本記事では、マーク・ダグラスの著書『ゾーン』の第4章から第7章までを解説した動画の内容を詳しく紹介します。本書は、投資心理学の名著として広く読まれており、多くのトレーダーが参考にしている本です。
本書が強調するのは、市場分析の技術ではなく、トレードにおける心理状態の重要性です
。特に、95%の投資家が失敗する理由として、一貫性のない心理状態が挙げられています。トレードにおける「ゾーン」とは、スポーツで言うところの「明鏡止水の境地」のようなものであり、冷静かつ安定した心理状態を指します。
本記事では、
- 典型的なトレーダーの心理的ミス
- 一貫したトレーダーの考え方
- 確率思考の重要性
について、具体的な例や数値を交えながら分かりやすく解説していきます。

典型的なトレーダーの心理的ミス
トレーダーは、多くの場合、直近の数回のトレード結果に過剰に影響を受ける傾向があります。
- 勝ちが続いた場合:「次も勝てる」と過信し、リスクを過小評価してしまう。
- 負けが続いた場合:「また負けるかもしれない」と恐怖を感じ、リスクを過大評価してしまう。
例えば、
- 直近3回連続で10万円の利益を得たトレーダーは、「自分は今絶好調だ!」と感じて、本来のルールを無視して過剰にリスクを取る。
- 逆に、3回連続で5万円ずつ損失を出したトレーダーは、「次も負けるかもしれない」と感じてエントリーを躊躇したり、早すぎる損切りをしてしまう。
このような心理的な偏りが、95%の投資家が負ける原因の一つです。
一貫したトレーダーの考え方
成功するトレーダーは、市場に期待を押し付けず、ただ市場の動きを受け入れることができる人です。彼らは、
- 市場はコントロールできない
- マーケットの動向に対して一切の期待を抱かない
- トレードの機会が来たら、ルール通りに行動する
例えば、ウォーレン・バフェットは「見逃し三振はない」という言葉を残しています。
これは、無理にバットを振る必要はなく、自分にとって確実なチャンスが来たときだけエントリーすればいいという考え方に通じます。
第5章:認識の力学
恐怖と確証バイアス
本章では、人間が過去の経験に基づいて物事を認識する傾向について説明されています。
たとえば、
- ある子供が、人生で最初に出会った犬に噛まれたとします。
- その結果、「犬=恐怖」と強く結びつけてしまい、次に別の犬を見たときも、無条件に「怖い」と感じてしまう。
トレードでも同じことが起こります。
- 直近のトレードで大きな損失を出したトレーダーは、次のエントリーチャンスを「危険」と感じて見送る。
- 逆に、連勝したトレーダーは、過信してリスクを取りすぎる。
しかし、マーケットは中立的なものであり、トレーダーが抱く感情とは無関係に動きます。この「確証バイアス」を克服することが、成功への鍵です。
第6章:マーケットの冷徹な現実
マーケットは、たった一人のトレーダーの行動でも大きく動くことがあります。
本書では、以下のようなエピソードが紹介されています。
- あるトレーダーが「ここが絶対的なサポートラインだ!」と確信する。
- しかし、上層部のトレーダーが部下に「この価格で売れ」と指示すると、市場は簡単にそのサポートを突破してしまう。
このように、マーケットはカオスであり、絶対的な予測は不可能なのです。
そのため、
- マーケットに期待を押し付けない
- 「何が起こるかわからない」という前提でトレードする
ことが重要です。
第7章:確率思考の重要性
ギャンブルとの共通点
カジノのブラックジャックを例に考えてみましょう。
- 各プレイヤーの勝敗はランダムで予測不可能。
- しかし、カジノ全体で見ると、ハウス(カジノ側)は常に4.5%の利益を得る仕組みになっている。
つまり、
- 1回1回のトレード(ミクロレベル)では結果はランダム。
- しかし、長期的に見ると(マクロレベル)、統計的な優位性を持つトレーダーは勝ち続けられる。
成功するトレーダーは、この考え方を持っています。
5つの基本原則
- 何が起こるかわからない
- 利益を出すために、次の値動きを知る必要はない
- 勝ち負けはランダムに分布する
- 優位性とは、「ある動きが他よりも起こりやすい」ことに過ぎない
- マーケットのすべての瞬間は唯一無二である
まとめ
- トレードで95%の人が負ける原因は、一貫性のない心理状態にある。
- 市場に期待を押し付けず、「何が起こるかわからない」という前提で動く。
- 短期的な勝ち負けにこだわらず、長期的に統計的な優位性を活かす。
本書は、単なるトレード技術ではなく、投資家の心理状態を鍛えるための指南書です。
興味を持った方は、ぜひ本書を手に取って読んでみてください!

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