本記事は、YouTube動画『SaaS以外も突然の急落!AI関連以外は買えない時代になってしまうのか?専業投資家が足元の状況を解説!』の内容を基に構成しています。
強すぎた相場から一転して金曜日に急落、何が起きたのか
今週の日本株は、週の前半から中盤にかけて異様なほど強い地合いが続きました。
日経平均は、寝て起きたら上がっていると感じるような雰囲気で、相場全体に楽観が広がっていたことが語られています。
ところが金曜日、先物の段階から空気が変わり、現物市場でも下落が目立ちました。前場から雰囲気が悪く、後場も弱含み、終盤にかけて少し戻す場面はあったものの、流れは明確に悪化したという整理です。
この動画の中心テーマは、単なる指数の下落ではなく、個別銘柄、とりわけSaaSやソフトウェア関連が指数以上に売られた点にあります。
指数だけを見るとレンジの範囲や小幅な調整にも見えますが、実際には体感として深い下げに直面した投資家が多かった、という現場感が強調されています。
日経平均、TOPIX、グロース指数の温度差が示すもの
動画ではまず主要指数の確認から入ります。日経平均とTOPIXはいずれも週中まで強く、週後半から弱いという同様の形でした。
一方でグロース指数は、金曜日の下落の影響が大きく、特にSaaS関連やソフトウェア関連の売りが目立ったと説明されています。
ここで重要なのは、グロース指数の中身の偏りです。
指数の構成上、宇宙関連やバイオなど、SaaSやソフトウェアとは性格の異なる銘柄も多く含まれています。そのため指数全体だけを見ると下落が限定的に見える一方で、SaaSやソフトウェアの個別銘柄は、指数以上に大きく下がっているケースが多い、というギャップが起きやすい状況だと整理されています。
さらに、銘柄によっては年初来から半年程度の水準まで下がっている例があるとも語られています。業績が極端に悪化していないのに、価格だけが先に崩れていることが、今回の相場の難しさを象徴しています。
AIが株価を動かす範囲が広がり、難易度が上がっている
AIの話題が、ソフトウェアだけでなく物流やオフィス関連まで波及している
動画の前半で強調されるのは、AIが株価を動かす範囲が広がったことです。
以前であれば、ChatGPTが話題になれば競合のGoogleの株価が少し下がる、といった分かりやすい連想が中心でした。しかし今は、物流関連が下がったり、オフィス関連が下がったりと、AIの影響がどこまで及ぶのか直感的に分かりにくい動きが増えています。
これは投資家にとって、テーマの読み違いが損失に直結しやすい環境になったことを意味します。AIに関係が薄いと思っていた業種が、AIによる効率化や置き換えの文脈で売られる。その結果、相場の難易度が上がっているという認識が示されています。
ドル円は円高傾向、ただし為替の材料が見えにくい
為替については、円高傾向にあるという言及があります。
与党が大勝したことや財政規律に関する見方なども絡み、円が買われる展開になっていると説明されています。
ただし、為替は何で動いているのか分かりにくい面もあり、日銀の利上げ観測が3月から4月に出るのではないか、といった見方が一部織り込まれている可能性にも触れています。
金利に関しては日本の金利はレンジ圏で、大きな動きはなかったという整理です。株式市場が荒れた割に、金利は落ち着いているという点も、相場解釈を難しくしています。
来週の重要イベント GDP、CPI、FOMC議事要旨などが集中
動画では来週のイベントも列挙されています。日本のGDP、英国の雇用統計、日本の貿易収支や訪日外国人客数、特別国会の召集、英国CPI、FOMC議事要旨、豪州雇用統計、日本の全国CPI、米国コアPCEデフレーター、米国GDPなどが並びます。
特に注目点として、GDPそのものだけでなく、訪日外国人客数がどれくらい増えているか、国会の動き、FOMC議事要旨で相場が動く可能性などが挙げられています。短期的にはこうした指標イベントが、下落局面のボラティリティをさらに高める可能性がある、という見方です。
SaaSの急落と、AI相場の二極化
GoogleのGemini新モデルが象徴する、AIの進化スピード
今回の下落背景として、GoogleのGeminiの新モデル発表が取り上げられています。
動画では、エージェント的な機能として、自然言語で回答を生成するだけでなく、生成した内容を検証し、修正まで行える点が強調されています。つまり、単なる生成AIから、検証と改善まで含む自律的な処理に近づいている、という理解です。
このような進化が続くと、AIが代替し得る領域が増えたと市場が解釈しやすくなり、置き換え対象と見なされた産業や企業が急落するリスクが高まります。
AI関連かそれ以外か、という色分けが強まっている
動画の核心は、相場がAI関連かそれ以外か、という二極化に近づいているという点です。AI関連の中心はもちろんNVIDIAのような半導体大手ですが、日本株では別の形で資金が集まっていると説明されています。
具体的には、AIを動かすためのデータセンターが必要であり、その建設や運用に必要な素材、部品、光関連、コネクタ、電線、ケーブルといった周辺領域に資金が集中している、という整理です。日本株では化学関連銘柄が象徴的な受け皿になっており、動画内でも10月から11月頃から繰り返し取り上げてきたテーマだと語られています。
一方で、それ以外のセクターは弱くなりやすい。地銀、サブコン、ゼネコンも強かったが、足元では落ちる場面が出ているとも述べられています。
SaaSは何もなくても7%から8%下がる 逆張りが危険になっている
SaaSの下落については、かなり強い表現が使われています。何の発表もないのに7%、8%と下げ、安値を次々に割り込む。SaaSは安いと発信していた人が、SNSで弱音を吐くほどの状況だとも語られています。
さらにSIやコンサルも下落しているとされ、ベイカレントなど具体名も挙がっています。市場が、AIで代替される、効率化される、という連想で一気に売り込む展開になっている、という整理です。
ここで大切なのは、バリュエーションが通じにくいという点です。割安になったから買う、という逆張りが、産業自体が消えるかのような下落に巻き込まれやすく、危険だという指摘が後半で繰り返されます。
物流や建設が売られる理由と、その違和感
物流や建設が下がっている点について、動画内では強い違和感が共有されています。
物流はAIで効率化できる、という記事が出ると株価が下がる。
しかし実際には、物流企業がいきなり大幅に効率化できるとは考えにくい、という反論もアメリカで出ていると述べられています。話題としては、400%の効率化といった誇張的な数字が見出しに出ることもあるが、現実性には疑問がある、という立場です。
建設についても、現場取材の感覚では、需要は旺盛で人手不足が深刻、案件は大量に来ているという状態なのに、それでも株価が下がる。これは下請け構造の効率化やAI導入の連想で売られているのではないか、ただし正直よく分からない部分がある、と率直に語られています。
ここから見えるのは、株価が必ずしも現場の実態だけで動いていないということです。AIの物語が先行し、そこに資金が集中し、相対的に置き換えリスクのある業界が売られる。これが足元の相場の特徴だとまとめられます。
株不足と連動売買が下落を増幅させる可能性
動画では、日本株特有の要因として株不足にも触れられています。
特定セクターに大きな注文が入ると、流動性が薄い銘柄は急落しやすい。さらに、日本株はアメリカで何が下げたかに連動して売買されることが多く、アメリカで銀行が下げれば日本の銀行株を売る、といった機械的な動きもあると説明されています。
この連動と流動性の薄さが組み合わさると、短期的な売りが過剰になりやすい。決算で強かった銘柄でも、ポジション調整やSQ要因などで売られる場面があり、需給が相場を支配しやすい局面がある、という見立てです。
日本はAIの恩恵を受ける側になり得る 生産性の伸び代と供給制約
ここから動画は、短期の下落だけでなく、中長期の日本経済への示唆に話を広げます。ポイントは、日本はAI競争の設備投資をする側というより、恩恵を受ける側にいる可能性が高いという見方です。
アメリカのトップソフトウェア企業は毎年巨額の設備投資を行い、AI競争を加速させます。
一方、日本企業で設備投資を何兆円、何十兆円規模で積み上げられる企業は多くありません。
しかし日本は、データセンターに必要な素材や部品、光関連、ケーブルなど、供給側として組み込まれており、そこに需要が来るという構図です。日本がAIの設備投資競争の受益者になり得る、という整理が提示されています。
さらに重要なのが生産性です。
日本は先進国の中で生産性が低いとされ、その理由として終身雇用などの構造要因も挙げられています。
ただし低いということは改善余地が大きいということでもあります。既に効率化が進んでいる国は、そこからさらに1.5倍、2倍にするのは難しい。日本は、上位国に追いつくだけでも大きく伸びる余地があり、人口減少下でも生産性向上でGDPを押し上げられる可能性がある、という考え方です。
そして日本は供給制約の国だという指摘も出ます。需要があっても供給が追いつかない業界が多く、人手不足や生産能力不足がボトルネックになりやすい。そのためAIによる効率化は、他国よりも歓迎されやすい面がある、という見方が語られます。
AIウェアラブル時代の兆し TDK決算に見えた未来像
中長期のテーマとして、AIウェアラブルの時代が来る可能性にも触れられています。具体的にはTDKの決算を例に、小型電池についてスマートグラスなどに使う用途の相談が増え、開発に投資していく動きが出ているという話です。
2年から3年後には、サングラス型デバイスを身につけ、そこにAIが乗るような世界が現実味を帯びるかもしれない、という未来像が語られています。形はサングラスに限らないかもしれませんが、ウェアラブル化が進むことで、電池、部品、素材などの周辺産業に波及が出る可能性が示唆されています。
TSMCの月次、井村ファンド、そして銘柄入れ替えの重要性
TSMCの1月売上は前年比37%増、ただし旧正月要因の補足も必要
TSMCの1月月次売上が紹介され、約2兆円規模で前年同月比37%増とされています。年間成長率30%と言われていた中で37%に伸びており、非常に強いという評価です。
ただし補足として、台湾には旧正月があり、昨年は1月末に旧正月があって平日が2日から3日程度潰れていた可能性がある一方、今年は旧正月が2月中旬で、1月の稼働が多かった可能性がある、とカレンダー要因にも触れています。それを差し引いても強い、という見立てです。
井村ファンドの月次 科学比率の上昇と銀行買い、そして変化への適応
井村ファンドの1月月次にも触れられています。科学関連の比率が上がってきたこと、銀行を買い出したことなど、構成に変化が見られると説明されています。引き続きバリュー系を選んでいるが、銘柄入れ替えをそれなりに行っているという見方です。
ここで語られるのが、銘柄入れ替えの重要性です。世の中の変化が速すぎて、物流や建設がAIで下落するなど、想定外の連想が現実に株価を動かしてしまう。そういう時代には、長期投資であっても、ごめんなさいして一度売却し、新しい銘柄に移るという判断が重要になり得る、というメッセージが出ています。
また、ファンド運営に関して世間を騒がせた出来事があり、謝罪文が出ていることにも触れられています。ただし今後どうなるかは分からず、見守るしかないという立場が示されています。
AIど真ん中の日本株 好調な企業例と、見るべきポイント
記憶や決算 ガイダンス急上方修正でAI銘柄化が鮮明に
動画後半では個別企業の話が出ます。記憶やの決算では、実績自体はまずまずだが、ガイダンスが大きく上がった点が注目されています。売上が9350、営業利益が4400から5300といった大幅な改善が示され、値上げや契約形態の見直しが効いている可能性が語られています。
さらにSSDが従来の成熟産業、誰が作っても同じという見方から、AIによって需要構造が変わり、AI銘柄化しているという認識が示されます。AIによってデータ保存需要が増え、SSDがより重要になるという文脈が、決算数字として表面化した、という整理です。
高値に接近した銘柄例 化学、素材、プローブカードなどに資金が集まる
今週高値に接近した企業例として、JX金属、三菱ガス化学、マイクロニクス、ラサ工業、四国化成ホールディングスなどが挙げられています。いずれもAIの設備投資競争や供給制約の中で、素材、部品、検査装置など周辺領域に資金が入っているという流れに沿った銘柄群です。
マイクロニクスについては、プローブカード大手であり、HBMなどで検査の接点数が増えることが需要増につながる可能性、プローブカードが不足して生産しても追いつかない状況が背景にある可能性などが語られています。
ラサ工業については、2026年3月期中に増産の話があり、来期も期待できるという見方です。四国化成も決算で評価され高値を取っているとされ、改めて化学関連の強さが確認されています。
PLだけでなく認定や供給制約を見る 次の成長を読むための視点
動画の中で補足として語られる重要ポイントが、認定やハードルの変化です。サプライヤーは一定の基準を満たし試験を突破して初めて採用される、という世界がある一方で、供給制約が強まると、発注側が認定のハードルを下げることがあると説明されています。
これはサプライヤーにとって非常にポジティブで、来期以降に売れるかどうかに直結する情報です。多くの解説がPL、損益計算書だけを追いがちだが、供給制約下ではこうした認定基準や採用条件の変化が、次の需要を読むうえで重要になるという指摘が入っています。
まとめ AI本丸に資金が集まり、逆張りが通じにくい時代に入った
今回の動画が示した結論は、相場がAI関連かそれ以外か、という二極化に向かい、置き換えリスクが意識された業界は発表がなくても急落する局面が増えている、という点です。
特にSaaSは、従来はディフェンシブと見られていた部分もあったのに、年初来から半年水準まで落ちる銘柄が出るほど売られています。
バリュエーションで逆張りしても、産業がなくなるかのような下落に巻き込まれやすく、危険度が上がっているという警告が繰り返されました。
一方で、AIの設備投資競争は今後も続く可能性が高く、日本株ではデータセンター関連の素材、化学、部品、光、検査装置といった周辺領域が受益者になりやすい、という見方が提示されています。さらに日本は生産性の伸び代が大きく、供給制約の状況下ではAIによる効率化を歓迎しやすい国でもあるため、中長期では追い風になり得るという視点も示されました。
足元の相場は、AIでやられると判断された瞬間に急落するほど物語が先行しやすく、投資家には柔軟な適応が求められています。長期投資であっても、世の中の変化に合わせて銘柄を入れ替える重要性が増しているというメッセージは、今の相場環境を象徴する警句と言えそうです。


コメント