『教養としての半導体』は現代人が知るべき基礎知識から投資に役立つ知識まで丸わかりの1冊

現代社会において、半導体は「産業の米」とも称されるほど重要な存在です。

パソコンやスマートフォンをはじめ、テレビや家電、自動車など、私たちの生活に密接に関わるあらゆるデバイスに半導体が組み込まれています。

このような状況を踏まえ、半導体に関する知識は、私たち全ての現代人にとって「教養」とも言えるものになりつつあります。

著:菊地正典
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目次

半導体とは何か?

まず、そもそも半導体とは何かについて考えてみましょう。

半導体とは、「電気を通す動体」と「電気を通さない絶縁体」の中間の性質を持つ物質のことです。

具体的には、シリコンやゲルマニウム、ガリウムヒ素などの物質が挙げられます。半導体は、電気をある程度通すことができる一方で、条件次第では通さない性質も持つため、これが半導体技術の根幹となっています。

トランジスタの登場とその重要性

半導体の技術を理解する上で欠かせないのが、トランジスタの存在です。

1947年にベル研究所によって開発された世界初の点接触型トランジスタは、わずかな入力電流を大きな出力電流に変える「増幅現象」を発見しました。

これにより、初期のコンピューターに比べてトランジスタを用いた電子機器は、格段に小型化し、信頼性も向上しました。この技術革新が、20世紀最大の発明とされる所以です。

トランジスタは、スマートフォンをはじめとする現代の電子機器で、0と1の信号のオンオフを制御する役割を果たしています。

初期のコンピューターは真空管を用いていましたが、トランジスタの登場により、電子機器の小型化が進み、性能も飛躍的に向上しました。

集積回路(IC)とは?

次に、集積回路(IC)について説明します。

ICとは、トランジスタやダイオードといった回路素子を多数集めて、1つの回路としてまとめたものです。

例えば、メモリーやGPU、アナログICなど、さまざまな機能を持ったICが存在し、これらを組み合わせることで、私たちが日常的に使用する電子機器が作られています。

ムーアの法則と技術の進化

ムーアの法則は、集積回路の進化を象徴する法則として知られています。

この法則は、集積回路上に搭載されるトランジスタの数が、約18~24ヶ月ごとに倍増するというものです。

1960年代から続くこの法則は、現在でも有効であり、技術の進化が加速度的に進んでいることを示しています。ムーアの法則が成り立つ限り、AIや高度な電子機器が次々と登場することが予想されます。

半導体業界の全体像と主要企業

半導体業界は、企画・設計・製造の各段階に分かれています。

特に、製造工程は「前工程」と「後工程」に大別され、これらが分業体制で行われています。この分業体制が、現在の半導体業界の特徴の一つであり、日本がかつて業界をリードしていた時代と比べて、変化が見られます。

IDM企業
設計から製造まで一貫して行うIDM(Integrated Device Manufacturer)企業は、インテルやサムスンが代表的です。これらの企業は、製造設備を他社に委託することもあり、効率的に生産を行っています。

ファブレス企業
ファブレス企業は、企画・設計のみを行い、製造はファウンドリー企業に委託します。NVIDIAやクアルコムがその代表であり、特にNVIDIAは2023年の売上で世界一のGPUメーカーとなっています。

ファウンドリー企業
ファウンドリー企業は、製造専門の企業です。TSMC(台湾積体電路製造)がその代表であり、世界の半導体製造の中枢を担っています。日本企業はこの分野での存在感が薄くなっていますが、TSMCが熊本に新しい工場を建設するなど、日本でも再び注目されています。

日本の半導体業界の現状と未来

かつては「日の丸半導体」として世界をリードしていた日本企業ですが、現在はその影が薄くなっています。

1986年の日米半導体協定以降、日本の半導体業界は衰退し、現在の分業体制に対応しきれなかったことが一因とされています。

しかし、日本は製造装置や素材業界ではまだ世界トップクラスの地位を保っています。

製造装置分野では世界シェア40%以上、素材分野では60%以上を占めています。日本政府は、最近になって反動体デジタル産業戦略を打ち出し、国内での製造拠点の設置や研究開発の支援を強化しています。

まとめ

この動画で紹介された内容は、半導体業界の基礎知識から最新動向までを網羅しており、非常に充実したものです。

技術的な部分はやや難しいかもしれませんが、業界構造やビジネス展望については、誰でも理解しやすい内容となっています。

半導体の世界に興味を持った方には、ぜひ一度この動画を見ていただきたいです。半導体の基礎から応用まで、一冊で深く学べる内容が詰まっています。

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専門用語解説

  • 半導体:電気を通す動体と、電気を通さない絶縁体の中間の性質を持つ物質。代表的なものにシリコンがある。
  • トランジスタ:小さな入力電流を大きな出力電流に変える増幅素子。現代の電子機器で0と1の信号を制御するために使用される。
  • 集積回路(IC):トランジスタやダイオードなどの回路素子を多数集め、一つの機能を持たせた回路。メモリーやGPUなどの電子機器に組み込まれる。
  • ムーアの法則:集積回路のトランジスタ数が18~24ヶ月ごとに倍増するという経験則。技術の進化の速度を象徴する。
  • IDM(Integrated Device Manufacturer):設計から製造までの全工程を自社で行う企業。代表例としてインテルやサムスンが挙げられる。
  • ファブレス企業:製造工場を持たず、企画・設計のみを行い、製造はファウンドリー企業に委託する企業。NVIDIAやクアルコムが代表例。
  • ファウンドリー企業:製造専門の企業。設計や企画を行う企業から製造を委託される。TSMCが世界最大手。
  • EDAツール:Electronic Design Automationツール。半導体の設計を行うためのソフトウェア。
  • IP(Intellectual Property):設計資産のこと。EDAツールと組み合わせて、半導体の設計に利用される。
  • 真空管:初期のコンピューターで使用された電子部品。トランジスタに取って代わられた。
  • SooC(System on a Chip):一つのチップに複数の機能を持たせた集積回路。スマートフォンなどのモバイルデバイスに搭載される。
  • アセンブリー:後工程の一つで、製造された半導体を組み立てる工程。
  • テスト:製造された半導体の性能や品質を確認する工程。
  • シリコン:半導体材料として最もよく使用される元素。地球上で酸素に次いで豊富に存在する。
  • 増幅現象:小さな入力を大きな出力に変換する現象。トランジスタの基本的な機能。
  • 信号のオンオフ:電子機器で、0と1のデジタル信号を切り替えること。トランジスタがこれを制御する。
  • モバイルSooC:スマートフォンなどの携帯デバイスに使用されるシステムオンチップ。CPUやGPU、メモリを一つのチップに統合している。
  • メモリ:コンピューターや電子機器でデータを一時的に保存するための集積回路。
  • GPU(Graphics Processing Unit):画像処理を専門に行うプロセッサー。NVIDIAが代表的なメーカー。
  • アナログIC:アナログ信号を処理するための集積回路。デジタルICと対をなす。
  • フラッシュメモリ:データを電気的に消去・再書き込みが可能な不揮発性メモリ。代表的なものにキオクシアのNAND型フラッシュがある。
  • スマートフォンOS:スマートフォンに搭載されるオペレーティングシステム。現在はiOSとAndroidが主流。
  • 前工程:半導体製造の中で、基板に回路を形成する工程。ファウンドリー企業が担当することが多い。
  • 後工程:半導体製造の中で、組み立てやテストを行う工程。アセンブリーやテストを担当する企業がある。
  • デバイス:半導体を組み込んだ電子機器のこと。パソコンやスマートフォン、テレビなど。
  • TSMC:台湾積体電路製造の略称。世界最大の半導体ファウンドリー企業。
  • 製造装置:半導体の製造に使用される機械や設備。日本企業が世界的に強い分野。
  • 素材業界:半導体製造に使用される材料を提供する業界。日本が世界の60%以上のシェアを持つ。
  • ノード技術:半導体の製造プロセス技術。トランジスタの微細化を進めることで、性能を向上させる。
  • EUV(極端紫外線)リソグラフィー:最先端の半導体製造技術。微細化を進めるために使用される。
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