投資初心者の方でも理解しやすいように、株式投資でよく使われる株価指標であるPER、PBR、そしてROEの特徴や関係性についてまとめた動画です。
PBRとは?
PBR(株価純資産倍率)は、別名「解散価値」とも呼ばれ、企業の株価がその純資産の何倍かを示す指標です。
計算式は「株価 ÷ 1株あたり純資産」となります。
この指標は特に2023年から注目されるようになりました。東京証券取引所が企業に対してPBR改善を要請したことがきっかけです。
PBRの見方
PBRが1倍を下回ると、解散価値割れと呼ばれます。
仮に企業が解散して純資産をすべて処分した場合、その価値が現在の株価よりも高いという状況です。2022年末には、プライム市場の47%の企業がPBR1倍割れでしたが、2023年末には44%に減少しました。
PBRは「PBR = PER ÷ ROE」という式で表せます。
この式を使うと、PBRが低い理由として、PERが低いかROEが低いかのどちらかが考えられます。ROEは企業の稼ぐ力を示す指標で、ROEが低い場合、企業の経営効率が悪い可能性があります。
一方、ROEが高いのにPERが低い場合、株価が低評価されている可能性があります。
PERとは?
PER(株価収益率)は、企業の株価が1株あたり純利益の何倍かを示す指標です。
計算式は「株価 ÷ 1株あたり純利益」となります。PERは、株主目線で見ると、投資した元手を何年で回収できるかを示します。例えば、PERが5倍ならば、5年で投資元本を回収できるという見方です。
純利益とは、企業の売上からあらゆる経費や税金を引いた後に最後に残るお金です。
PERの見方
PERは「PER = ROE ÷ PBR」という式で表せます。
この式を使うと、ROEが高ければPERが低くなり、投資回収期間が短くなるため、株価が割安に見えます。
また、経済のサイクルによってもPERの変動があります。不景気の時には、金利が下がり、将来の株価上昇への期待感が先行するため、PERが高くなる傾向があります。
ROEとは?
ROE(自己資本利益率)は、企業の自己資本に対する当期純利益の割合を示す指標です。
計算式は「当期純利益 ÷ 自己資本」となります。ROEは企業の経営効率を示し、どれだけ効率的に利益を上げているかを表します。
ROEの分解
ROEは、デュポン公式を使って「利益率 × 回転率 × レバレッジ」という3つの要素に分解できます。
- 利益率: 売上高に対する当期純利益の割合。
- 回転率: 資産に対する売上高の割合。
- レバレッジ: 自己資本に対する総資産の割合。
これにより、ROEが高い企業は利益率が高いか、回転率が高いか、レバレッジが高いかのいずれかであることが分かります。
例えば、ブランド価値の高い企業は利益率が高く、薄利多売型のビジネスは回転率が高いです。また、借入れを増やすことでレバレッジを高め、ROEを向上させることもできます。
ただし、借入れや自社株買い、増配などによる一時的な対策は長期的な改善にはならないこともあります。
まとめ
株価指標であるPBR、PER、ROEは、それぞれ異なる視点から企業の価値を評価するための重要な指標です。
PBRが低い企業は割安とされ、PERが低い企業は投資回収期間が短く、ROEが高い企業は経営効率が良いことを示します。これらの指標を組み合わせて企業の真の価値を見極めることが重要です。
ぜひ、これらの指標を活用して、より良い投資判断をしていただければと思います。
知っておきたい専門用語集
- PER(株価収益率):株価が1株あたり純利益の何倍かを示す指標。投資元本を何年で回収できるかを示す。
- PBR(株価純資産倍率):株価が1株あたり純資産の何倍かを示す指標。企業の解散価値を評価する際に使用。
- ROE(自己資本利益率):自己資本に対する当期純利益の割合。企業の経営効率を示す指標。
- 解散価値割れ:PBRが1倍を下回り、企業の解散時に純資産の価値が現在の株価よりも高い状態。
- GOING CONCERN:企業が永続的に事業を継続する前提で経営されること。
- 利益率:売上高に対する当期純利益の割合。企業の収益性を示す。
- 回転率:資産に対する売上高の割合。企業の資産効率を示す。
- レバレッジ:自己資本に対する総資産の割合。借入れを利用して自己資本の利益率を高める手法。
- バリュートラップ:割安と評価される株が、長期間にわたり市場で正しく評価されず、不当な低株価で取引され続ける状態。
- デュポン公式:ROEを利益率、回転率、レバレッジの3つの要素に分解して分析する手法。
- 自社株買い:企業が市場から自社の株式を買い戻すこと。株価の向上やROEの改善を図る手法の一つ。
- 増配:企業が株主に対して支払う配当金を増やすこと。株主への利益還元を強化する手段。
- 総資産回転率:総資産に対する売上高の割合。企業の資産効率を示す。
- 当期純利益:企業の収益から全ての費用と税金を引いた後の純利益。株主に帰属する利益。
- 金融相場:不景気の時期に金利が下げられ、将来の株価上昇への期待感が先行して株価が上昇する相場。
- 業績相場:企業の業績が改善し、それに伴って株価が上昇する相場。
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