トランプ氏が大統領に選ばれたことでアメリカ経済や世界の市場にどのような影響が及んでいるかを詳しく解説した動画をご紹介します。
日本時間の11月6日の段階で、トランプ氏の勝利が確定的となり、その結果、アメリカの長期金利が急上昇し、ドルも買われる展開になりました。これが「トランプ相場」または「トランプトレード」と呼ばれる動きの始まりです。
1. アメリカの金利上昇と期待インフレ率の影響
まず注目すべきは、アメリカの10年国債利回りの上昇です。
9月末の時点で3.718%だったものが、10月末には4.28%、そして11月6日には4.43%にまで上昇しました。
この利回り上昇の背景には、トランプ政権の政策が景気を活発化させるとの期待があり、特にインフレ率が高まると予想されています。
期待インフレ率も9月末の2.18%から10月末には2.32%、11月6日には2.40%へと上昇しており、インフレへの警戒が広がっていることが伺えます。
2. トランプ政権による法人税減税の影響
トランプ氏が提案している法人税減税も、金利上昇の一因となっています。
トランプ氏は現行の21%の法人税を15%まで引き下げると述べており、これが実現すれば企業の収益が増え、経済成長が促進される見込みです。
ただし、今回の減税幅は6%であり、前回の14%の引き下げと比べると小規模です。そのため、金利上昇のペースも2016年の時より緩やかになる可能性があると見られています。
3. 欧州経済への影響とドイツの10年国債利回りの低下
アメリカの政策が変わることで、欧州経済にも大きな影響が予想されています。
特にドイツ経済は逆風にさらされており、ドイツの10年国債の利回りは11月6日に0.02%低下しました。
ケルン経済研究所のレポートによると、トランプ政権が続けば欧州経済全体は2028年までに1.3%、ドイツのGDPは1.5%縮小すると予測されています。
アメリカが20%の輸入関税を課す可能性があるため、ドイツ経済への悪影響が見込まれています。
4. 新興国市場への影響とメキシコの例
新興国市場にとっても、トランプ政権の影響は大きいものとなりそうです。
例えば、メキシコはトランプ氏の政策によって輸出が制限されるリスクがあります。中国メーカーがメキシコに工場を設立し、アメリカに製品を輸出する方法が、関税逃れと見なされれば関税引き上げが検討される可能性があるためです。
5. 円安ドル高と日本経済への影響
トランプ政権下でのアメリカ経済の好調により、ドル高が進むことが予想されます。
ドル高は新興国やペッグ制の国々にとって経済への負担となる一方で、日本にとっても円安ドル高が進行すると1ドル160円台に達する可能性も指摘されています。
こうなれば日本国内でも日銀に利上げを求める声が強まり、経済に負の影響が出る恐れがあります。
6. 欧州の政情不安とドイツの政局
また、ドイツでは財務大臣の解任など政情不安が増しており、シル首相は来年の3月を目処に早期選挙を行う意向を示しました。
この政情不安は欧州経済全体にも影響を及ぼし、さらにアメリカがウクライナ支援から手を引くような事態になれば、ドイツやフランスは対応に苦慮することが予想されます。
7. 今後の見通しとマーケットの動向
11月6日の時点では、アメリカの長期金利上昇とドル高が続く見込みですが、その持続性については慎重な見方がされています。
トランプ政権が市場にどのような影響を与え続けるのか、今後も注視が必要です。また、動画内ではビギナー向けの基礎解説も提供している有料サービスについても紹介されており、より深く学びたい方向けの内容もあります。
まとめ
今回の動画では、トランプ政権の再来による市場の反応や、特に米国の長期金利上昇とそれに伴うインフレ期待、欧州経済への逆風、新興国への影響について詳細に解説されています。
政策の変化が世界のマーケットにどのような影響を及ぼすのか、引き続き注目していく必要があるでしょう。
知っておきたい専門用語集
- トランプ相場:トランプ氏が大統領に選ばれたことで、政策期待から株価や金利が変動する相場のこと
- 10年国債利回り:アメリカの10年物国債の利回り(利息)を示し、長期金利の指標となる
- 期待インフレ率:市場が将来的に予想するインフレ率。通常、普通の国債利回りと物価連動国債の利回りから算出
- 法人税減税:企業が支払う法人税を引き下げる政策。企業の収益が増えるため、経済成長促進が期待される
- ユーロ圏経済:ユーロを導入するヨーロッパの国々の経済全体を指す。トランプ氏の政策が影響を与える
- GDP:国内総生産。国や地域の経済規模を示す指標で、その国の経済成長率を判断する基準
- ペッグ制:通貨の価値を他国の通貨に固定する制度。アメリカのドルに対して自国通貨を一定の比率で固定する政策を取る国がある
- ドル高:ドルの価値が他の通貨に対して上がる状態。アメリカ経済の好調や利上げに伴って起きやすい
- 円安ドル高:円の価値が下がり、ドルが高くなる状態。日本から見た場合、1ドルあたりの円の価値が下がること
- 金利上昇:利子率が上がること。一般的には経済成長やインフレ期待に伴って上昇する
- 財務大臣の解任:政治的な理由や政策の違いから、大臣が更迭されること。政情不安に繋がる可能性がある
- 設備投資:企業が設備や機械を導入して生産力を増やす投資のこと。経済成長に貢献するが、不確実性があると抑制されがち
- インフレ:物価が上がり、お金の価値が下がること。経済成長期に見られる現象
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