世界の先進国が主に温帯や冷帯に集中している一方で、熱帯にはほとんど見られない。
この興味深い現象について、「なぜ熱帯に先進国が少ないのか?」というテーマで動画が解説している内容をまとめます。このブログでは、動画の内容をできる限り詳しく、具体例や数字を交えながらわかりやすく紹介します。
先進国とは?その定義
まず「先進国」とは何か?動画では、先進国を「国民一人あたりが生み出す付加価値が多い国」と説明しています。この付加価値とは、例えばケーキ屋で1つ200円の材料を使い、500円で販売した場合、差額の300円が付加価値となります。
1年間で1万個のケーキを売れば、年間の付加価値は300万円です。これが国民全体の経済活動に反映されたものが「一人あたりの年間GDP」とも言えます。
熱帯に先進国が少ない理由
熱帯で経済が発展しない理由は、一言で言えば「資本形成が難しい環境」であることが挙げられます。その背景にはいくつかの要因が絡み合っています。
貯蓄文化が生まれにくい自然環境
- 熱帯では平均気温が25℃以上と高く、湿度も非常に高い。このため、作物や食料が腐りやすく、食料を長期保存するモチベーションが低い。
- 一年を通して作物が育つため、冬に備える必要がなく、「貯める」という文化が育ちにくい。
- 実際に研究でも、緯度30度未満の地域では長期備蓄文化がほとんど見られないことが確認されています。
農業生産性の低さ
- 一見、熱帯は農業に適した環境と思われがちですが、土壌がカスカスで養分が不足しているため、農業生産性が低い。
- 特に熱帯雨林では降水量が多く、土壌から養分が流されやすい。
- また、熱帯の土壌は酸性が強く、多くの作物にとって成長が難しい環境となっています。このため、農民の所得が低く、銀行に貯金が集まらないことで資本形成が阻害されています。
資本集約的産業の発展が困難
資本形成には銀行が重要ですが、貯蓄文化や農業所得の低さが障害となり、巨大な資本を作ることが難しいのです。
経済を支える「重化学工業」は、鉄やアルミ、機械製品などを製造する資本集約的な産業です。これには莫大な設備投資が必要ですが、熱帯では十分な資本を準備できる環境が整っていません。
ヨーロッパの事例から見る資本形成の重要性
ヨーロッパを例にすると、北欧と南欧の間には「南北格差」が存在します。北欧は豊かで南欧は貧しい理由の一つが宗教にあると動画では解説されています。
プロテスタント vs. カトリック
- プロテスタントは「お金を貯めること」を肯定的に捉え、銀行に預金する文化がありました。
- 一方、カトリックでは「お金を貯めることは不道徳」とされ、教会に寄付する習慣がありました。
この違いが資本形成の差を生み、経済格差を生じさせたのです。
熱帯の現実:経済発展を阻む条件
熱帯の自然環境が経済発展に与える影響は以下のように整理されます。
- 高温多湿による貯蓄モチベーションの欠如
- 土壌の養分不足や酸性化による農業生産性の低さ
- 巨大資本の形成が難しいため、重化学工業の発展が阻害される
これらの要因が重なり、熱帯では先進国が少ない状態が続いているのです。
まとめ
熱帯に先進国が少ない理由は、環境要因が経済活動に深く影響を及ぼしているためです。動画では、以下のように結論付けられています。
- 熱帯は「高温多湿」であるため、食料の備蓄が難しく、貯蓄文化が育たない。
- 土壌が養分不足で農業生産性が低いため、農民の所得が低い。
- 資本形成が困難で、重化学工業の発展が妨げられる。
ただし、経済発展は自然環境だけでなく、多岐にわたる要因が影響します。それでも、熱帯の自然条件が経済発展に大きな制約を与えていることは否定できません。
「気候が経済を左右する」この事実を改めて考えるきっかけになる動画でした。
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