さらに、自治体ごとに計算方法や保険料率が異なるため、自分の加入している地域のルールをしっかり確認し、確定申告を行う際には「還付金だけでなく、トータルの負担増も考慮する」視点が求められます。

投資や節税に関する知識は確かに魅力的ですが、税制と社会保障制度がどのように連動しているかを理解し、手間暇かけた申告が本当に自分にとってプラスになるのかどうか、慎重にシミュレーションすることが大切です。


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