日本の国民年金に関する誤解を解きながら、今後の年金改革についても解説した動画をご紹介します。
特に、自営業者だけが国民年金の対象であるという誤ったイメージを正し、具体的なデータとともに現状を説明します。この内容を初心者でも分かりやすく伝え、ニュースに煽られないための正しい知識を提供します。
国民年金の加入者は自営業者だけではない
まず、よく誤解されている点として、国民年金は自営業者が対象だと思われがちですが、実際には違います。
自営業者の割合は、国民年金の加入者全体のわずか約19.4%しかいません。これに加えて、家族従業者(自営業者を支援する家族)の割合が7.5%となり、合わせても全体の約27%に過ぎません。
このデータは、令和2年度の国民年金被保険者実態調査に基づいており、現代の国民年金制度が以前と大きく変わっていることを示しています。
例えば、パートやアルバイトで働いている人々も、厚生年金が適用されない場合は国民年金に加入します。このグループは全体の32.6%を占め、最も多い層です。
国民年金1号被保険者の流動性
さらに、自営業者や家族従業者だけでなく、常用雇用者(正社員)であっても、厚生年金が適用されない職場で働いている場合は国民年金に加入します。
これが全体の6.3%に該当します。つまり、国民年金=自営業者というイメージは完全に古い情報であり、今や多くの異なる職業の人が国民年金に加入しているのです。
そして、1号被保険者として一生を過ごす人は全体のわずか5%程度に過ぎません。
多くの人が、職業の変化や生活の状況に応じて、1号、2号、3号の間を行き来しています。特に現代では、フリーランスから会社員になる、またはその逆も珍しくなく、年金の加入状況も固定的ではなくなっています。
3. 今後の年金改革とその影響
今後の年金改革に関して、ニュースや報道が炎上する可能性が高いトピックがいくつかあります。
例えば、基礎年金と厚生年金の減額調整が議論されており、特に基礎年金部分が大幅に減少するという報道があります。
【基礎年金と厚生年金の減額調整】
現在、基礎年金の部分は36.2%から25.5%まで減少すると予測されている一方、厚生年金部分は25%から21.4%までしか減少しないとされています。
この差を埋めるために、基礎年金の減額を抑えて厚生年金の減額を増やす方向で調整が行われる可能性があります。
これに対して、「サラリーマンの年金が自営業者に奪われる」といったニュースが出る可能性が高く、これが大きな反響を呼ぶでしょう。しかし、正しく理解しないと、ニュースに煽られて誤った印象を持ってしまうことになります。
サラリーマンも知っておくべき基礎年金の仕組み
サラリーマンの年金は、基礎年金と報酬比例部分の2つから成り立っています。そして、基礎年金の半分は国庫負担(税金)で賄われているため、基礎年金が減額されると、その分国庫負担も減少します。
【消費税増税と国庫負担】
消費税が13%から2%に引き上げられた際、国庫負担を増やす目的で行われたのにもかかわらず、デフレなどの経済状況により、基礎年金部分が減少し、国からの税負担が少なくなっています。
つまり、サラリーマンにとっても、基礎年金の減額を抑え、国庫負担を元通りにするべきだという議論が重要なのです。
5結論
この動画では、国民年金に関する誤解を正し、今後の年金改革について正しい知識を持つ重要性が強調されています。ニュースに煽られず、データに基づいた理解をすることが大切です。特に、自営業者だけが国民年金の対象ではなく、さまざまな職業の人が加入している現状を把握することが重要です。
最終的に、ニュースや報道に左右されず、自分自身で正しい情報を持っておくことで、将来の年金制度の変更に備えることができます。
知っておきたい専門用語集
- 国庫負担:基礎年金の財源の一部を税金で補う仕組み。
- 1号被保険者:自営業者や農業従事者、フリーランス、厚生年金が適用されない人が対象。主に国民年金に加入する個人。
- 2号被保険者:会社員や公務員など、厚生年金に加入している人が対象。基礎年金と厚生年金の両方を受ける。
- 3号被保険者:2号被保険者の扶養に入っている配偶者が対象。年金の保険料は配偶者の厚生年金保険料に含まれるため、自ら支払う必要はない。
- マクロ経済スライド:年金の支給額を経済状況に応じて調整する仕組み。物価や賃金が上がりにくい場合、年金も抑制される。
- 厚生年金:会社員や公務員が加入する公的年金制度。基礎年金に加えて報酬比例部分が支給される。
- 基礎年金:全ての国民が受け取ることができる最低限の年金。国民年金の一部。
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