※この記事はYouTube動画「SCHD投資信託、その増配率これからも続くの?SCHDの採用ルールから将来の分配金増配を考える」を元に作成しています。
結論:SCHDは今後も高い増配率が期待できるが、その鍵は「厳選された採用ルール」と「IT企業の台頭」にある
米国高配当株ETFとして日本でも人気を集めているSCHD(Schwab U.S. Dividend Equity ETF)。過去10年の平均増配率は年11%超という驚異的な成績を誇りますが、果たしてこの増配は今後も続くのでしょうか?
本記事では、過去のデータ分析、採用ルールの詳細、そして将来的なセクターの構成変化などから「SCHDの分配金が今後も増え続ける理由」について詳しく解説します。
過去の増配率:10年間で年平均11%以上、直近12ヶ月で16%の増配も
まず注目すべきは、過去の実績です。
- 過去3年・5年・10年:年平均増配率は11%超
- 直近12ヶ月:16%という高水準の増配
- 配当利回り:2024年現在は約4%
ETF全体の中でも、配当利回りと増配率の両方が高水準である点がSCHDの大きな魅力です。
例えば、同様に高配当ETFとして人気のVIG(Vanguard Dividend Appreciation ETF)と比較しても、増配率・利回りともに上回る場面が多く見られます。
将来の増配率はどうなる?「連続増配年数」との関係性
一般的に、連続増配年数が長くなると増配率は鈍化する傾向があります。
- 10~24年の連続増配企業:年9〜10%の増配率
- 25年以上の連続増配企業:年6%程度に鈍化
これは企業が成熟し、成長余地が縮小するためです。
つまり、今後のSCHDもこの例に漏れず、増配率が徐々に落ちる可能性はあるという見方もできます。
しかしSCHDは「増配鈍化しにくい構造」を持つ
理由①:採用基準が厳格かつ柔軟
SCHDの採用銘柄は以下の基準で選ばれます。
- 10年以上の配当実績がある企業
- ROE(自己資本利益率)
- 配当利回り
- 5年間の配当成長率
- キャッシュフローベースの健全性
これらを総合評価し、上位100銘柄に厳選して組み入れています。
さらに重要なのが、「1年だけ減配しても即除外されない」という柔軟さです。これは、過去に一時的なトラブルを抱えたが長期的に健全な企業を拾い上げるチャンスを作っています。
理由②:銘柄数を100に絞ることで“老害銘柄”を排除
他のETF(例:VIG)では採用銘柄数が300を超えるものもあり、その中には成長が鈍化した企業も多く含まれます。
一方でSCHDは銘柄数を100社に限定。これにより「増配率が低くなった企業」を積極的に入れ替え、より配当成長が見込める企業を優先して組み入れる動的リバランスが可能です。
投資信託経由で投資する際の違いとは?
SCHDそのものはETFですが、日本ではSBI、楽天、Tracersなどを通して投資信託型のSCHD連動商品が購入できます。
ETFと投資信託の違い
- ETF:税法上、受け取った配当等を原則すべて分配する必要あり
- 投資信託:運用会社の裁量で分配金の額を調整できる
この違いにより、例えばETFの配当が下がった年でも、投資信託では前年並みの分配金を維持することも可能です。
これは投資家心理的にも重要で、「安定した分配金を好む層」にとっては、投資信託を通した方が安心感があるとも言えます。
将来の見通し:ITセクターの比重が増え、さらなる成長が期待される
動画では、S&P500における配当企業の比率の推移も紹介されており、1980年代の95%→2000年の70%→現在は再び80%以上まで回復してきています。
特に注目すべきは、IT企業が配当を出し始めたという点。
- 昔は「成長優先」で配当を出さなかったメガテック企業
- 今では余剰資金を配当として還元する動きが強まっている
このような流れから、10年後にはIT企業のSCHD採用が進み、構成比率が現在の8%→20%超に増える可能性もあると指摘されています。
配当成長率が高いIT企業の採用が進めば、SCHD全体の増配率を押し上げる要因になります。
まとめ:増配が続く理由と今後の展望
過去の実績と採用ルールから見て、SCHDは「高い増配率を維持できる仕組み」を持っているETFであることが分かります。
ポイントのおさらい:
項目 | 内容 |
---|---|
平均増配率 | 10年平均で11%以上 |
採用基準 | 配当実績、増配率、財務健全性など厳格 |
採用銘柄数 | 100社に絞り込み、入れ替えが柔軟 |
将来展望 | ITセクターの比率増加でさらなる成長に期待 |
投資信託経由の特徴 | 分配金は運用会社の裁量で安定性あり |
今後もSCHDが安定した配当と成長を提供し続ける可能性は高く、「資産形成とインカムゲインの両立」を目指す投資家にとって、有力な選択肢であることに変わりありません。
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