金利について解説した動画です。
政策金利とは良く聞く言葉ですが、一体どんな金利なのでしょうか?
ぜひご覧ください。
1. 中央銀行の役割とは?
まずは、金利政策を理解するために、中央銀行の役割について簡単に触れておきましょう。
中央銀行は、日本では「日銀(日本銀行)」、アメリカでは「FRB(連邦準備制度理事会)」と呼ばれています。中央銀行の役割は大きく3つあります。
- 紙幣の発行: 中央銀行は国家や地域で利用される通貨を発行します。これは、経済を支えるための基本的な役割です。
- 政府の銀行: 中央銀行は政府の預金を管理し、政府の資金を適切に運用します。
- 銀行の銀行: 市中銀行(例: みずほ銀行、三菱UFJ銀行)に対して最後の貸し手として資金を貸し出します。
これらの役割を通じて、中央銀行は金融政策を通じて物価を安定させることが主な使命となっています。
2. 金利政策の基本: 公定歩合から政策金利へ
1994年までの日本では、市中銀行は日銀からお金を借りて経営を行っていました。
このとき、日銀が市中銀行に貸し付けを行う際の基準金利を「公定歩合」と呼んでいました。公定歩合は金融政策の基本的なスタンスを示す政策金利として重要な役割を果たしていました。
しかし、1994年以降、金利の自由化が進み、公定歩合が市中銀行に直接影響を与えることは少なくなりました。代わりに、「無担保コール翌日物」という金融商品を利用した金利が現在の政策金利となっています。
3. 無担保コール翌日物の金利とは?
無担保コール翌日物の金利とは、金融機関が担保を必要とせずに資金を借りて翌日に返済する際の金利です。この金利が現在の政策金利であり、短期金利と呼ばれることもあります。
具体的に言うと、不景気のときには企業や個人が消費や投資を行いやすくするために、日銀は市中銀行に大量のお金を供給し、無担保コール翌日物の金利を引き下げます。
このようにして、経済全体に流れるお金の量を調整し、物価を安定させています。
4. 政策金利のコントロール方法
では、どうやって日銀は無担保コール翌日物の金利をコントロールしているのでしょうか?
これは「日銀当座預金」を利用します。市中銀行は一定の比率以上を日銀に預けなければならないのですが、その預ける金額を調整することで、政策金利を動かすことができます。
たとえば、不景気の際には、日銀は市中銀行に多くのお金を預けるように促し、無担保コール翌日物の金利を引き下げます。これにより、消費や投資が促進され、景気が回復することを狙います。
5. 政策金利以外の重要な金利
無担保コール翌日物の金利が政策金利として重要ですが、場合によっては「基準割合率及び基準貸付利率」が政策金利になることもあります。
この金利は、無担保コール翌日物の金利よりも高く設定されることが多く、金融機関が日銀から資金を借りる際の上限金利となります。
まとめ
今回は、金利政策と中央銀行の役割について解説しました。政策金利は経済に大きな影響を与える重要な要素であり、無担保コール翌日物の金利が現在の政策金利となっています。
この金利を操作することで、日銀は物価の安定や経済の健全な発展を目指しています。
ニュースなどで「政策金利」や「無担保コール翌日物」といった言葉を耳にしたときは、ぜひ今回の内容を思い出してみてください
知っておきたい専門用語集
- 中央銀行:国家や特定地域の金融機関の中核となる機関。日本では日銀(日本銀行)、アメリカではFRB(連邦準備制度理事会)に該当。
- 公定歩合:日銀が市中銀行に貸し付けを行う際に適用される基準金利。1994年までは金融政策の基本的なスタンスを示す重要な政策金利だった。
- 無担保コール翌日物:担保なしで金融機関が資金を借りて翌日に返済する際の金融商品。現在の政策金利として利用される。
- 政策金利:中央銀行が金融政策を通じて物価の安定や経済の循環を図るために設定する基準金利。日本では無担保コール翌日物の金利がこれに該当。
- 基準割合率および基準貸付利率:現在の公定歩合に相当する金利。無担保コール翌日物の金利よりも高く設定されることが多く、日銀が市中銀行に資金を貸し出す際の金利。
- 日銀当座預金:市中銀行が日銀に預けている決済用預金。これを調整することで政策金利をコントロールする。
- 量的緩和:不景気時に日銀が市中銀行に大量の資金を供給し、金利を引き下げて消費や投資を促進する政策。
- 金利自由化:市場の金利が政府や中央銀行の決定によらず、自由に変動するようにした政策。1994年以降、日本で実施された。
- 市中銀行:みずほ銀行や三菱UFJ銀行など、一般の民間銀行。日銀の金融政策の影響を受ける。
- コール市場:金融機関同士が短期間で資金を融通し合う市場。無担保コール翌日物はこの市場で取引される。
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