両学長がご紹介された2024年9月のお金に関するニュースを、初心者にもわかりやすくまとめていきます。
この情報は、年収アップ、貯蓄、投資、資産防衛など、資産形成に役立つニュースを厳選して提供しているので、読者にも役立つ情報がたくさん詰まっています。具体的な例や数字を交えて、初心者でも理解しやすい内容にしていきましょう。
1. 金融所得課税が争点に:増税派 vs. 増税反対派
9月3日のお金のニュースでは、自民党総裁選の争点の一つとして金融所得課税の強化が取り上げられました。
これは、株式の売却益や配当金にかける税金を増やすという話です。
例えば、株を売って100万円の利益が出た場合、現在では約20%の税金がかかりますが、それが30%に引き上げられる可能性がある、ということです。
石破茂氏はこの増税に賛成しており、「課税を強化すべき」という立場です。
一方で、小泉進次郎氏や河野太郎氏は増税には反対しています。小泉氏は「貯蓄から投資への流れを止めてはいけない」とし、河野氏も「今は再分配を強化する時期ではない」と述べています。投資を促進するために、税金の負担を増やすのは時期尚早だという意見です。
投資家の心構え:株価の動きにどう向き合うか
9月4日には、米国株式市場に関するニュースが取り上げられました。
現在、アメリカの家計資産に占める株式の比率は過去最高の約42%に達しているとのことです。これは、例えばアメリカ人が1000万円の金融資産を持っている場合、そのうちの約420万円が株式に投資されているということを意味します。
株式投資は長期的には利益を生む可能性が高いですが、ウォーレン・バフェットの格言にもあるように、「他人が貪欲になっている時には慎重に、他人が恐れている時には大胆に」という姿勢が重要です。
現在、株式市場は活況ですが、いつ暴落が起きてもおかしくない状況です。特に、今後2~3年の間に株価が低迷する可能性があるため、冷静に投資を続けることが求められます。
年末調整の廃止案:国民全員が確定申告?
9月5日には、自民党の河野太郎氏が「年末調整の廃止」を提案しました。これにより、会社員も個人事業主と同じように、年に1回、自力で所得税の計算をして確定申告をする必要が出てくる可能性があります。
年末調整とは、会社が社員の代わりに所得税を前払いし、年末に正確な税額を調整する仕組みですが、河野氏はこの手続きを廃止し、全員が確定申告を行うべきだと提案しています。
これには賛否が分かれますが、彼の意図は「税金に対する意識を高め、社会保険料の負担を国民全員が認識すること」です。
オールカントリー(オルカン)の投資リスク
オールカントリー、略して「オルカン」は、全世界の株式に投資する人気のインデックスファンドですが、9月4日のお金のニュースでは、そのリスクについても触れられました。
オルカンは長期的には利益を生む可能性が高い一方で、ITバブルやリーマンショックのような市場の大暴落時には、7年以上も含み損を抱えることがあるのです。
例えば、1998年から2005年にかけて、オルカンは7年2ヶ月もの間含み損の状態が続きました。
こうした期間に耐えるためには、コツコツと積み立てを続ける精神力が必要です。地道に積み立て投資を行うことで、暴落後の回復を早めることができます。
景気後退と株価の関係
また、9月5日には「アメリカ経済の景気後退」についてもニュースがありました。
失業者1人あたりの求人が減少していることや、製造業が縮小していることなどのデータが発表されており、景気が弱まっている兆候が見られます。歴史的に見て、景気後退が始まると、株価は平均して2ヶ月から19ヶ月の間に大きく下落することがわかっています。
そのため、今後の投資戦略としては、積み立て投資を続け、暴落時にも慌てずに冷静に対処することが重要です。特に、次の暴落に備えて、2年間は売らずに投資を続けられる準備をしておくことが賢明です。
高配当株の落とし穴
9月11日には「高配当ETF」に関するニュースがありました。
高配当株は一見魅力的に見えますが、極端に高い配当利回りのファンドは注意が必要です。
例えば、S&P500の平均配当利回りは約1.3%ですが、グローバルXスーパーディビッドETFのような利回りが11%近いファンドは、実際には株価が下落してしまい、トータルで見た場合、損をしていることがあります。
このようなファンドに投資するよりも、利回りが3~4%程度のファンドを選ぶ方が、長期的には安全です。高い利回りには高いリスクが伴うため、欲張りすぎずに、リスクを抑えた投資を心がけるべきです。
在職老齢年金の見直し
9月14日には、「在職老齢年金」の見直しが取り上げられました。
これは、高収入の高齢者が年金をカットされる制度で、政府はこの制度を廃止し、高齢者に長く働いてもらう方針を打ち出しています。これにより、労働力不足を補い、年金制度の安定性を高めようとしています。
結論
今回の9月の金融ニュースでは、税金や投資に関する重要なテーマが数多く取り上げられました。
資産形成においては、税制の変化や景気の動向に敏感であることが大切です。また、長期的な投資の重要性や、リスクを分散する戦略も繰り返し強調されています。
これからもお金に関する知識を深めて、資産形成に役立てていきましょう。
知っておきたい専門用語集
- 金融所得課税:株式の売却益や配当金にかかる税金のこと。金融所得に対して課税が強化されると、利益を得た際の税負担が増える。
- 貯蓄から投資への流れ:人々が貯金だけでなく、資産形成のために投資をすることを奨励する政策の方向性。
- 確定拠出年金(iDeCo):個人が自分で積み立てていく年金制度。掛け金が所得控除の対象となり、運用益も非課税。
- インデックスファンド:市場全体の動きに連動するよう設計された投資信託。代表的なものには、日経平均やS&P500に連動するファンドがある。
- 無分配型ファンド:運用中に配当金や分配金を出さず、利益を再投資するファンド。税金の先送り効果がある。
- 厳選徴収:給与所得者が毎月の給料からあらかじめ税金を天引きされる仕組み。年末調整で過不足を調整する。
- 年末調整:1年間の給与に対して支払うべき所得税を年末に確定し、過不足分を調整する手続き。
- 確定申告:個人が1年間の所得に対して正確な税額を申告し、納税額を確定させる手続き。会社員も年末調整が廃止されると、確定申告が必要になる。
- オールカントリー(オルカン):全世界の株式に分散投資するインデックスファンド。長期的な資産形成向けだが、市場の大暴落には耐える必要がある。
- 逆イールド:短期金利が長期金利を上回る現象。過去にこれが起こった後に景気後退が見られたことから、不況の前兆とされることが多い。
- 高配当ETF:配当利回りが高い株式に投資するETF。利回りが高い分、リスクも高く、株価の下落リスクがある。
- 在職老齢年金:高収入の高齢者が年金を受け取りながら働く場合、一定額以上の収入があると年金が減額される仕組み。
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