金融ショックを予測するために役立つ指標4選

米国株の大暴落と聞くと、多くの人はリーマンショックを思い浮かべるでしょう。

S&P 500のチャートを見ると、リーマンショックの時には高値から56%も暴落しています。

これはドル建てのチャートなので、アメリカの投資家にとっての下落率です。しかし、日本の投資家の場合、為替も考慮する必要があります。円建てのチャートを見ると、リーマンショック時の高値から65%も暴落しています。

目次

円建ての視点での暴落

米国株が暴落する時は景気交代に入る時であり、アメリカでは利下げが行われることが多いです。

利下げが行われると、日米の金利差が縮まり、ドル安円高に動く可能性が高いです。したがって、過去の暴落を検証する時は、円建てのチャートで考える方が現実的です。

例えば、S&P 500の評価額が2000万円に達したとしても、65%の暴落を受けると700万円まで減少してしまいます。

しかも、暴落時に底値だとわかれば耐えられるかもしれませんが、実際にはわかりません。このまま500万円を切って、ほとんど資産がなくなるかもしれないという恐怖の中で持ち続けることは難しいです。

暴落を避けるためのデータ

暴落を避けるためには、様々な指標を見ることが大切です。以下にいくつかの重要な指標を紹介します。

1. 金融ストレス指数

金融ストレス指数は、金融市場のストレスレベルを示す指標です。

リーマンショック前の2007年10月時点ではプラス0.5のストレスレベルでしたが、リーマンブラザーズの破綻で2008年10月にはピークのプラス9.4に達しました。

現在のストレスレベルは2024年5月時点でマイナス0.8と低い水準にあります。

2. 失業率

失業率は景気交代を判断する上で最も重要な経済指標の一つです。

リーマンショック時には、2007年12月の時点で失業率が直近3ヶ月の平均で最低値から0.4%上昇した時に景気交代に入ったと判定されました。

現在の失業率は3.9%で、まだサームルール(失業率が最低値から0.5%以上上昇すると景気交代を示唆するルール)は発動していません。

3. GDPとGDI

経済成長率を示すGDPとGDIも重要です。

リーマンショック時には、GDIがGDPに先行してマイナス領域に入り、その後GDPも低下しました。現在、GDPとGDIはプラス領域にあり、経済成長率が大幅に低下する兆候は見られません。

4. ISM非製造業指数

米国のサービス業の景気を示すISM非製造業指数も重要です。

リーマンショック前の2007年10月には53でしたが、現在は49まで低下しています。リーマンブラザーズが破綻した時と同じ水準です。

結論

リーマンショック級の暴落が来る時は、様々な経済指標が異変を教えてくれます。

重要な指標を常にチェックし、異変に気づくことが大切です。

現在の経済指標はポジティブなデータとネガティブなデータが混在しており、警戒を怠らないことが重要です。リスクを許容しつつ、慎重に投資を続けることが求められます。

専門用語解説

  • リーマンショック:2008年に発生した世界的な金融危機。リーマンブラザーズの破綻をきっかけに、株価が急落し、多くの金融機関が倒産した。
  • S&P 500:アメリカの代表的な株価指数。Standard & Poor’sが選定する500の主要企業の株価を元に算出される。
  • ドル建て:取引や価格表示が米ドルで行われること。アメリカの投資家にとっての基準。
  • 円建て:取引や価格表示が日本円で行われること。日本の投資家にとっての基準。
  • 為替:異なる通貨間の交換レート。ドルと円の為替レートなど。
  • 利下げ:中央銀行が金利を引き下げること。経済を刺激するために行われる。
  • 金利差:異なる国の金利の差。日米の金利差など。
  • ガチホ:仮想通貨や株式などの資産を売らずに保持し続けること。
  • 金融ストレス指数:金融市場のストレスレベルを示す指標。VIXや銀行間貸出金利などから算出される。
  • VIX:ボラティリティ・インデックス。市場の不安定さや恐怖感を示す指標。
  • FRB:連邦準備制度理事会。アメリカの中央銀行であり、金融政策を決定する。
  • マネタリーベース:中央銀行が供給する貨幣の量。金融政策の一環として管理される。
  • インフレ:物価が上昇する現象。貨幣の価値が下がること。
  • 失業率:労働力人口に対する失業者の割合。経済の健康状態を示す指標の一つ。
  • 景気交代:経済活動が縮小し、経済成長が停滞または後退する状態。
  • サームルール:失業率が最低値から0.5%以上上昇すると景気交代を示唆するルール。
  • GDP:国内総生産。一定期間内に国内で生産された財やサービスの総額。
  • GDI:国内総所得。国内で得られた総所得。
  • NBER:全米経済研究所。アメリカの景気循環を公式に判定する組織。
  • ITバブル:2000年前後に発生したインターネット関連企業の株価急騰とその後の崩壊。
  • ISM非製造業指数:アメリカのサービス業の景気を示す指数。Institute for Supply Managementが発表。
  • GDPNow:アトランタ連邦準備銀行が発表するGDPの即時予測モデル。
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