新NISAを活用した戦略について解説した書籍をご紹介します。
特に、投資信託を中心としたポートフォリオ構築の戦術に焦点を当てますので、初心者の方にも分かりやすく、具体例や数字を交えながら進めていきます。
1. 最大化か最適化か?ポートフォリオ戦略の選択
まず、投資の基本的な考え方として「最大化」と「最適化」があります。
これは、投資ポートフォリオをハイリスク・ハイリターンに集中させるか、それともリスクを分散させてどんな状況にも対応できるバランスの良いポートフォリオを組むか、という選択です。
ウォーレン・バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムや、近代経済学の父ポール・サミュエルソンも、アセットアロケーション(資産配分)の重要性を強調しています。
つまり、銘柄選びよりも、どの資産にどれだけ投資するかが長期的な成功に直結するという考え方です。
例えば、株式の比率を高めればリターンは大きくなる可能性がありますが、その分リスクも増加します。一方、リスクを分散させた最適化ポートフォリオは、安定性を重視した戦略です。
2. アセットアロケーションの具体例
著書では、投資家のタイプに応じたアセットアロケーションの例を紹介しています。
- 注意深い投資家: シャープレシオ(リスクあたりのリターン効率)が最大となるように設計されたポートフォリオ。具体的には、株式を30%、残りを債券などの安定資産に配分します。これは、例えば年金生活者や、近い将来に使う予定がある資金を運用する人に適しています。
- 勇敢な投資家: リターン最大化を目指すポートフォリオで、株式比率は80%。若くて収入があり、リスクを取ってでも大きなリターンを狙いたい人向けです。
- 平均的な投資家: 株式比率60%の妥協型ポートフォリオ。中年の労働者や、リスクとリターンのバランスを重視したい人に向いています。
また、安全性を重視したい人には、現金を多く保有するポートフォリオも推奨されています。この場合、インフレリスクは高まりますが、資産の毀損リスクを最小限に抑えることができます。
3. 新NISAを活用した具体的な戦略
新NISAを利用してアセットアロケーションを行う場合、成長投資枠を使って多様な資産に分散投資することがおすすめです。
例えば、債券の投資信託やリート(不動産投資信託)、さらには金の投資信託など、さまざまな商品が利用可能です。
特に、債券のETF(上場投資信託)は新NISAでは購入できない場合があるため、債券の投資信託を選ぶのが良い選択肢となります。例えば、金のETFであるGLDMは、成長投資枠で購入可能です。
4. リバランスの重要性
リバランスとは、ポートフォリオの資産配分が崩れた際に、元の比率に戻す行動です。リバランスを行うことでリスクを減少させる効果があり、特に資産形成期においては重要です。
リバランスの方法として、「ノーセルリバランス」が推奨されています。
これは、上がった資産を売却せず、下がった資産を追加購入することで、ポートフォリオのバランスを保つ方法です。この方法は、コストを抑えつつ、効果的にリバランスを行うことができます。
5. 手作り型ポートフォリオ vs バランス型投信
手作り型ポートフォリオのメリットは、コストを抑えつつ、自由に資産の比率を調整できる点です。
一方、バランス型投信は楽で手間がかからないというメリットがありますが、売却時にすべての資産を一括で売却する必要があるため、柔軟性に欠けることがあります。
手作り型では、例えば、株式が上がった時にその部分だけを売却し、下がった資産は保有し続けるなど、より効率的な運用が可能です。
結論
新NISAを最大限に活用するには、成長投資枠を使って多様な資産に分散投資し、リバランスを活用してリスクを管理することが重要です。
初心者の方でも、これらの戦略を理解し、実践することで、長期的な資産形成が可能になります。
知っておきたい専門用語集
- 新NISA:2024年から始まる日本の非課税投資制度。成長投資枠や積立投資枠が設けられ、多様な資産への投資が可能。
- アセットアロケーション:資産配分のこと。どの資産にどれだけ投資するかを決めることで、リスクとリターンのバランスを取る。
- シャープレシオ:リスクあたりのリターン効率を示す指標。リターンから無リスク金利を引き、それを標準偏差で割って算出する。
- リスクパリティ:リスクを均等に分散させる投資戦略。各資産のリスクがポートフォリオ全体に均等に影響するように資産配分を調整する。
- リバランス:ポートフォリオの資産配分が崩れた際に、元の比率に戻す行動。リスクを管理し、資産を効率的に運用するために行う。
- ノーセルリバランス:資産の売却を行わず、下がった資産を追加購入することでポートフォリオのバランスを保つ手法。コストを抑えつつ、効果的なリバランスが可能。
- 債券ETF:上場投資信託の一種で、債券市場に投資するための金融商品。新NISAでは一部のETFが購入対象外となる場合がある。
- リート(不動産投資信託):不動産に投資する投資信託。新NISAでも購入可能で、不動産市場への間接的な投資が可能。
- 金のETF:金価格に連動するETF。GLDMなどが新NISAの成長投資枠で購入可能。
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