NTTは“良決算”でも下落、三菱商事は減益で崩れ――決算相場の読み方と「買い場」の見極め方【2025/11/4】
このブログは「NTT良決算もまさかの急落!三菱商事崩れる」という元動画のタイトルを基に作成しています。動画内容を初心者でも理解しやすいように整理し、具体的な数字と背景を添えて解説します。
結論(先にざっくり)
11月4日は決算発表が相次ぎ、指数は大幅安でしたが、個別の中身は「一見良いが嫌われる決算(NTT)」と「素直に重い決算(三菱商事)」で性格が対照的でした。
NTTは上期最終+7%・足元+20%の増益でも、主因がデータセンター売却益という“非継続色”に市場が反応し下落。一方、三菱商事は上期・足元ともに▲42%の減益で株価も約4%下落。
もっとも、通期計画に対する進捗率は極端に崩れておらず、配当水準も依然厚い水準です。今期の決算相場は「見出しの良さ」よりも「利益の質」と「来期以降の継続性」を厳しく見ています。慌てて追うより、数字の“質”が確認できるまで時間を味方にするのが得策です。
NTT:数字は強い、でも“質”で売られた日
11月4日発表の上期決算は最終利益が前年同期比で約7%増、足元四半期ベースでも約20%増と、表面的には好内容でした。
それでも株価は場中発表後に約1.9%下落しました。
理由は増益の牽引役が不動産投資信託(REIT)へのデータセンター売却益だった点です。
営業利益計上で特殊要因扱いではないにせよ、投資家は「総合ICT(コア事業)が減速し、非継続的な要素で相殺した」と捉えがちです。決算の“量”(増益率)より“質”(コアの持続性)に視線が集まり、短期的には評価が剥落しました。
とはいえ、NTTの魅力は依然として厚い基礎体力にあります。
時価総額は国内トップ級の安定企業で、配当利回りはおよそ3.4%前後(動画時点)。
株主優待も長期保有でdポイント進呈という実利があり、100株でも単価自体が買い回しやすい水準です。
順風満帆なブレイクアウトというより、150円台近辺を拾いながら配当と優待を享受しつつ、コア事業の持ち直しを待つ「積み増し型」の向き合い方が現実的です。カタリストは来期以降のコア利益の回復度合いで、ここが見えてくれば200円方向の再評価余地は十分に残ります。
三菱商事:減益は素直に重いが、通期進捗は“まだ崩れていない”
同日発表の上期決算は最終利益が▲42%、足元四半期でも▲42%と厳しい数字でした。
株価は引けにかけて約4%下落し、上昇基調に冷や水が入った格好です。
背景には資源関連の逆風や事業ポートフォリオの組み替え(ローソンの持分法適用化など)に伴う影響があり、利益の頭打ちが意識されました。
とはいえ、通期計画に対する進捗率はおおむね想定の範囲に収まっており、配当方針も直ちに揺らいだわけではありません。問題は「今の株価水準に見合う成長ストーリーを、足元の数字で裏づけられているか」です。
減益の地合いで“配当目当ての高値拾い”は分が悪く、全体相場の押し目と重なるタイミングまで待って、利回りとバリュエーションのバランスが改善した局面を狙うのが無難です。
そのほかの決算トピックの位置づけ
同日にかけて総合商社や輸送、金融、食品、プラットフォーム各社の決算が続き、明暗が分かれました。
丸紅は増益で素直に評価された一方、住友商事など商社内でも手応えに差が出ています。
JR西日本は業績・配当の上方修正でトレンド持続のシナリオ。
大和証券は見出し上は減益でも、コア営業面の回復が評価され引けにかけて堅調でした。
食品では日本ハムが好反応、住友化学は上方修正でも「出尽くし」で反落、LINEヤフーは配当増額と足元増益で持ち直しの芽が確認できる流れです。
共通するのは、ただの「増益」「上方修正」という見出しでは買われにくく、コア利益の質改善や来期の再現性が示された案件に資金が集まっている点です。
投資戦略:決算相場は“量より質”、時間を味方に
当面は、見出しが強くても非継続要素に依存した決算は戻りが鈍く、コア事業の増益が確認できる銘柄に資金が寄る地合いです。
指数が900円規模で荒れる日でも、ポートフォリオ全体が思ったほど減らない場面があるのは、相場の上げ下げを主導するセクターが限定的だからです。
無理な高値追いは避け、決算説明資料やセグメント別の進捗で“来期以降も続く源泉”を確かめてから入るのがリスクを抑える近道です。配当や優待の実利が厚い銘柄は、押し目で拾い、時間を味方に戻りを待つスタンスがワークしやすいでしょう。
まとめ
11月初旬の決算相場は、「見出し勝負」から「中身勝負」へ軸足が完全に移っています。
NTTは非継続色の収益にマーケットが敏感に反応し、三菱商事は素直に重い減益を嫌気されました。
もっとも、どちらも通期前提や株主還元の基盤が即座に崩れたわけではなく、慌てる場面ではありません。中身を読み、来期の再現性が見えるまで待つ。配当・優待という“時間価値”を取り込みながら押し目を拾う。この基本に立ち返ることが、今年の決算相場を上手に渡るコツです。


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