「米国株一本投資ではなく全世界株への投資も必要なのか?」というテーマについて解説した動画です。
既に米国株に投資をしている方の中でも、分散投資の必要性を感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで米国株と全世界株に投資するならどのような割合で投資すべきか、理想的な投資比率を現代ポートフォリオ理論を用いてご紹介します。
米国株と全世界株の理想的な投資比率
まず、米国株と全世界株の理想的な投資比率についてです。
結論から言うと、米国株に80%、全世界株に20%の割合で投資するのが理想的だと考えています。
過去の値動きからも、両方に投資しても分散投資効果は薄いという意見がありますが、新興国株は割安感が高く、将来を見据えた投資としては一興です。
現代ポートフォリオ理論の概要
現代ポートフォリオ理論とは、異なる資産の投資配分を決めるための理論で、リスクとリターンを考慮しながら理想的な資産配分を導き出します。
この理論に基づいて、米国株と全世界株のリターンとリスクを比較し、最小分散ポートフォリオを求めました。
以下が最小分散ポートフォリオです。
直近10年間の米国株と全世界株のデータを使った結果、米国株84%、全世界株16%の配分が最もリスクが低くリターンが高いことが分かりました。
これを毎月の積立額に反映させると、米国株に8000円、全世界株に2000円投資することで、最小のリスクで最大のリターンを得ることが可能になります。
米国株と全世界株の値動きの比較
次に、1995年から2022年5月までの米国株と全世界株のリターンを比較してみましょう。
基本的には米国株が上がれば全世界株も上がり、米国株が下がれば全世界株も下がるという同じ値動きをしています。このため、米国株と全世界株の増減タイミングはほぼ同じです。
28年間のデータでは、米国株が全世界株よりも高いリターンを得た年は17年、全世界株が優れたリターンを得た年は11年となっており、全体的に見ると米国株の方が優れたリターンを出していますが、全世界株が勝った時期もあるため、一概には言えません。
そのため、米国株に全世界株を少し組み合わせるのが理想です。
とは言っても、全世界株の中の6割がアメリカ株なため、米国株と全世界株を組み合わせても、米国株の保有比率が少し下がるだけになります。
そのため、分散効果は期待できません
実際に米国株と全世界株のリターンの相関係数を求めると0.97という非常に高い数値になっています。
新興国株の割安感
現在、新興国株はかなり割安のバーゲンセール状態と考えられています。
2022年5月時点でのCAPEレシオ(株価収益率)を見てみると、アメリカは32倍、先進国は27倍と割高ですが、新興国は15倍と非常に割安です。
全世界株を構成する国の6割は米国株であり、米国株に全世界株を加えると米国株の濃度が少し薄まるだけで分散効果はあまり期待できません。
しかし、新興国株の割安感を考慮すると、全世界株に投資することで新興国株への投資も含まれるため、将来的な成長を見込んで投資する価値があるかもしれません。
投資のまとめ
以上をまとめると、米国株と全世界株の理想的な投資比率は8対2ですが、両方に投資しても分散投資効果は薄いです。
それでも、新興国株は割安であり、将来の成長を見据えた投資としては面白みがあります。投資を続けることが重要ですので、これからもバイアンドホールドを続けましょう。
知っておきたい専門用語集
1. 分散投資(Diversification)
分散投資とは、投資リスクを減らすために、異なる種類の資産や投資対象に投資することを指します。
例えば、株式、債券、不動産、コモディティなど、異なる市場やセクターに投資することで、一つの投資対象のパフォーマンスが悪化しても他の投資対象がその損失を補う可能性があります。
2. 現代ポートフォリオ理論(Modern Portfolio Theory)
現代ポートフォリオ理論は、経済学者ハリー・マークウィッツによって提唱された理論で、異なる資産の組み合わせによってリスクとリターンを最適化する方法を示します。
この理論では、資産のリスク(標準偏差)とリターンを考慮し、最も効率的なポートフォリオを構築することが目指されます。この理論に基づく最適な資産配分は、リスクを最小限に抑えながらリターンを最大化するものとされます。
3. 最小分散ポートフォリオ(Minimum Variance Portfolio)
最小分散ポートフォリオは、異なる資産の組み合わせにおいて、リスク(標準偏差)が最も低くなるように構築されたポートフォリオです。このポートフォリオは、リスクを最小化することで、安定したリターンを狙います。
4. ケープレシオ(CAPE Ratio)
ケープレシオ(Cyclically Adjusted Price-to-Earnings Ratio)は、株価をインフレ調整後の過去10年間の平均利益で割ったものです。
ロバート・シラー教授によって普及した指標で、通常のPER(株価収益率)よりも長期的な視点で株価の割高・割安を評価するのに使われます。一般的に、25倍を超えると株価が割高とされます。
5. 相関関係(Correlation)
相関関係は、二つの変数の間の関係性を示す統計的な指標です。投資の文脈では、異なる資産の価格変動がどの程度同じ方向に動くかを示します。
相関関係が1に近いほど、二つの資産は同じように動きます。0.97という相関係数は、ほぼ同じ値動きをすることを意味します。
6. バーゲンセール(Bargain Sale)
バーゲンセールとは、市場価格が大幅に割安な状態を指します。
投資においては、資産価格が本来の価値よりも低く評価されていると見なされる場合に、割安な投資機会とされます。新興国株が現在バーゲンセール状態というのは、これらの株が将来の成長可能性を考慮すると非常に低価格であるという意味です。
7. リターン(Return)
リターンは、投資から得られる利益のことです。これには、キャピタルゲイン(資産価格の上昇による利益)や、配当、利子収入などが含まれます。リターンは、投資のパフォーマンスを評価するための基本的な指標です。
8. リスク(Risk)
リスクは、投資の不確実性や予期しない損失の可能性を指します。投資におけるリスクは、多くの場合、標準偏差やボラティリティで測定されます。高いリターンを得るためには、通常、高いリスクを取る必要があります。
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