S&P500とは?その基本情報をおさらい
S&P500とは、アメリカの主要500銘柄を対象とした株価指数です。この指数には、以下の条件を満たす企業が選ばれます。
- 時価総額が18億ドル以上
- 発行株式数の50%以上が上場済み
- 直近4四半期連続で黒字
例えば、2024年時点でS&P500に含まれる企業群の時価総額は、世界の株式市場全体の51%を占めています。
そのため、S&P500に投資することは、実質的に世界経済の中心であるアメリカに投資することを意味します。
加えて、この指数に選ばれる企業は「利益が出ている企業」しか含まれていないため、信頼性が高いとされています。一方で、財務の健全性(ROEや自己資本比率)は選定基準に含まれていないため、投資家自身が判断する必要があります。
直近の動向:2024年のS&P500の動き
2024年のS&P500は、年初から強い上昇を見せ、約20%以上の上昇を記録しています。この背景には、以下の要因が挙げられます。
- トランプ氏の再選
- トランプ大統領の政策が再び注目され、投資家心理が改善。
- 法人税引き下げや製造業支援など、企業収益を押し上げる期待が高まっています。
- 強気相場(ブルマーケット)の継続
- 現在の強気相場は、2022年10月の安値から始まり、リターンはすでに約65%の上昇。
- 過去の強気相場の平均期間(50か月)と比較すると、まだ上昇の余地がある可能性があります。
- 選挙後の株価動向
- 過去データでは、選挙年にS&P500が年初から20%以上上昇した場合、年末までに平均で**さらに3〜4%**の上昇が期待されます。
過去のデータが教えるS&P500のリスクとリターン
長期的に見ると、S&P500は10年間のうち7年は上昇する傾向があります。ただし、残りの3年間では下落する可能性もあり、特に以下のような年は注意が必要です。
- リーマンショックの2008年:大幅な下落。
- ITバブル崩壊後の2000年代初頭:10年間でほとんど上昇せず。
これらのデータは、投資を始めたばかりの年が下落期にあたる場合でも、長期投資を続ける重要性を示しています。
例えば、投資開始から1年で10%下落しても、10年後には全体で上昇しているケースが多いため、短期的な結果に一喜一憂しないことが重要です。
現在のS&P500の懸念点:割高感
現在のS&P500は、以下の指標から割高とされています。
- CAPEレシオ(シラー式PER)
- 定常的な利益率を考慮したPERで、現在の数値は38倍。
- ITバブル時(40倍超)に匹敵する水準。
- バフェット指標
- アメリカ株の時価総額をGDPで割った指標で、直近は歴史的平均を大幅に上回る水準。
これらのデータは、S&P500が現在過熱気味である可能性を示唆しています。短期的な利益を狙う場合は注意が必要です。
投資戦略:初心者が取るべきアプローチ
S&P500の将来を考える上で、初心者に向けた戦略を以下にまとめます。
- 積立投資を継続する
- 市場が割高であっても、長期的に見れば平均化されたリターンを得る可能性が高い。
- 例えば、毎月1万円を10年間積み立てた場合、年平均リターンが5%ならば約157万円に増加。
- 現金の準備を忘れない
- 市場が下落した際に追加投資できるよう、手元資金を確保。
- 割安感が強まったときに買い増すのが理想的。
- 経済イベントに注目する
- 例えば、トランプ氏の政策が市場に与える影響を分析。
- 半導体セクターや中国関連株は、政策リスクが高い可能性があるため要注意。
ゴールドマン・サックスの見通し:今後10年のリターン
ゴールドマン・サックスの予測によれば、2024年から2034年にかけてのS&P500の年間リターンは、1〜3%程度とされています。これまでの7〜10%の平均リターンと比較すると、大幅に低下する可能性があります。
まとめ:長期投資の心構え
今回のデータや分析を踏まえると、S&P500は短期的には強気相場が続く可能性が高い一方で、長期的には割高感や低リターンの懸念もあります。そのため、以下の点を意識することが重要です。
- 積立投資でリスク分散を図る
- 市場の下落時に冷静に追加投資を行う
- 政策や経済データを継続的に確認する
投資は短期的な結果にとらわれず、冷静な判断で長期的な視点を持つことが成功の鍵です。
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