SCHDで配当生活は実現するのか?数字でリアルに考えると見えてくる“現実”とは

目次

結論:SCHDは「夢の配当生活」には程遠い。現実を直視しよう

米国高配当ETFとして人気のSCHDですが、その配当金の“リアル”な金額と、配当率・株価との関係を具体的に数字で考えていくと、多くの人が抱いているイメージとの大きなギャップがあることが明らかになります。

「高配当だから安心」「老後の収入源になる」「下落相場で今が買い時」…果たしてこれらは本当なのでしょうか?


SCHDの配当金:1000万円投資で月3万円も届かない

まずは、配当金の具体的な金額から見ていきましょう。

  • SCHDの配当利回り(配当率)は年3~4%
  • つまり、1000万円投資した場合の年間配当は30~40万円
  • これを月換算すると、2万5000円~3万3000円

シミュレーション表:

投資額年間配当(3~4%)月間配当(平均)
100万円3~4万円約2500~3300円
500万円15~20万円約1万2500~1万6000円
1000万円30~40万円約2万5000~3万3000円
2000万円60~80万円約5万~6万6000円

老後2000万円問題では、年金だけでは月5万5000円ほど不足すると言われていますが、2000万円分の投資をしてようやくギリギリその水準に達する計算になります。


よくある誤解:「増配してるから配当生活は楽になる」は本当?

SCHDは、過去にわたって年8~9%の株価上昇と、年10~11%の増配率を記録してきました。しかし、これをそのまま「配当が青天井で増えていく」と考えるのは非常に危険です。

増配率の本質

  • 「配当率(利回り)」が10%になるわけではない
  • 実際に受け取れる配当金が10%増えるだけ
  • たとえば:
    • 100円の株で3.5円の配当 → 翌年3.85円に
    • これで「増配率10%」となる

注意点

  • 株価が上がれば、利回り(%)は変わらなくても配当金が増える
  • しかし、株価が下がれば利回りが上がっても、実際の金額は減る

例:株価が10%下がると…

  • 元々:株価100円・配当3.5円 → 配当利回り3.5%
  • 株価90円に下落 → 配当率3.6%でも実際の金額は3.24円(=減配)

このように、配当率だけを見ても意味がなく、株価とのセットで評価しないと「錯覚」に陥るのです。


配当生活に必要な元本は?

動画では明確に指摘されています。

  • 「月5万円以上の安定配当」には2000万円が必要
  • 月2万円や3万円では生活費の補填としては非現実的

加えて、将来に向けた資産の取り崩しも想定する場合は、さらに元本が必要です。


配当重視投資の落とし穴:「S&P500と組み合わせると最悪になる」?

動画では、資産が少ない段階でS&P500とSCHDを中途半端に組み合わせることは最悪と警鐘を鳴らしています。

具体例

  • 300万円ずつ投資しても…
    • SCHDからの配当金は年9~12万円 → 月1万円未満
    • S&P500からのリターンも小さい
    • どちらも「中途半端」で終わる

そのため、資産形成期はS&P500一本で成長に全振りし、十分な資産ができた段階でSCHDにシフトするのが現実的という考え方です。


「増配」は物価上昇に追いついているだけ?

過去10年間、SCHDの増配は確かに続いていますが、物価上昇(インフレ)を考慮すると“当然”のこととも言えます。

  • インフレ率が年2~3%ならば…
    • 企業の売上・利益・株価・配当金もそれに伴って自然に増える
  • つまり、増配=すごいことではない
    • 最低限の価値維持にすぎない

投資に必要なのは「目的と手段の一致」

最も重要なのは、目的(ゴール)を明確にしてから手段を選ぶことです。

よくある失敗パターン

  • 目的が曖昧なままSCHDやS&P500に手を出す
  • 配当を「感覚」で捉え、「毎月いくら必要か」を考えていない
  • ブレンドした結果、「中途半端ファンド」が完成

正しい手順

  1. 具体的な目的を数値で定義
    • 65歳から月5万円の配当収入がほしい → 年間60万円
  2. 逆算して必要な元本を算出
    • 年4%の配当で60万円 → 元本1500万円
  3. 期間とリスク許容度に応じて戦略を設計
    • 資産形成期:S&P500で成長を狙う
    • 資産活用期:SCHDなどで安定配当へシフト

まとめ:高配当ETFへの幻想は危険。冷静に数字で判断せよ

ポイント内容
SCHDの配当年3~4%、1000万円で月2.5~3.3万円程度
増配の現実実額は増えるが、利回りが上がるわけではない
株価との関係株価が下がれば配当率が上がっても金額は減る
必要な元本意味ある配当生活には最低2000万円必要
投資戦略資産形成期は成長株(S&P500)、その後に配当株へ

「高配当生活」や「配当金でセミリタイア」といった甘い言葉に惑わされず、まずは目的を明確にし、そのために必要な手段を選ぶことが、成功への第一歩です。

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