今回の動画では、投資歴17年で総資産2.5億円を持つ投資家ナスビ氏が、視聴者から寄せられた5つの質問に答えています。特に「急激に資産が増えたがFIREしても大丈夫か?」という疑問に対し、現在の市場環境やリスク管理の観点から詳しく解説しています。
この記事では、その内容を初心者にも分かりやすく解説し、具体的な数値や歴史的背景も交えながら掘り下げます。
著:クリスティー・シェン, 著:ブライス・リャン, 翻訳:岩本 正明
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目次
1. 急激に資産が増えたがFIREしても大丈夫か?
1-1. 現在の市場環境
コロナショック後、株価は急激に上昇し、多くの投資家が資産を大きく増やしました。
質問者は、年間生活費の25倍である7,500万円の資産を築いたため、FIRE(経済的自立による早期リタイア)を検討しています。しかし、ナスビ氏は「現在の市場環境を考慮すると慎重に進めるべき」と述べています。
- 株価の割高感を示す指標の一つであるCAPEレシオ(Shiller PE Ratio)は1990年代後半以来の高水準。
- 1990年代後半も「割高」と言われつつ株価はさらに上昇したが、その後大幅に下落した過去がある。
- 現在の株価も今後どのように動くか不透明であり、割高なまま続く可能性もあれば、適正価格に戻る可能性もある。
為替リスクがFIREの成否を左右する
- 現在、円安が進行しており、10〜20%の円高が起これば、7,500万円の資産が最大6,000万円まで減少する可能性がある。
- 2024年がドル高のピークと仮定すると、2027年に向けて円高が進む可能性が高い。
- 日銀が2025〜2026年に利上げし、アメリカが利下げすれば日米金利差が縮小し、ドル円相場は下落する。
1-2. FIREを成功させるための取り崩し戦略
FIREする際の資産取り崩し率として、一般的に「4%ルール」が推奨されることが多いですが、nasi氏は「現在の市場環境では3.5%にするのが安全」と述べています。
- 4%ルールでは、30〜40年間資産が持つ確率は93%以上。
- しかし、7%の確率で資産が枯渇するリスクがあるため、安全性を高めるなら3.5%の取り崩しが良い。
- 3.5%で取り崩せば、ほぼ100%資産が枯渇しないというデータもある。
また、ドル建てで取り崩しながら不足分を少し労働で補い、円高が進んだ際に備えるのが得策とされています。仮に円高が来なかった場合は、余剰資金を贅沢費に回せるメリットもあるとのことです。
2. 55歳でFIREを目指す場合の投資戦略
持ち株会はリスクが高い
- 会社の給与収入と株式資産が同じ企業に依存するため、企業が傾くと両方の収入が失われるリスクがある。
- 55歳という年齢を考慮すると、リスクの分散が重要。
全世界株(オールカントリー)と高配当ETFの比較
- オールカントリー(オルカン)は全世界の株式をカバーし、長期的な分散投資として安定している。
- 一方で、高配当ETF(VYM、SCHDなど)は、配当金による安定したインカムを得られる。
- 高配当ETFはリーマンショック時の下落幅も小さく、オルカンより下落耐性が強い可能性がある。
3. 生債券と投資信託の債券の違い
- 生債券:国債などを直接購入し、満期まで保有すれば元本は保証される。
- 投資信託の債券:複数の債券を組み合わせた商品で、満期がないため価格変動の影響を受けやすい。
- 結論:途中売却する予定があるなら投資信託、満期まで保有するなら生債券が適している。
4. ドル余剰金の運用方法
- ETF vs 投資信託の選択基準
- 配当金を得たいならETF。
- 再投資するなら投資信託。
- 為替手数料の影響
- 両替手数料は25銭程度で、15万円を両替しても250円程度。
- 楽天証券やSBI証券では手数料無料のキャンペーンもあるため、手数料を気にせず円に戻して投資信託を買うのも一案。
5. 太陽光発電と不動産投資の比較
インカム(収益)面での比較
- 不動産投資
- 4000万円の物件を購入。
- 手残り収益:約9万円/月。
- 修繕・リフォームのリスクがあるが、土地の価値は維持される。
- 太陽光発電
- 2000万円の設備を2基購入。
- 手残り収益:約6万円/月。
- 土地は田舎が多く、価値が下がりやすい。
- 売電価格の低下リスク、パネルの劣化リスクがある。
出口戦略の違い
- 不動産は収益還元法で価格が決まるため、家賃を維持すれば高値で売却できる可能性がある。
- 太陽光発電はパネルの価値が下がるため、売却時の価格が大きく下落するリスクが高い。
- 結論:同じ利回りであれば、不動産の方が資産価値を維持しやすい。
まとめ
FIREを目指すなら、現在の市場環境を考慮し、慎重な取り崩し戦略を採ることが重要です。特に、円高リスクや株価の割高感を踏まえ、資産の減少を防ぐために取り崩し率を3.5%に抑えるのが良いでしょう。
また、不動産投資の方が長期的に資産価値を維持しやすい点も考慮すべきです。
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