ナンピン(難平)とは、保有している株や資産の価格が下がった際に追加購入することで平均取得価格を引き下げる投資手法です。
初心者の中には「ナンピンすれば損失を抑えられる」と考える人も多いですが、実際にはナンピンの使い方次第で大きな損失を招くこともあります。本記事では、ナンピンの正しい活用方法と避けるべき場面について解説していきます。
目次
ナンピンとは?
ナンピンの基本概念は以下の通りです。
- 最初に購入した株が下落 → 追加で購入 → 平均取得価格が低下
- 価格が回復すれば利益が出る可能性が高まる
例えば、1000円で100株購入した後に株価が900円に下落した場合、追加で100株を購入すると平均取得単価は950円に下がります。株価が950円以上に戻れば損失は解消されるわけですが、問題は株価がさらに下落した場合です。
ナンピンが有効なケース
- 事前に計画された買い増し戦略の一環である場合
- もともと長期投資を前提としており、購入ポイントを分割している場合は有効。
- 例えば、「株価が5%下がるごとに追加購入」といった計画がある場合。
- 企業の業績や市場のファンダメンタルが良好な場合
- 一時的な市場の混乱で株価が下がっているが、企業の業績に問題がない場合は買い増しのチャンス。
- 例えば、リーマン・ショックのような金融危機時でも健全な企業は回復した。
- 配当利回りを狙う場合
- 高配当株の長期保有戦略で、株価が下がることで配当利回りが向上する場合。
- 例えば、年利5%の株をナンピンすることで配当収入を増やせる可能性がある。
ナンピンが危険なケース
- 明確な根拠がないまま、損失を取り戻そうとする場合
- 「とりあえず安くなったから買い増し」という心理で行うナンピンは危険。
- 価格が下がる理由を理解せずに追加購入すると、さらに損失が拡大する。
- 下落トレンドが続いている場合
- 株価が下がり続ける中でナンピンを繰り返すと、「含み損の増大」と「資金枯渇」を招く。
- 例:2020年の原油市場暴落時にナンピンした投資家は、多くが大損した。
- ポートフォリオのリスク管理を無視している場合
- 1つの銘柄に資金を集中させすぎると、リスク分散ができなくなる。
- 例えば、ナンピンの結果、ポートフォリオの80%が1銘柄に集中すると、さらに下落した際に資産全体が危険にさらされる。
ナンピンをする際の注意点
- ナンピンの上限を決める
- 「購入資金の20%まで」など、あらかじめルールを決めておく。
- ファンダメンタルを必ずチェックする
- 企業の財務状況、競争環境、経済全体の状況を確認する。
- テクニカル分析を活用する
- サポートライン(過去の安値)がどこにあるのかを確認する。
- 損切りのルールを持つ
- ナンピンを繰り返すよりも、損切りして別の投資先を探すのも重要。
ナンピンと「塩漬け」の違い
塩漬けとは?
- 含み損を抱えたまま株を売らずに放置すること。
- 例えば、1000円で買った株が500円に下がり、売らずに持ち続けること。
ナンピンとの違い
- ナンピンは追加購入することで平均取得単価を下げる行為。
- 塩漬けは売却も追加購入もしないため、資金が動かせない。
ナンピン戦略の成功事例
- リーマン・ショック後の米国株投資
- 2008年の金融危機でS&P500が約50%下落。
- しかし、優良企業の株をナンピンしながら買い増しした投資家は、数年後に大きな利益を得た。
- 2020年のコロナショック後の回復
- 2020年3月に市場が暴落した際にナンピンした投資家は、その後の急回復で大きなリターンを得た。
まとめ
- ナンピンは戦略的に行えば有効だが、無計画に実施すると危険。
- 市場環境、企業の業績、リスク管理を考慮しながら判断することが重要。
- 塩漬けとは異なり、ナンピンは計画的に実施することで利益を最大化できる。
- 短期的な損失回避ではなく、長期的な資産成長を目的とするべき。
ナンピンを成功させるには、「感情に流されず、計画的に投資を行う」ことが鍵です。

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